詐欺の手口は日々進化しています。これからであれば「コロナウイルスへのワクチン」などをかたる詐欺が出てくる可能性があります。だからこそ「ダマされる心理」という本質を知ること、ストレスがかかる場面で「耐える訓練」を積んでおくことが重要です。【解説】西田公昭(立正大学心理学部教授)

解説者のプロフィール

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西田公昭(にしだ・きみあき)

立正大学心理学部教授。1960年、徳島県生まれ。1984年、関西大学社会学部卒業。博士(社会学)。静岡県立大学助手、スタンフォード大学客員研究員、静岡県立大学准教授を経て現職。カルト宗教のマインド・コントロールの研究や、詐欺・悪徳商法の心理学研究の第一人者。『だましの手口』(PHP研究所)、『マンガでわかる!高齢者詐欺対策マニュアル』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。

自宅に一人でいる人が狙われる

「ダマされるほうが悪い」。詐欺の被害者に対して、このように言う人がいます。「これだけ言われているのに、まだダマされるなんて」「本人が油断しているからだ」と、他人事として考えているのでしょう。

しかし、この考えは大きな間違いです。

私は長年「ダマしの手口」や被害者の心理について研究してきました。その私が断言します。ダマされているのはこうした「自分は大丈夫」と考えていた人たちなのです。

令和元年の特殊詐欺(面識のない不特定多数の相手に電話やメール、インターネットなどを介して、対面せずに金銭をダマし取る犯罪の総称)の件数は1万6851件。被害総額は316億円にも上りました。

しかも、これらは警察に被害届が出されたものの統計です。被害が10~20万円程度と比較的少額であったり、あるいは「バレたら家族から責められる」「恥ずかしいからもう忘れたい」という心理から、警察には届けず泣き寝入りしている人も、相当数いるはずです。

つまり、実際の被害件数はもっと多い、ということ。このことからも誰もがダマされる可能性があることが分かります。

実際に被害に遭っているのは、どんな人なのでしょうか。

前述した令和元年の警察庁の統計によると、被害者の83・7%は65歳以上の高齢者でした。特に、親族や警察官などになりすましてダマす「オレオレ詐欺」では、65歳以上の高齢女性が、被害者の84.4%を占めていました。年齢ごとの統計では、80歳前後に被害が多発しています。

しかし、これは高齢者や女性だからダマされやすい、ということではありません

これらの詐欺は、1本の電話から始まります。その電話に出るのが、自宅にいることが多い高齢者であり、女性なのです。

また、高齢になると脳が衰えるからダマされるのでは、と考えられがちですが、それも間違いです。認知症などの病気にならない限り、判断力はそれほど衰えるわけではありません。

代表的な特殊詐欺の手口

【オレオレ詐欺】

親族(他に会社の上司、警察官、弁護士など)になりすましたニセ電話で、親族が起こした会社での横領・トラブルや交通事故の示談金といった名目で、お金、キャッシュカードなどをダマし取る詐欺。

【預貯金詐欺】

親族(他に警察官、銀行協会職員など)になりすましたニセ電話で、銀行の口座が犯罪に利用されており、キャッシュカードの交換手続きが必要であるといった名目で、キャッシュカードやクレジットカード、預金通帳などをダマし取る詐欺。隙を見てカードをすり替えて盗み取る「キャッシュカード詐欺盗」もある。

【架空料金請求詐欺】

架空の事実を口実とした料金の請求やニセの裁判通知などを文書やメールで送付し、支払わない場合は裁判や財産の差し押さえを行うと脅して、お金をダマし取る詐欺。

【還付金詐欺】

税務署や社会保険庁、自治体、電力会社、電話会社などをかたり、税金や保険料、医療費、利用料金などの還付や給付金受領に必要な手続きを装って、被害者にATM(現金自動預払機)を操作させ、被害者が知らないうちに、口座間送金によってお金をダマし取る詐欺。

【融資保証金詐欺】

実際には融資しないにも関わらず低金利での融資をかたり、融資を申し込んできた人から保証金や信用調査などの名目でお金をダマし取る詐欺。

【金融商品詐欺】

実際には価値のない有価証券、外国通貨、●●の権利などの購入をあっせんし、その後、別の犯人が電話で「必ずもうかる」「2倍で買い取る」「あなたしか買えない」などと勧め、高額で買い取ってもらえると信じ込ませて購入させる詐欺。

