おかずやおつまみに最適「おいしい!」と大人気
私はカナダ人で、カナダ最大の都市、トロントの出身です。幼いころは、カナダやアメリカで生活していました。
実は私の父、ワルドー・フォン・エリックはプロレスラーで、「エリック兄弟」として活躍していました。年配のプロレスファンのなかにはご存じのかたがいらっしゃるかもしれません。父は、1960年代~70年代にかけて、プロレスの遠征で、しばしば日本を訪れていました。そのため、日本という言葉をよく耳にしていた私は、子供のころから日本に親しみがありました。
私自身の初来日は1989年。父の影響か、幼いころからスポーツに親しんでいた私は、プロゴルファーになり、試合のために日本を訪れたのです。
その後、縁があって、日本で生活することに。42歳で、プロゴルフを引退。以前から食に興味があった私は、栃木県益子町で、有機野菜農家に転身しました。今では、自分の畑で採れた有機野菜や手作りの加工品を、地元の「道の駅」などで販売しています。
加工品のなかで、たいへん好評なのが、「卵ピクルス」です。
ピクルスは、酢とスパイスを煮立てて作った調味液に、野菜などの素材を漬ける、西洋のお漬物。なかでもゆで卵を漬け込んだ卵ピクルスは、カナダでは、「ピクルドエッグス」と呼ばれて、親しまれています。スーパーでも定番品として売られており、健康的な食品として、食卓に欠かせない存在です。
私にとっては懐かしい味ですが、日本のスーパーでは見かけません。あるとき、とても食べたくなって、母が書いてくれたレシピを見ながら、自分で作ってみることにしたのです。
完成品を知人や友人に食べてもらうと、「おいしい!」と大人気でした。

カナダ出身のアンさん
そこで私は地元の鶏卵農家さんの卵を使って、あらためて卵ピクルスを作り、商品化。農林水産省が主催する、地域の産品を発掘するコンテスト、『フード・アクション・ニッポンアワード(2019年度)』に出品することにしました。
すると、驚いたことに、全国1500点の応募のなかから選ばれて、みごと入賞したのです。外国人では初めての入賞になるそうです。おいしさが認められ、とてもうれしく思いました。
ここで、私の卵ピクルスの作り方をお話ししましょう。
材料は、卵10~12個、酢600ml、水300ml、塩小さじ1、スパイス大さじ2です。酢は、私はホワイトビネガーを使っていますが、なければ穀物酢を使用してください。
スパイスは、私は自分の農園で作ったハーブ類なども含め、11種類をブレンドして使っています。皆さんがご家庭で作る場合は、お好みでけっこうです。迷ったら、ローリエやコショウなどがお勧めです。
まず、卵をかためにゆでます。
次に、鍋に酢と水、塩、スパイスを入れて、10分ほど加熱します。熱を加えることで、スパイスの旨みを引き出すのです。その後、鍋にゆで卵を加えて、ひと煮立ちさせれば、出来上がりです。清潔な保存瓶に入れて、冷蔵庫で保管してください。
私の経験上、衛生管理に気をつけて作れば、2ヵ月ほどはおいしく食べられます。
食べ方はいろいろですが、いちばんのお勧めは、そのまま食べること。ご飯のおかずにもなりますし、お酒のおつまみにも最適です。アレンジもできます。細かく刻んで、マヨネーズと和えれば、タルタルソース風に変身。ドレッシングがわりに、いろいろな野菜と合わせて楽しめます。
卵を漬け込んだ酢は、もったいないので、オリーブオイルを加えて、ドレッシングとして使いきるようにしています。
農作業の疲れが取れてリラックス効果も実感

アンさんの卵ピクルス
この卵ピクルスは、おいしいだけでなく、私の健康維持の助けにもなっています。
卵ピクルスは、酸味がさわやかで、食欲のない日や、暑い日でも食べやすいのです。酢の疲労回復効果で、農作業の疲れが取れるように思います。
また、卵はしっかりたんぱく質をとれますから、たんぱく質不足が日ごろから気になるかたには特に勧められると思います。食べたときの満足感もあるので、ダイエットにも役立つでしょう。
多くのスパイスの効果も見逃せません。私自身、スパイスが血液の循環を促してくれると感じています。リラックス効果もあるようです。
卵ピクルスは、まだ日本の皆さんにはなじみが薄いですが、とてもおいしい物です。ぜひこの機会に、食べてもらえればと願っています。
卵と酢のダブル効果で疲労回復に特効(こくらクリニック院長 渡辺信幸)
コンテストで入賞とは、すばらしいですね!
酢についてはクエン酸による疲労回復効果が知られていますが、良質な動物性たんぱく質で、アミノ酸が豊富な卵も、疲れを取り除いてくれます。卵ピクルスは酢と卵、ダブルの効果で元気が出る食品だといえるでしょう。
マヨネーズと和えれば、卵の栄養分を最大限に摂取できます。
[別記事:血圧、血糖値が降下!医師が勧める酢漬け卵→]

この記事は『壮快』2020年12月号に掲載されています。
www.makino-g.jp