親が歳をとり生活が変わってくると、日々の食事をどうしたらいいか…。色々なパターンの〝親ごはん〟を紹介しています。作りに行く、届ける、送ると、提供スタイルは様々だと思います。その点も意識しつつ、手間を省きながらおいしく作れる、親が喜んでくれるメニューと素材を選びました。食事は健康のためだけでなく、大切なコミュニケーションツールにもなります。【解説】小田真規子(料理研究家)

著者のプロフィール

画像: 著者のプロフィール

小田真規子(おだ・まきこ)

料理研究家 栄養士 フードディレクター
女子栄養大学短期大学部卒業後、料理家のアシスタントを経てスタジオナッツを設立。以来、料理制作に携わり、誰もが作りやすく、健康に配慮した、簡単でおいしい家庭料理をテーマに、料理・生活雑誌にオリジナルレシピを発表。手軽な作りおきや、料理の基本のレシピ本を中心に、著書は100冊を超える。無理なく続けられる減塩メニューや、低カロリーのヘルシーなお菓子のレシピにも評価が高い。
▼スタジオナッツ(公式サイト)
▼パプリカマキコの料理のパプリ科(Instagram)

本稿は『親に元気を届ける 作りおきごはん』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。

お届けおかずの温め直し方
●あたためボタンかあたため解凍ボタンで。ない場合は冷蔵は1分半〜2分、冷凍は2〜3分加熱。
●冷蔵、冷凍ともに大さじ1杯の水を回しかけてから加熱。
●冷蔵、冷凍ともに、ドーム状にふんわりラップをかけましょう。

この記事の決まり
●使用している計量カップは200㎖、計量スプーンは大さじ1=15㎖、小さじ1=5㎖です。1㎖は1ccです。米1合は180㎖です。
●カロリーは特に記載のない場合、1人分の数値です。
●根菜などは皮をむくことを前提としています。
●保存容器は、よく洗うか、アルコールスプレーなどで消毒して使いましょう。
●電子レンジは600Wのものを基準にしています。お使いの電子レンジのワット数に応じて、加熱時間を調整してください。500Wの場合は、レシピに記載している時間の1.2倍が目安です。
●いずれの調理機器も、各メーカーの使用説明書にしたがって使用してください。
●加熱調理の際にラップフィルムを使用する場合は、製品の耐熱温度などを確認してお使いください。

はじめに

数年前まで、家族と交替で母を介護していました。週末は私の担当。食事で心がけたのは、極力自分が行って作るか、作って持っていくこと、きれいに器に盛りつけること、できるだけ一緒に食べることでした。好きなおかずを小鉢に並べただけで、母は思いのほか喜び、少し食も進みました。

私の周囲でも、親が歳をとり生活が変わってくると、日々の食事をどうしたらいいかと、よく聞かれるようになりました。親と同居か、近所か、遠方か、また、年代、体調、食生活、嗜好、調理能力で考え方も違うので、一概にこうしたらいいとは言えません。食事をケアする側の子どもも日々忙しく、自分の食事さえままならないことも。だから、せめて親の食事が、子どもの時間や気持ちの上で、大きな負担になってほしくないと思います。

そして、歳をとった親は、往々にしてわがまま。文句を言われてカチンときたり、うんざりすることもあるでしょう。でも、残された時間を考えたら、それも楽しむ余裕を持ちたい。そんな時、自分が料理店主になればいいと思いました。親を「お客」として食事を提供することは、自然に「お客」の気持ちに配慮し、「作らなくては」という使命感から解放されます。そして「いかがですか」というもてなしの心が、いつしか自分の気持ちも盛り立ててくれます

そうした店主気分で作れる色々なパターンの〝親ごはん〟を紹介しています。作りに行く、届ける、送ると、提供スタイルは様々だと思います。その点も意識しつつ、手間を省きながらおいしく作れる、団塊世代からの親が喜んでくれるメニューと素材を選びました。食事は健康のためだけでなく、大切なコミュニケーションツールにもなります。作る子どもにも、食べてくれる親にも、楽しく豊かな時間にしてほしいと思います。

画像1: イラスト/吉本ユータヌキ
イラスト/吉本ユータヌキ

親ごはんはちょいテキトー
くらいがちょうどいい。

「あれが食べたい」と言うから、一生懸命作ったのに、いざ食卓に並べると、これではないと言う。味つけが違う、切り方がどうの、おかずへのダメ出し。忙しい中、時間をひねり出してがんばって作っているのに、親には感謝の気持ちがない〜! 報われない〜! 親ごはんを作っている人たちには、モヤモヤを抱えている人も少なくありません。

そう、親子だからこそ互いに遠慮がなくて、直接的な厳しい言葉が胸に刺さります。ガマンは禁物、でも、さらりと受け流し、無理せず、ゆる〜くいきましょう。親ごはんはちょいテキトーくらいの気持ちがちょうどいいのです。 

画像2: イラスト/吉本ユータヌキ
イラスト/吉本ユータヌキ

この本(記事)の特徴

シニア世代の親に食べやすい形状、
かたさ、好まれる味つけに

食に対してとても保守的な面と、意外と新しい料理を知っていて、未知の味にも挑戦してみようと思ってくれる世代です。長年食べ慣れた定番の料理を8割、新しい味を2割くらいの割合で収録しました。材料の切り方は、かみ切りやすく、飲み込みやすい形状にしています。

画像3: イラスト/吉本ユータヌキ
イラスト/吉本ユータヌキ

作り手にはレシピを簡単に、
食べ手には最高においしく

作り方は、より簡単に。食べる人には「いつもの料理より、おいしい!」と思ってもらえる味を目指しました。作り手がラクになるよう、なるべく簡単な手順にし、あれこれ買い揃えなくても作れるよう、材料はなるべく身近な素材を少品目に厳選しています。「卵を40回混ぜる」「1分動かさずに焼く」など、細かく回数や時間を書いていますが、まずはそれを目安に作ってみてください。何度も試作をして、だれもがおいしく作れる目安として割り出した数値です。そのとおりに作ると、ぐっとおいしくなります。慣れたら見なくても作れるはず!

