冬本番を迎えると店先に並び始めるのが、「干し柿」。特に、柔らかくてトロトロ食感の「あんぽ柿」はおいしいですよね。筆者も大好物ですが、自宅用のおやつにするにはちょっとお高い……。
手作りできないものかと思っていたところ、たまたま干し柿用の渋柿を発見!「テレワークで家にいる今なら作れる」とチャレンジしました。皮をむくところから口に入るところまで、細かくレポートします。

スーパーで干し柿用の渋柿を発見

11月初旬のある日、行きつけのスーパーにあんぽ柿が売られていました。お値段は4個1000円。自宅用フルーツとしてはちょっと高いな。と思ったら、そのとなりに「干し柿用渋柿」が売られているのを発見。こちらは7個で1000円!「これで干し柿を作ったら、ものすごくお得なのでは」と皮算用して即購入しました。

画像: 干し柿用の柿。ヒモを結ぶための枝がT字に残されています。

干し柿用の柿。ヒモを結ぶための枝がT字に残されています。

皮が残らないように丁寧にむく

干し柿を作るのは初めてなので、調べてみました。参考にしたのは、旅ぐるなびのサイトです。

まず、皮をむきます。皮が残っていると、そこだけ硬くなってしまうので、むき残しのないように丁寧にむいていきます。実が硬いせいか、思いのほか包丁が入らず大変でした。へたの周りは特にむきづらいので、最初にむくのがおすすめです。最後に残すと、手が滑ってもっとむきづらくなります。

もう一つ注意したいのが、へたに着いた枝を取らないこと。ここにひもを結んで、吊り下げて干すからです。私は皮をむいている最中に1つ、枝をもいでしまいました……。

画像: へたの周りに少し皮が残っていますが、これ以上は無理でした。

へたの周りに少し皮が残っていますが、これ以上は無理でした。

干すためのひもを結ぶ

へたについているT字の枝に、ひもを結んでいきます。麻ひもを使うと雰囲気が出るのですが、家になかったので、無粋ですがビニールひもを使います。

画像: ずっしり重くて「干している間にも枝が取れるのでは?」と不安になります。

ずっしり重くて「干している間にも枝が取れるのでは?」と不安になります。

熱湯消毒でカビを防ぐ

水分の多い物を食べ物を扱う際には、カビの発生が心配です。干す前に、グラグラと煮立った熱湯に5~10秒漬けることで、雑菌の繁殖を抑えられるといいます。

画像: 7個の柿をすべて熱湯消毒。両手に柿をぶら下げ、鍋に入れたり出したり。けっこう忙しいです。

7個の柿をすべて熱湯消毒。両手に柿をぶら下げ、鍋に入れたり出したり。けっこう忙しいです。

天気のいい日中はベランダに、雨の日と夜間は室内に

いよいよ干していきます。我が家の場合、日当たりと風通しがよいベランダに干すことにしました。
物干しスタンドに、洗濯物と一緒に干しました。

干し方にも、カビ発生を防ぐポイントがあります。柿と柿がくっつかないようにすること。高さを変え、間隔を開けて干しましょう。

枝が取れてしまった柿は、ざるにのせて干しました。

画像: 洗濯物と一緒に干される柿たち。

洗濯物と一緒に干される柿たち。

夕方、洗濯物を取り込む際に、柿たちも一緒に取り込み、室内物干し場(屋根と囲いのあるベランダみたいなスペース)に移動させます。雨の日も、室内物干し場に干しました。

画像: 屋根と囲いがあるので雨露をしのげます。

屋根と囲いがあるので雨露をしのげます。

干し始めて3日目の夕方、干し柿を取り込もうとベランダに出たとき、思わず「ああああ!」と声を上げてしまいました。落下事故です。

画像: 枝がもげました……。

枝がもげました……。

また1つ、枝が取れてしまいました……。2つの柿をひもでつないでいるため、1つが落ちるともう1つも落下してしまうのです。この子たち(すでに柿に愛着が湧いています)は再度、熱湯消毒。そして、枝なし柿が2個になって、もう使えるざるがないため、実の部分にひもを通して吊るすことにしました。

