ゴボウは不溶性と水溶性二つの食物繊維をバランスよく含んだ数少ない野菜です。また、フラクトオリゴ糖という消化されない糖が含まれています。これが腸に届くと、腸内環境が整い、脂肪だけでなくストレスまでため込みにくくなるのです。【解説】水谷俊江(管理栄養士・ダイエット指導者)

解説者のプロフィール

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水谷俊江(みずたに・としえ)

管理栄養士。ダイエット指導者。特定保健指導での相談業務に携わり、「食」をテーマにしたコラムを執筆。南米、北米での10年にわたる生活から、日本の食文化のよさを実感。1人ひとりにあった無理のないダイエット法を提供。

ゴボウの食物繊維が重要なポイント

私が初めてダイエットを試みたのは、中学生のときでした。食べるのが大好きで、子供のころからぽっちゃりタイプだった私は、その後もさまざまなダイエット法に挑み、54kgあった体重(身長153cm)を41kgまで落としました。

私は、こうしたダイエット体験をベースにして、大学で学んだ栄養学の知識を生かし、おいしくて栄養バランスのよい、健康的なダイエット法を皆さんにご提案しています。

そんな私の一押しのダイエット食品の一つが、ゴボウを酢に漬けて作る「酢ゴボウ」です(作り方は下記参照)。

現代人は、肉や加工食品をとることが増え、食物繊維の摂取量が1日の目標量(必要量)より5~6gも不足しています。ゴボウは食物繊維の宝庫で、100g中に5.7gも含まれているので、100g(約2分の1本)も食べれば、その不足分をカバーできます。

このゴボウの食物繊維が、ダイエットには、とても重要なポイントとなります。

食物繊維には不溶性と水溶性がありますが、ゴボウはこの二つの食物繊維をバランスよく含んだ数少ない野菜です。不溶性は便のカサを増し、水溶性は便をやわらかくして、相乗的にお通じを促します。便秘の改善に大いに役立ち、腸がきれいになって全身の代謝もよくなります。

それに加え、水溶性食物繊維のイヌリンには、糖や脂肪の吸収を抑える働きがあります。つまり、余分な脂肪の蓄積が減って、太りにくくなるのです。

またゴボウには、フラクトオリゴ糖という消化されない糖が含まれています。これが腸に届くと、酪酸菌やビフィズス菌などの善玉菌のエサになります。すると、腸内環境が整い、脂肪だけでなくストレスまでため込みにくくなるのです。

酢ゴボウには酢のよさも加わります。酢には、内臓脂肪を減らす、血液をサラサラにする、などの効果が知られています。また、糖や脂肪の蓄積を防ぐ、ゴボウポリフェノールの酸化を抑える作用もあります。

このように、ゴボウと酢はダイエット食品として、とてもよい組み合わせなのです。

ゴボウを綿棒でたたくのがポイント

酢ゴボウに使う酢は、アミノ酸やビタミン、ミネラルが豊富に含まれている黒酢がお勧めです。また、ハチミツを加えると、甘みがついて食べやすくなるうえに、抗菌作用が働いて長持ちします。

作る際のポイントは、ゴボウを麺棒でたたくことです。ゴボウに含まれるポリフェノールのクロロゲン酸には強い抗酸化作用がありますが、かたい細胞壁の中にあるため、十分に力を発揮できません。そこでたたいて細胞壁を壊し、クロロゲン酸の吸収をよくするのです。

また、ゴボウは加熱しますが、熱いうちに酢に漬けると味がしみやすくなります。出来上がった酢ゴボウは、1週間以内に食べきりましょう。

ダイエットのためには、食べ方も大事です。必ず食事の最初に食べてください。そうすることで、血糖値の急激な上昇を抑えられます。飲酒やおやつを食べる際も、酢ゴボウを少しつまんでおくと、糖の吸収が緩やかになります。

ゴボウはかみごたえがあるので、ひと口30回くらいかんで食べましょう。満腹感が得やすく、肥満の主因となる過食を防ぐことができます。よくかめば、唾液の分泌が促されて消化もよくなります。

酢ゴボウは、細かく切って、ヨーグルトに混ぜると、ゴボウの歯ごたえがアクセントになって、意外なおいしさを味わえます。ゴボウのフラクトオリゴ糖に加え、ヨーグルトの乳酸菌も腸に届き、善玉菌のエサが増えます。ぬか漬けといっしょに食べても同様の効果があり、腸内環境の改善に役立ちます。

なお、ポリフェノールや水溶性食物繊維は酢に溶け出しますから、漬け酢もドレッシングや炒め物の調味料として使いましょう。炭酸水や豆乳に加えて飲むのもお勧めです。さっぱりしておいしく、酢ゴボウの栄養も余すところなくとれます。

私は50代になった現在も、ダイエットを行った当時の体重(41kg前後)を維持できています。これも酢ゴボウなどを取り入れた、バランスのよい食事をしているおかげです。

酢ゴボウは、おいしく食べ、健康的にやせたいと思っている人には、お勧めの一品です。

水谷先生の酢ゴボウの作り方(3日分)

画像1: 水谷先生の酢ゴボウの作り方(3日分)

【材料】
ゴボウ…300g
黒酢…1カップ
ハチミツ…大さじ2

画像2: 水谷先生の酢ゴボウの作り方(3日分)

【作り方】
ゴボウをタワシで洗い、5cmの長さに切り、さらに縦に切る。

画像3: 水谷先生の酢ゴボウの作り方(3日分)

①をポリ袋に入れ、麺棒などで軽くたたく。
②を皿に移し、電子レンジ(600W)で4分加熱する。

画像4: 水谷先生の酢ゴボウの作り方(3日分)

耐熱容器に黒酢とハチミツを入れ、電子レンジ(600W)で2分温める。
④に③を入れ、かき混ぜて、半日おくと出来上がり。
※④の耐熱容器にだしコンブ(5cm×10cm)を加えると旨みが増す。

⃝ダイエットに有効な食べ方
•50gを1日2回、食事の最初にとる。
•ひと口30回を目安にかんで食べる。
•ヨーグルトやぬか漬けといっしょにとる。

⃝保存
冷蔵庫で1週間は保存できる。

⃝残った漬け汁
サラダのドレッシング、炒め物の調味料、揚げ物のタレなどに利用する。水や炭酸水、豆乳などに加えて飲む。

画像: この記事は『壮快』2020年12月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年12月号に掲載されています。

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