【ギャンブル詐欺】

パチンコ攻略法」や数字選択式宝くじの「当たり番号情報」「競馬必勝情報」などの情報提供を名目にお金をダマし取る詐欺。「パチンコ打ち子募集」「サクラのバイト」などと勧誘し、登録料や保証料の名目で現金を振り込ませることも。

【交際あっせん詐欺】

雑誌やメール、サイト上で「女性紹介」をうたい、これに申し込んだ人に対して、会員登録料や保証金といった名目でお金を振り込ませたり、サクラの異性を紹介した上でお金を要求したり、サイト上で高額のポイントなどを購入させたりする詐欺。

豊富な人生経験があだとなることがある

ただし、高齢者は人生経験を多く積んでいることが、ダマされやすい要因になることがあります。

これは、人間には過去の経験を頼りにして行動する傾向があるからです。豊富な人生経験があだとなり、詐欺という特異な事態への対応を誤らせてしまうのです。

例えば、先頃、九州地方に上陸した台風10号。気象庁は早いうちから最大級の警戒を呼びかけていましたが、該当地域で即、避難を決断できた人はどれぐらいいたでしょうか。

「大げさに言っているだけ。過去に注意報や警報が出たときも結局なんともなかった」「今回も外出せず、家の中にいれば大丈夫だろう」 と、危険性を低く見積もる気持ちがある人は、次項に挙げる、①②の心理を狙われやすいと言えます。

また、高齢者は人間関係が狭く濃かった時代を生きてきたため、若い世代よりも情に厚い性格の方が多いのもつけ込まれるポイントとなります。

特に、次のような性格や思考の人は、注意が必要です。

まじめで責任感が強い
人に迷惑をかけてはいけないと思う
頼まれると断れない
ルール・マナーを守る
借りを作らず、すぐにお返しを考える
自分の意見を通すことより、協調性を重視する

どれも美点といえる特長ですが、こういう人は詐欺師の話を途中で遮ったり、断ったりすることをためらいがちです。

相手を疑ってかかること自体に罪悪感を覚える人もいます。

そういう人は自分が知らない相手であっても、「●●(自分の名前)さん」と呼びかけられたら無視できず、「ご連絡ください」とのメッセージに律儀に折り返してしまい、詐欺師の魔の手にかかりやすいのです。

現在は、あまりにも簡単に個人情報が売買されています。

大手の会社や国の機関であっても、大規模な個人情報流出を起こしているのですから、自分の個人情報も回り回って詐欺師の手元に渡っていると考えるべきでしょう。

詐欺師が狙ってくる7つの心理

自分自身の中にも敵がいる!「そうあってほしい」気持ちが判断の落とし穴を作ります。

心理①
「きっと私は大丈夫」
「今日もいつもの平穏な一日が続くはず」
という根拠のない自信

毎日のように事件や事故のニュースを見聞きしても、私たちは心のどこかで「自分は大丈夫」と根拠なく思っているものです。

逆にいえばそう思えるからこそ、日々平穏に、安心して暮らせるのです。四六時中、周囲を警戒してビクビクしていたら、精神的にまいってしまいます。

このように、自分にとって好ましくない情報を無視したり過小評価したりする人の心理を、心理学の用語で「正常性バイアス」といいます。

例えば、ニセ電話詐欺の被害者は皆「そういう詐欺があるのは知っていた」と言います。

でも、正常性バイアスによって、「自分に詐欺が仕掛けられる」という危険性を過小評価して、「自分にはそんな電話はかからない」と信じ込んでしまうのです。

心理②
「ほら、やっぱりそうだ」
先入観や思い込みに合わない情報は、無視

もう1つ、いったん信じると、内容を補完したり裏づけるような情報を、無意識のうちに自分自身で集め、つじつまを合わせて信ぴょう性を作ってしまう確証性バイアス」もあります。

