世界20カ国・地域の平日の総座位時間を比べた研究データで、日本とサウジアラビアは座っている時間が最も長いという結果に。この問題を放置すると、健康寿命を脅かすことになると言えそうです。【解説】久保 明(医学博士)

著者のプロフィール

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久保 明(くぼ・あきら)

医学博士。医療法人財団百葉の会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長。東海大学医学部医学科客員教授。元厚生労働省 薬事・食品衛生審議会専門委員。
1979年慶應義塾大学医学部卒業。1988年米国ワシントン州立大学医学部動脈硬化研究部門に留学。帰国後、一貫して生活習慣病診療、予防医療とアンチエイジング医学に取り組む。「高輪メディカルクリニック」を設立し16年間院長を務め、東海大学医学部付属東京病院で「抗加齢ドック」を立ち上げ、現在は医療法人財団百葉の会 銀座医院など都内で診療を行う。『名医が教える!週に1度食べないだけで体の不調はリセットできる』(日東書院本社)、『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める 老化指標を改善する28のステップ』(講談社)など著書・監修書多数。
▼銀座医院(公式サイト)
▼学歴・職歴(久保明事務所)
▼専門分野と研究論文(CiNii)

本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。

クイズ
長時間「〜すぎる」と
死亡リスクが上がる
生活習慣とは?

A 遊びすぎる
B 寝すぎる
C 座りすぎる
D 運動しすぎる

1日に11時間以上座ると
死亡リスクが40%高くなる!?

2011年にWHO(世界保健機関)が公表した「座って動かない生活が続くと、肥満や糖尿病、心血管疾患、高血圧、がんなどの病気を誘発。世界で年間約200万人の死因につながっている」というデータは、驚きとともに広く伝えられました。

この問題は以前から危険視されており、イギリスでは仕事で座り続ける時間を減らすようなガイドラインがあるほどです。とくに興味深いのが2012年のオーストラリア・シドニー大学の研究チームの調査結果(※1)で、座っている時間が長いと死亡率が高くなり、その時間が11時間以上になると4時間未満の人と比べて死亡率が40%高くなるというのです。体を動かすことは大切ですが、むしろ座りすぎの問題の対策も同じくらい重要であり、心血管疾患やがんのリスクが高まると結論づけています。

また日本人の私たちからすると、ことさら危機感を覚える結果もあります。それは世界20カ国・地域の平日の総座位時間を比べた研究データ(※2)で、日本とサウジアラビアは座っている時間が最も長いという結果に。この問題を放置すると、健康寿命を脅かすことになると言えそうです。

画像1: イラスト/cycledesign

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世界20カ国の
平日の総座位時間

日本人は1日に約420分座っている(20カ国の平均は約300分)。座り続けず、30分ごとに立ち歩くことが一番の予防策。

画像2: イラスト/cycledesign

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※出典 Adrian B, et al.(2011)

クイズの答え

C
今、座っていませんか? 一度立ち上がって伸びをしてみよう!

※クイズの回答は、今後の研究等により変更になる可能性があります。

※出典 ※1)Hidde P van der Ploeg, et al. Sitting time and all-cause mortality risk in 222 497 Australian adults. Arch Intern Med. 2012;172(6):494-500./※2)Adrian B, et al. The descriptive epidemiology of sitting. A 20-country comparison using the International Physical Activity Questionnaire (IPAQ). Am J Prev Med. 2011;41(2):228-35.

なお、本稿は『最新医学でわかった新健康常識 カラダに良いこと 悪いこと』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【健康情報クイズ】座りすぎと死亡リスクの関係 1日に11時間以上座ると死亡リスクが高くなる!? エビデンスから考える新常識
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2020-12-08 14:28

※③「糖尿病と血液型の関係」はこちら

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