著者のプロフィール

小田真規子(おだ・まきこ)
料理研究家 栄養士 フードディレクター
女子栄養大学短期大学部卒業後、料理家のアシスタントを経てスタジオナッツを設立。以来、料理制作に携わり、誰もが作りやすく、健康に配慮した、簡単でおいしい家庭料理をテーマに、料理・生活雑誌にオリジナルレシピを発表。手軽な作りおきや、料理の基本のレシピ本を中心に、著書は100冊を超える。無理なく続けられる減塩メニューや、低カロリーのヘルシーなお菓子のレシピにも評価が高い。
▼スタジオナッツ(公式サイト)
▼パプリカマキコの料理のパプリ科(Instagram)
本稿は『親に元気を届ける 作りおきごはん』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
お届けおかずの温め直し方
●あたためボタンかあたため解凍ボタンで。ない場合は冷蔵は1分半〜2分、冷凍は2〜3分加熱。
●冷蔵、冷凍ともに大さじ1杯の水を回しかけてから加熱。
●冷蔵、冷凍ともに、ドーム状にふんわりラップをかけましょう。
この記事の決まり
●使用している計量カップは200㎖、計量スプーンは大さじ1=15㎖、小さじ1=5㎖です。1㎖は1ccです。米1合は180㎖です。
●カロリーは特に記載のない場合、1人分の数値です。
●根菜などは皮をむくことを前提としています。
●保存容器は、よく洗うか、アルコールスプレーなどで消毒して使いましょう。
●電子レンジは600Wのものを基準にしています。お使いの電子レンジのワット数に応じて、加熱時間を調整してください。500Wの場合は、レシピに記載している時間の1.2倍が目安です。
●いずれの調理機器も、各メーカーの使用説明書にしたがって使用してください。
●加熱調理の際にラップフィルムを使用する場合は、製品の耐熱温度などを確認してお使いください。
大きな肉じゃが
じゃがいもは大きめに切って簡単に。箸で適度な大きさにくずしながら食べるほうが、咀嚼も促せます。玉ねぎは切り方を工夫して食べやすく。
1人分409kcal
塩分3.5g

材料 2〜3人分
豚肩ロース薄切り肉…200g
A
しょうゆ…大さじ1
砂糖…大さじ1
じゃがいも…4個(正味400g)
玉ねぎ…1個(約200g)
小麦粉…小さじ2
サラダ油…大さじ1
B
しょうゆ…大さじ3
みりん…大さじ2
砂糖…大さじ1
作り方
①豚肉は長さを半分に切り、Aの材料をからめる。玉ねぎは縦半分に切り、繊維を断つように1cm厚さに切る。
②じゃがいもは1個を2等分に切って水に5分さらす。
③鍋にサラダ油を中火で熱し、水けを拭いたじゃがいも、玉ねぎの順に加え、そのつど軽く混ぜながら2分炒める。全体に油が回り、色が変わってきたら、水1と1/4カップ(分量外)を注ぐ。煮立ったらアクを取り、①の豚肉に小麦粉をまぶし、すき間に落とし入れる。
④Bの材料を加え、再び煮立ったら弱めの中火にする。ペーパータオルをぬらしてかぶせ、ふたをずらして12〜13分煮る。火を止めてふたをし、10分蒸らす。
ラクうまpoint
じゃがいもは2等分、あえて大きめに。切る手間を減らして。

保存
●消毒した保存容器に入れて冷蔵室で4日間保存可能。

送るときは
●冷蔵保存&発送OK。
●冷凍は不向き。
●お届けするときも冷蔵で。
たたみ肉の角煮
薄切り肉を重ねて巻いて、かたまり肉風に。ボリューム感は保ちつつ、かみ切りやすくなり、煮込み時間はぐっと短縮。
1人分613kcal
塩分2.8g