例えば「オレオレ詐欺」では、息子だと名乗る電話を受け「声が普段と違う」と感じても、「電波状況が悪いのだろう」「カゼをひいてるんだな」などと、

「息子の声がおかしく聞こえる理由」を無意識に集め、「息子からの電話である」と信じるのに都合のよい解釈をしてしまいます。

電話番号が違っても「落としたから、借りた」と言われると、疑うことなく信じてしまうのです。

そして、詐欺師は、慌てさせて、一人での即断即決を迫り、パニックに追い込んで合理的な判断を遠ざけます。

心理③
「おぼれる者はワラをもつかむ」
短絡的な判断に追い込むのが詐欺の常套手段

人はパニックになると、平常時なら「役に立たない」「非合理的だ」と思うような解決法に飛びつき、危機を脱しようとすることがあります。

このようにパニック時には合理的な判断ができなくなり、とりあえず頭に浮かんだ方法を取ることを心理学では、「ヒューリスティック」といいます。

ニュースなどで他人の詐欺被害の話を聞いているときは平常心ですから、「なぜそんな解決法を取ったのか」と不思議に思うでしょう。

しかし詐欺に遭っている最中は、「とんでもないことになった」と詐欺師たちに不安をあおられ、被害者はパニック状態に追い詰められています。その結果、冷静な判断が下せなくなるのです。

大切な家族が「会社の小切手をなくした」「事故を起こした」「不倫相手を妊娠させた」といった不祥事に巻き込まれたと知ってパニックに陥ったとき、なんとかしなければと思うあまりに、「会社に相談する」「警察、救急、保険会社に連絡する」といった真っ当な解決法よりも、家族(のふりをした詐欺師)に提案された「お金で隠ぺいする」方法を安易に取ってしまいがちだということです。

日常でも緊張したり焦ったりすると、いつもならしないような判断をするもの。詐欺師は、焦り、恐怖感、不安をあおる台本を作り、何度も試しながらその精度を高めています。

画像: 詐欺師が狙ってくる7つの心理

心理④
「今だけお得!」「限定品!」
と言われると欲しくなる

「1時間だけのタイムセール」「限定30食」というフレーズに、心が動かされ、元々必要としていたわけではないのに選択してしまったことがある人は多いのではないでしょうか。

このように時間や数量を限定されることで、そのものの価値が高まったように感じられる心の動きを「希少性の原理」といいます。

日常的に目にする販売手法であり、これ自体に問題があるわけではありません。よく使われるということは、それだけ人の心を動かすのに有効だということです。

「得をしたい」「損したくない」という意識は、多かれ少なかれ誰もが持っています。長引く不況や災害、コロナ禍など、先行きへの不安があるときには、なおさら強くなりやすいでしょう。

詐欺でも「希少性」を演出して冷静な判断を失わせる手法は頻繁に使われます。

例えば、「今だけ(ここだけ、あなただけ)のお得な話です」「今すぐ決断しないと、このチャンスを逃します」などという言葉で、めったにない機会であることを演出して判断をせかします。

ニセ電話詐欺の1つである「還付金詐欺」でも「税金の返還がありますが、期限が本日に迫っています。すぐ手続きを」などとせかすのが、典型的なパターンです。

心理⑤
「美人女優が愛用の化粧品は効果ありそう」

弁護士や医師、大学教授など社会的地位のある人のお墨付きがある、芸能人やアスリートなどの著名人がお勧めしているといった理由で何かを判断したことはありませんか。

自分より優れている、詳しいと感じる人の発言や行動に、自然と従ってしまう心理を「権威性の原理」といいます。

例えば、オレオレ詐欺では「息子さんの件を示談にするために、お金がいる」などと、弁護士から連絡が入ることがあります。

警察や裁判所、役所(自治体)や年金事務所などの公的機関や銀行などの職員を名乗り、「協力しなければ」という気持ちにさせる手口も多いです。

これらはもちろんその名をかたっているだけ。その権威性を利用して、話の信ぴょう性を高めているのです。

裁判所から突然「民事訴訟の被告となった」と連絡が来て、「異議申し立て、訴訟取り消しなどに関する照会先は下記までお問い合わせください」と、相談窓口の電話番号が記載されているのを見て、慌てて連絡してしまい個人情報を抜かれたり、ニセ弁護士を紹介されたりする被害も多数報告されています。