1週間後にはすっかり干し柿の風格

1週間ほど経つと、もうフレッシュな柿の雰囲気はなくなり、すっかり干し柿の風格が出てきました。

画像: ゴム通しを使って、実にひもを通した「落下柿」。見た目はすっかり干し柿です。

ゴム通しを使って、実にひもを通した「落下柿」。見た目はすっかり干し柿です。

外側が乾燥してきたら、優しくもみほぐしてあげると、柔らかでとろとろの「あんぽ柿」になるそうです。手を消毒して、毎日もんでみました。この作業も、まるで生き物を育てているような感じで、楽しいものです。

画像: 1週間でけっこう柔らかくなります。

1週間でけっこう柔らかくなります。

甘みが出てきたら念のため室内に

生のうちは渋くて鳥や虫も食べない柿も、干して甘くなると狙われるようです。我が家のベランダには、たまにカラスも訪れるので、10日目くらいからは日中も室内物干し場で干しました。

20日目、市販のあんぽ柿のようなオレンジ色から、徐々に黒っぽくなってきたので、そろそろ食べごろと判断。乾燥終了です。

実にひもを通した右端の2つは、より乾燥が進んだのか、黒さが際立っています。触った感じも硬めです。

「表面に白い粉(糖分)が吹いてきたら完成」と書いてあるものもあったのですが、我が家の柿たちは、白くなるどころか、だんだん黒くなっていきました。ポツポツと白くなっている部分はありましたが、全体に白い粉が吹くことはありませんでした。

画像: ちょっと黒くなり過ぎました。もっと早めに乾燥終了した方がよかったかも。

ちょっと黒くなり過ぎました。もっと早めに乾燥終了した方がよかったかも。

トロトロに仕上がりました

さっそく実食です。包丁で半分に切ってみたところ、中はトロトロ!表面が白くならなかったので心配しましたが、十分甘くおいしく出来上がりました。丁寧に淹れたお茶と一緒にいただきました。

画像: 甘みも舌ざわりも私好みに仕上がりました。大成功!

甘みも舌ざわりも私好みに仕上がりました。大成功!

チーズやバターと組み合わせてお酒と一緒に

干し柿とチーズが合うのは知っていたのですが、最近、「干し柿とバター」の組み合わせも流行しているとのこと。さっそく干し柿を半分に切って、両方とも試してみます。

ほんとうはブルーチーズと合わせたかったのですが、とりあえず今回は家にあったクリームチーズを、干し柿の半分に詰めてみました。もう半分には、バターを。普通の有塩バターです。

画像: 向かって右がクリームチーズ、左がバターです。

向かって右がクリームチーズ、左がバターです。

これはおいしい。絶妙な組み合わせです。でも、考えてみたら、干し柿はドライフルーツ。レーズンバターがあるのですから、干し柿とバターが合うのは当然なのかもしれません。クリームチーズとの組み合わせもおいしいですが、ブルーチーズくらい塩味とクセが強くてもいいと思います。今回は赤ワインと一緒にいただきましたが、焼酎やブランデーにも合いそうです。

あんぽ柿は冷凍保存がおすすめ

今回は3週間ほどしか干さず、中はトロトロの半生状態なので、保存は常温や冷蔵だとカビが出る心配があります。密閉できる袋や容器に入れて、冷凍保存するのがおすすめです。私は今回、7個しか作らなかったので、冷凍する間もなく、残りがあと1個になってしまいました。これはブルーチーズと合わせようと思っています。

まとめ

干し柿には熟練の技が必要かと勝手に想像していたのですが、思った以上に簡単に、楽しく、おいしく作ることができました。干し柿用の渋柿は、通販などで入手することができます。私は今シーズン、もう一回干し柿を作ろうかと思っています。おうち時間の楽しみの一つとして、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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