味つけが薄くてもおいしく減塩できる
私は、大学の声楽科を卒業して以来、歌手として、コンサートやオペラなどで歌い続けてきました。そのかたわら、歌うことを通じて健康増進を図る教室を開き、多くのかたを指導しています。
歌手にとって自分の体は、楽器のようなものです。その楽器をよい音で鳴らすためには、体の状態をメンテナンスしなければなりません。そのために重要なのが、日々の食事による体調管理です。
こうした観点から、私は毎日の食事に関心を持ち、栄養バランスのよい食事をとるため、工夫を重ねてきました。
その工夫の一つに、ピクルスを作って食べることがあります。素材を酢漬けにして作るピクルスは、健康効果の高い酢を気軽に摂取できる食品です。保存性も高く、酢の風味があるので、味つけが薄くてもおいしく、減塩もできます。我が家の食卓に欠かせない存在なのです。
野菜のピクルスももちろん作りますが、特にお勧めなのが、「ウズラ卵ピクルス」です。私がウズラ卵ピクルスを作り始めたのは、2年ほど前から。
きっかけは、買い物に出かけた際に、ある店で瓶詰めになったウズラ卵ピクルスを目にしたことでした。こんなふうにすれば、ウズラ卵も長期保存できて、好きなときに気軽に食べられるのだと気づき、自分でも作ることにしたのです。

歌と食事が大切という常岡さん
我が家流の作り方をお教えしましょう。材料は、ウズラ卵10~20個、ニンジン1本、酢150ml、水250ml、キビ砂糖大さじ3、粗塩少々、ローリエ1~2枚です。
まず、ウズラ卵をゆでます。ゆで時間は約2分。鶏卵と違って、ウズラ卵はすぐにゆでることができ、殻をむくのも簡単です。まな板に卵を置いて、上から手のひらを当て、コロコロ転がしひびを入れれば、つるんと殻がむけます。
鶏卵は、ときどき殻がむきにくい場合がありますが、ウズラ卵はそんなこともなく、手間がかかりません。
次に、ピクルス液を作ります。鍋に、酢と水、砂糖、隠し味として粗塩少々、刻んだローリエを入れ、煮立てます。煮立ったところで、拍子木切りにしたニンジンを加えます。
ニンジンに火が通ったら、ウズラ卵を加え、ひと煮立ちさせます。それから火を止め、熱いうちに煮沸消毒した保存瓶に入れ、ふたをします。ひと晩おけば、もうおいしく食べられます。冷蔵庫で保存し、4〜5日を目安に食べ切ります。
主役のウズラ卵は必須ですが、加える野菜はニンジンに限りません。私はレンコンが大好きなので、旬の時期には、ニンジンとレンコンを組み合わせて作ることもあります。パプリカやビーツもお勧めです。

常岡さんのウズラ卵ピクルス
初めてウズラ卵ピクルスを作ったときには、そのおいしさに驚きました。とにかく味が濃厚なのです。まるでチーズのような味わいでした。
そもそも、ウズラ卵は鶏卵に比べて、味が濃縮されている感じがあります。ピクルスにすることで、その傾向がさらに強められるようで、とにかくコクのある味なのです。
また、ウズラ卵ピクルスは、食べるシーンを選ばないという点もお勧めする理由です。単品で、おやつのようにも食べられますし、おかずの一品にもなります。お酒を飲むときのおつまみとしても最適です。
味つけのアレンジを楽しむこともできます。例えば私は、ウズラ卵に、ミニトマト、エリンギを合わせて和風ピクルスを作ることもあります。先ほどのピクルス液にカツオ節と、しょうゆ少量を加えて、軽く火を通すだけ。カツオだしの香るすてきなおかずが出来上がります。
疲労の回復と貧血の予防効果を実感
こうしてウズラ卵ピクルスを食べるようになって以来、健康面でいちばんはっきりと感じたのは、疲労回復効果です。酢の作用もあるのか、疲れにくくなりました。貧血予防の効果もあるように感じます。
ウズラ卵を食べて、しっかりたんぱく質が補給できているおかげで、私はいつも元気そのもの。食事に加えて、歌い続けている効果もあるでしょうが、実年齢よりも、ずっと若く見られることが多いのです。
健康診断の数値は、いずれも問題ありませんが、なかでも、善玉コレステロールの数値が高く、非常にいい数値だとお医者さまからほめられたことがあります。それも、ウズラ卵ピクルスのおかげかもしれません。
これからも、いろいろなアレンジを楽しみながらウズラ卵のピクルスを食べ続けていこうと思います。それが健康維持にもつながるのですから、こんなにいいことはありません。
殺菌作用のある酢がのどを守りカゼを予防(こくらクリニック院長 渡辺信幸)
常岡さんは、卵とニンジンを組み合わせてピクルスを作っているとのこと。ニンジンには卵に含まれないビタミンCが含まれており、理想的な組み合わせです。ウズラ卵は手軽に調理できるので、続けやすいという点もよいですね。
また、酢には殺菌作用があり、のどを守りカゼを予防する効果もあります。歌手である常岡さんにはピッタリです。
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この記事は『壮快』2020年12月号に掲載されています。
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