実在の名前を勝手にかたることも、それっぽい架空の存在を作ることも自在にできることを認識し、自分で情報を精査することが重要です。

心理⑥
「試食させてもらったから買わないと悪いわね」

試供品をもらったり、商品選びの相談に乗ってもらったりすると、「何か買わなくては悪い」という気持ちになりませんか。

人は他人から恩恵を受けると、「お返しをしなければならない」という気持ちになるものです。心理学ではこれを「返報性の原理」といいます。

特に高齢者は情に厚く、「返礼は必ずするのがマナー」と考える人が多くいます。

詐欺師はそれを見越して、過剰なほど親切な態度で近づいてきますが、決して善意ではなく、自分が得をするためであることを認識しなくてはなりません。

ニセ電話詐欺でも「上司がお金の一部を肩代わりしてくれている」などと言い、「これ以上迷惑をかけられない」という気持ちをかきたててくるのです。

心理⑦
「初回無料なら試してみようかな」

考えがコロコロ変わる人は信用できないですよね。そのため、人は「自分は発言や行動に一貫性を持たせたい」と無意識に考えています。これが心理学でいう「一貫性の原理」です。

いったんささいな申し出を引き受けてしまうと、その後、要求がエスカレートしても断りにくくなるのはこの心理が働くからです。通販の「初回無料の定期購入」などはこの心理を利用したビジネス手法です。

リフォーム詐欺などでは、「近所で工事するので、ごあいさつに伺いました」と家を訪ねてきた業者の「無料点検・無料診断」の申し出をいったん受けると、その後は「シロアリがいた。柱が腐食しているので、すぐ防虫処理しないと大変」などと工事をせかされ、断れないまま高額を請求されてしまいます。

画像: 【今すぐできる詐欺対策】まじめで礼儀正しい人ほど危ない!心理学の専門家が「だまされない方法」を指南

④~⑦の心理は、さまざまに組み合わせて、広告や販売促進の手法としても活用されています。日頃の買い物で、自分がどんな売り文句に弱いかをチェックしておくのも、詐欺に負けないトレーニングになります。

■イラスト/高橋陽子

日常の買い物は詐欺対策の訓練に最適

冒頭で代表的な詐欺の手口を紹介しましたが、手口は日々進化しています。最近では、コロナ禍に関連した詐欺が急増しました。

災害などの社会不安や、改元、オリンピックといった大きなイベントなど、そのときどきの時事問題を巧みに取り入れた新たな手口が次々に出現してきます。

詐欺師は、誰もが抱える不安と期待(欲)を突いてきます。これからであれば、健康不安に付け込んだ「コロナウイルスへのワクチン」などをかたる詐欺が出てくる可能性があります。