作りたてよりも、時間がたってから
おいしくなるように

料理が最高においしい「味の頂点」を作りたてに持ってきてしまうと、送ったりお届けして温め直したときに、どうしても「前の日の料理の味」になってしまいます。煮ものは「もう少し味をしみ込ませたいな」というところで調理をストップして、再加熱したときに頂点の味になるレシピにしました。また、保存性が高まるよう、汁やオイルに漬けた料理を多くしていますが、漬け込むうちに味がなじみ、作りたてのときよりもおいしくなっていきます。

画像4: イラスト/吉本ユータヌキ
イラスト/吉本ユータヌキ

半分は親のために、半分は自分のために

親のためだけに何種類もの料理を作ろうとすると、疲れてしまって長続きしません。親子で半分ずつ分け合えるよう、量はたっぷりめの2人分から3人分になっています。半分は親のために、半分は自分のための作りおきと思うと、気分がラクになるし、手元のおかずは未来の自分を助けてくれます。

画像: 半分は親のために、半分は自分のために

お届けごはんのコツ

料理の仕上げに酢を活用

この本ではしばしば「仕上げに酢を加える」というレシピがあります。これは、味つけというよりは、保存性を高めるため。酢の殺菌効果で日持ちがよくなるだけでなく、酢には味の劣化をおさえ、風味を一定に保ってくれる役割があります。また、味のまとまりをよくする効果もあります。最後に酢を加えるという指示があるときは、ぜひ入れてみてください。

汁けはとばすか、素材全体が
漬かるくらいしっかりと漬ける

中途半端に汁けが残っていると、傷みやすくなったり、作りたてとは違うにおいが発生することも。余分な汁けはとばすように仕上げましょう。もしくは、材料全体がオイルや汁に漬かるようにして、なるべく空気に触れないようにすると日持ちがよくなります。この本ではオイルやとろみのついた汁などで材料が自然にコーティングされるよう、工夫していますが、保存する容器によって漬かり具合が変わってきます。なるべく8分目くらいまででいっぱいになる容器を選んで。

画像: 汁けはとばすか、素材全体が 漬かるくらい しっかりと漬ける

料理は完全にさめてから密閉する

料理が温かいうちにふたをしてしまうと、容器の内側に水滴が多くたまり、傷みやすくなります。こもった蒸気や熱で、加熱が進み、味が変わってしまうこともあるので、しっかりとさましてからふたをしましょう。密閉できる容器に詰め、さらにポリ袋に入れておくと安心です。

画像: 料理は完全に さめてから密閉 する

おかずは冷蔵、ご飯は冷凍して
送るのがおすすめ

料理は温め直して食べてもらうのが理想ですが、冷蔵のおかずならそのままでも食べることができます。ぱっと見たときに料理の内容がわかり、味見もできます。冷凍は意外と忘れてしまうことも。「これを食べよう」とイメージしてもらいやすいので、おかずは冷蔵がおすすめ。ご飯ものだけは味を保ちやすい冷凍をおすすめします。宅配便では冷凍品と冷蔵品を混在して送ることはできないので、気をつけて。

画像: おかずは冷蔵、ご飯は冷凍 して 送るのがおすすめ

発送・梱包のポイント

密閉容器に入れ、保冷剤をつけて冷蔵品、または冷凍品と指定を。取り扱い窓口のある営業所に持ち込むか、集荷を依頼して。

画像: 発送・梱包のポイント

大手運送業社や日本郵便には、冷蔵・冷凍温度帯で輸送をしてくれるサービスがあります。取り扱いは保冷設備のある営業所に限られるので、直接営業所に持ち込むか、集荷を依頼しましょう。コンビニエンスストアではいずれの会社も冷蔵、冷凍便の取り扱いがありません。送るものは密閉容器に入れ、汁もれ対策でさらにポリ袋に入れておくと安心です。あらかじめ冷蔵庫で冷やしておき、保冷剤をつけて段ボールに入れましょう。発泡スチロールや保冷バッグは、入れたものの温度が上がりにくくなる効果は高いものの、外からの冷気が届かないので、冷蔵便指定のときには不向き。

画像5: イラスト/吉本ユータヌキ
イラスト/吉本ユータヌキ

冷凍品を送りたいときは

冷蔵便とは保管庫が異なるので、冷凍品と冷蔵品を混在して送ることはできません。また、クール便はいずれも通常より冷たい環境下で輸送をするサービスで、輸送中に冷凍してくれるわけではないので、あらかじめしっかり凍らせておく必要があります。

お楽しみをプラスして

すき間が空いたら、梱包材のかわりにレトルト食品やおやつをプラス。親が買い物に行けないときのお助けの1品になりますし、自分では選ばないものが入っていると、意外とうれしいもの。

画像: お楽しみをプラスして

なお、本稿は親に元気を届ける 作りおきごはん(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【介護食】高齢者向け「作り置き」レシピのコツ 親に作って届けたい安心ごはん
親に元気を届ける 作りおきごはん
¥1,320
2020-12-03 8:31

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