材料 3〜4人分
豚バラ肉薄切り…24枚(500〜550g)
小麦粉…大さじ1
玉ねぎ…1個(約200g)
ゆで卵(8分ゆで)…2個
しょうがの薄切り…3かけ分(約30g)
A
しょうゆ…大さじ4
みりん、砂糖…各大さじ2
サラダ油…大さじ1
作り方
①豚肉は4枚を1組にする。そのうち2枚は6×5cm幅に蛇腹にたたみ(写真a)、2枚を1組にして重ねる。1枚は縦長に置き、たたんだ肉を包むように巻く(写真b)。残りの1枚で先と直角に向きを変えて巻き、四角く形を整える(写真c)。これを6組作る。小麦粉をまぶし、余分な粉をはたく。玉ねぎは6等分のくし切りにする。



②フライパンにサラダ油を中火で熱し、肉の巻き終わりを下にして並べ入れる。強めの中火で両面を2〜3分ずつ、きれいな焼き色がつくまで焼く。出てきた余分な脂はペーパータオルで拭き取る。
③Aの材料を加える。2〜3分煮からめ、照りがついたら水1/2カップ(分量外)と玉ねぎ、卵、しょうがを入れる。再び煮立ったら少しずらしてふたをして、弱火で20分煮る。途中で一度、上下を返す。肉が大きければ食べやすく切ってほかの具材とともに器に盛る。
保存
●消毒した保存容器に入れて冷蔵室で4日間保存可能。
●冷凍保存も可能。1食分ずつラップで小分けに包んでから、冷凍用の保存袋に入れる。ゆで卵は冷凍に不向きなので肉だけに。


送るときは
●冷蔵・冷凍保存&発送OK。
ふんわり
つくね焼き
ふっくら柔らか食感のひみつは、えのきだけ。ひき肉が焼き縮みせず、食物繊維もたっぷりとれます。そのまま焼くのはもちろん、煮ものにしても。
1人分193kcal
塩分1.7g

材料 2人分
A
鶏ひき肉…150g
えのきだけ…150g
塩…小さじ1/4
小麦粉…大さじ1
サラダ油…小さじ2
B
砂糖…大さじ1
しょうゆ…小さじ2
水…大さじ2
青じそ、七味唐辛子…各適量
作り方
①えのきは5mm幅に切り、ボウルに入れて塩をふって混ぜる。
②残りのAの材料を加えて1分ほどよく練り混ぜる。6等分して1cm厚さの平らな円形にする。
③フライパンにサラダ油を入れて中火で30秒ほど熱し、②のたねを入れ4〜5分焼く。焼き色がついたら上下を返し、さらに3分焼く。
④出てきた余分な脂をペーパータオルで拭き取り、Bの材料を加えて2分ほど煮からめる。青じそを添え、七味をふってもよい。
ラクうまpoint
えのきに先に塩をまぶし、下味をつけるとともに、少し水分を出して肉となじみやすくする。よく練って口当たりよく。

保存
●消毒した保存容器に入れて冷蔵室で4日間保存可能。
●冷凍保存も可能。1食分ずつラップで小分けに包んでから、冷凍用の保存袋に入れる。


送るときは
●冷蔵・冷凍保存&発送OK。
ふっくら煮魚
ふっくら煮上げるために、加熱は中火で10分以内に。煮汁は少し甘めにすると、満足感が出ます。ゆで野菜を添えると、食べ飽きません。
1人分170kcal
塩分2.1g

材料 2人分
切り身(カレイ)…2切れ(約250g)
しょうが…1かけ(約10g)
ゆで野菜(ブロッコリーなど)…50g
A
しょうゆ、みりん、砂糖…各大さじ2
水…1/2カップ
作り方
①カレイは皮目に切れ目を斜めに一文字に入れる。しょうがは薄切りにする。
②直径20cmのフライパンに、Aの材料を入れて強めの中火にかけ、煮立ったら魚を皮目を上にして入れ、しょうがを加える。
③ぬらしたペーパータオルをかぶせ、スプーンで煮汁をかけながら中火のまま7〜8分煮る。ペーパーをはずしてゆで野菜を加え、さっと煮て、火を止める。
ラクうまpoint
フライパンは切り身がやっと入るかな?くらいの小さい口径のものを。煮汁に全体が浸り、味がつきやすい。