だからこそ、手口そのものより、上に挙げたような「ダマされる心理」という本質を知ることが詐欺対策として重要です。

詐欺師は感情を揺さぶり、被害者をパニック状態へと誘導します。ですから、ダマされないためには、日頃からストレスがかかる場面で耐える訓練を積んでおくのが重要です。

まずは、次の2つを実践するといいでしょう。

自分の弱点を知っておく

どんな誘いやストレスに弱いか自覚することで、ダマされる可能性を低くすることができます。

例えば孫に甘い人は、「この投資でお孫さんの教育費が得られる」という誘い文句にのせられやすいでしょう。

こんなうたい文句に弱い人間関係ではこんな場面が苦手といったことも振り返りましょう。

店員の勧めを断る練習をする

普段から断る習慣がないのに、詐欺の場面でだけ毅然とした態度を取るのは不可能です。

詐欺師が使ってくる手口は、前項のコラムの通り、通常のマーケティング手法にも通じています。だからこそ、日常の買い物はよい訓練になります。

不要なものは、うやむやではなく「いりません」ときっぱり断る練習をしておきましょう。

それすら難しければ、最初は「家族と相談して決めます」とその場を立ち去ることから始めましょう。

詐欺対策の「さ・し・す・せ・そ」

詐欺の対策は次の「さしすせそ」で覚えてください。

」っと警戒する

お金の話が出たら、たとえ相手が身内であっても、そこから警戒モードに切り替えます。

」っかり相手と内容を調べる

相手は家族を装った犯人かもしれません。何者か、内容に見合った金額かを確認します。

」ぱっと見抜く

罪悪感がある、甘い気持ちになっているなど、感情が揺さぶられていないかを観察します。それが詐欺の手口なのです。

」いいっぱい誘惑と恐怖に耐える

詐欺師は「このチャンスを逃すんですか?」などと、さらに感情に揺さぶりをかけてきますが、落ち着きましょう。

」く誰かに相談する

相談先には家族や消費者センター、警察などがありますが、パニック状態になってからではそうした選択肢は頭から抜けてしまいます。

あらかじめ相談先はリストアップして、電話の前にはっておきましょう

全国どこでも「#9110」への電話で、最寄りの警察署の相談窓口につながります(ただし「110」は緊急通報用の番号ですから間違えないようにしてください)。

また「188」の電話番号で、最寄りの消費生活センターでも相談できます。

直接の相談がどうしてもためらわれる場合は、インターネットで、似た手口がないか検索する方法もあります。不審なメールや通知の文面、連絡先を検索すると、すでに注意喚起がされていることも多いのです。

逆にいうと、詐欺師はこれらのことを行わせないように、あの手この手でたたみかけてきます。ですからトイレなどを口実にしてでも、とにかく1回、電話やその場から離れましょう

何かおかしいなと思ったら
#9110」(最寄りの警察署の相談窓口)に電話して相談する
188」(最寄りの消費者センターの消費者ホットライン)に電話して相談する
家族・親族に相談する
不審なメールや通知の文面、連絡先などをインターネットで検索してみる

画像: 詐欺対策の「さ・し・す・せ・そ」

一度被害に遭うと次々に狙われる

最後に、それでも被害に遭ってしまった後にどうすべきかについて解説します。

●自分が被害に遭った場合

泣き寝入りすれば、ますます詐欺師をのさばらせ、次の被害を生むことになります。「恥ずかしい」「これぐらいで相談したら迷惑かも」と考えず、できるだけ早く周囲に相談し警察に届けましょう

最近は犯人が捕まり、残金があれば、それが被害者に分配される制度(被害回復給付金支給制度)もあります。

●家族が被害に遭った場合

犯人グループは、人をダマすことを目的として、人間の心理や社会制度を研究し尽くしています。日頃、詐欺のことなど考えずに暮らしている普通の人が、こういった「ダマしのプロ」にかなわないのは無理のないことです。

だからこそ、悪いのは100%ダマす方

被害に遭った家族をさらに追い込むように、責めないでほしいのです。

ダマされたことを恥ずかしく思い、家族への申し訳なさからうつになり、最悪の場合、自殺してしまうケースもあるからです。

本人が詐欺だと気づいていない段階で、居丈高に「ダマされている」と指摘すると、「自分は詐欺などに遭っていない」とかたくなになり、解決が難しくなる場合があります。

ですから、「知人でこういう事例があった」と、客観的に考えられるように、伝え方を工夫します。

本人が気づいたら、決して責めずに警察に相談するように促します。高齢者の場合、手続きが面倒で諦める人もいるので、家族が代行するなどのサポートを行いましょう。

そして、一度被害に遭ったことで、「ダマされやすい人」と詐欺グループに認識され、別の詐欺に狙われる可能性が飛躍的に高まったことを覚悟してください。

いわゆる「カモリスト」が犯罪者のブラックマーケットに流れており、詐欺グループは情報を共有しています。

詐欺被害に遭った人が「被害を取り戻しませんか」と弁護士から連絡をもらい、手付金を払ってしまうケースが多数あります。もちろんこれも詐欺です

自宅の電話を、在宅時であっても常に留守番電話に設定しておき、犯人と直接対応する機会をいったん保留する「留守番電話作戦」や、自動的に通話が録音されるメッセージを出す「迷惑電話対応機器」の導入、スマートフォンの「ビデオ通話」の活用など、精神論ではなく物理的に警戒を強めてください

画像: この記事は『安心』2020年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2020年11月号に掲載されています。

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