保存
●消毒した保存容器に入れて冷蔵室で4日間保存可能。

送るときは
●冷蔵保存&発送OK。
●冷凍は不向き。
●お届けするときも冷蔵で。
「味枯れ」しない
気楽な豚汁
豚汁は、煮返すうちに、味が枯れた(抜けた)状態に。肉の脂を抜き、みそとしょうゆで味つけすると、味枯れしません。野菜は数を絞って気楽に作りましょう。
1人分272kcal
塩分2.5g

材料 3〜4人分
豚バラ薄切り肉…200g
大根…1/5本(約200g)
にんじん…1/2本(約80g)
ごぼう…1/2本(約80g)
しめじ…1/2パック(約50g)
長ねぎ…1/4本(約25g)
ごま油…小さじ2
みそ…大さじ2〜3
しょうゆ…大さじ2
作り方
①大根とにんじんは8mm厚さのいちょう切りにする。ごぼうはよく洗って斜め5mm厚さに切り、水に5分さらす。しめじは小房に分ける。ねぎは5mm幅に切る。
②豚肉は5〜6cm幅に切り、耐熱ボウルに入れて、3カップの熱湯をかける。3分おいて水けをきる。
③鍋にごま油を中火で熱し、水けをよく拭いたごぼう、大根、にんじんの順に加え、そのつど軽く混ぜながら2〜3分かけて十分に炒める。油が回ったら、豚肉としめじを加えて水4カップ(分量外)を注ぎ、煮立ったらアクを除く。しょうゆを加え、弱火で10〜12分煮る。みそを溶き入れてねぎを加え、2〜3分煮る。
ラクうまpoint
肉に熱湯をかけ、箸で軽くほぐす。余分な脂が抜け、アクも取れる。汁の雑味がなくなり、翌日以降も味が落ちにくい。

保存
●消毒した保存容器に入れて冷蔵室で4日間保存可能。
送るときは
●冷蔵保存&発送OK。
●冷凍は不向き。
●送るときは、ポリ袋に入れて口を縛ってからスクリュー式の保存容器に入れると万全。
●お届けするときも冷蔵で。

食べやすくなる
調理のコツ
野菜の繊維を断つように切る
野菜は繊維の走っている方向と直角に、繊維を断ち切るように包丁を入れます。繊維と同じ向きに切ると、時間をかけて加熱しても繊維が残りやすく、うまくかみ切れないことがあります。繊維を断ち切るようにすれば、調理時間の短縮にもなります。

野菜の繊維の向きを見て、直角に断ち切る

汁けを多くしたり、粉をまぶして
なめらかな口当たりに
シニアになると唾液の量が減ったり、嚥下機能が衰えるので、ものが飲み込みにくくなります。トマト煮など、煮ものにする肉は表面に小麦粉をまぶしてコーティング。膜を作ることで肉の内部に水分を閉じ込め、ジューシーに仕上がり、かみやすさ、飲み込みやすさがアップ。汁にも少しとろみがついて、より食べやすくなります。

細かすぎると食べにくい。
自分で調整できるサイズに
かむ力や飲み込む機能が弱くなったからといって、食材を細かく切ると、歯や歯茎の間にはさまったり、むせやすくなって逆効果なことも。自分の歯で好みの大きさにかみ切れるほうが食べやすいので、適度な大きさを保ちましょう。箸で切り分けたり、くずして食べられるような柔らかさに加熱するのが大切。手先を動かすよい機会になります。

肉じゃがは箸で少しずつくずせる大きさに

なすは切り目をたくさん入れつつ、大ぶりに

炊き込みご飯の具は薄く、大きく
肉や魚は加熱しすぎないように
「後入れ」で
煮ものに加える肉は、ちょっとした手間でおいしく、柔らかくなります。肉などのたんぱく質素材は加熱によってかたく締まり、その後さらに加熱を続けるとホロホロとくずれますが、同時に水分やうまみ、ジューシーさも抜けてしまいます。加熱時間を短くして、水分を保持したほうが飲み込みやすく、うまみも残ります。肉は別に調理し、表面を焼きつけてから煮汁に投入。煮る時間は最小限に。

なお、本稿は『親に元気を届ける 作りおきごはん』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
※③「お届けおかず(洋食)」はこちら