プロフィール

杉本彩(すぎもと・あや)
1968年7月19日生まれ。京都府出身。1987年、東レ水着キャンペーンガールでデビュー。TV「ウリナリ」(NTV系)に出演し、芸能人社交ダンス部メンバーとして多くの大会に出場、入賞を果たす。2004年に公開された主演映画『花と蛇』の演技で邦画界に衝撃を与えた。女優、作家、ダンサーとして幅広く活躍中。2010 年「株式会社リベラルクリエーション」を設立、実業家としての顔も持つ。
一年中作るかす汁は毎日食べても飽きない味
私の出身地京都では、「酒かす」を使ったかす汁は冬の定番家庭料理です。
京都の冬は、底冷えがして寒さが厳しいので、体が温まるかす汁が昔から重宝されてきたのでしょう。酒蔵の多い地域なので、酒かすが手に入りやすいということもあるかもしれません。
私自身、幼いころからかす汁を食べてきました。そのためか、今でも酒かすを身近な食品として愛用しています。
かす汁は、冬に限らず、一年中よく作ります。私にとっては毎日食べても飽きない味なのです。煮込めばさらにおいしくなり、味に深みが増すのも、かす汁のすばらしいところです。
かす汁に入れる具材はさまざま。特に、油揚げやセリを入れるのが好きですね。セリが手に入らないときは九条ネギを入れます。お好きなかたはサケや豚肉などを加えるのもよいでしょう。
また、おみそ汁に酒かすを少し加えるのも好きです。風味に変化がついて、マンネリを解消できるのです。
冬になると、酒かすを使った鍋料理もよく作ります。
特に、私はパンチのある辛い鍋が大好き。酒かす、豆板醤、赤みそ、ニンニク、ゴマ油をベースに、鶏肉や野菜を入れていただきます。
家族や友人にふるまうと絶賛されるおいしさで、寒い季節にぴったりです。赤みそのかわりにキムチを使い、タラや豆腐を入れるなど、アレンジするのもお勧めです。
ほかには、サケを野菜やみそ、酒かすと焼く「ちゃんちゃん焼き」を作ったり、豆乳クリームシチューに酒かすを加えたりもします。クリームシチューに酒かすというのは意外かもしれませんが、よく合いますよ! コクがでるのです。
私は日本酒が大好きで、お米の香りに魅かれるので、しっかり酒かすが感じられるよう、どんな料理のときもたっぷりと使います。
お手入れなしでも髪が傷まない
酒かすは栄養が豊富で、健康効果があるといわれていますが、実際、酒かすを使った料理を食べると、体がポカポカするのを感じます。血行がよくなって、すぐに温まり、さらにその温まった状態が持続するのです。
私は冷え症ではないのですが、若いころ、冷たい物をたくさんとっていたときに、内臓が冷えたのか、体調を崩したことがあります。以来、食生活を見直して、冷たい物は控えるようにしています。
酒かすは体の芯から温まるので、万病のもとである冷えを予防するのにぴったりな食材だと思います。最近は冬だけでなく、夏でもオフィスのエアコンで冷える、というかたもいると思うので、一年を通して、酒かすがお勧めですね。
また、私は良質のたんぱく質をとることを重視していて、豆腐や納豆をよく食べます。酒かすにもたんぱく質が豊富に含まれているので、その点もよいと思います。
酒かすのたんぱく質は、肌や爪、髪の健康にもよい影響を与えてくれているのではないかと思っています。
酒かすは発酵食品でもあるので、整腸作用が期待できます。それにより、美肌へと導いてくれているという面もあるのかもしれません。
ちなみに私はシャンプーをしたあと、コンディショナーをつけないこともあるくらい、髪の手入れは特に何もしていないのですが、髪が傷んだという経験がありません。これは酒かすをはじめ、良質なたんぱく質をとろうと心がけているおかげかな、と思っています。
ところで、ひと口に酒かすといっても、いろいろな種類、風味の物があるのも、おもしろいですよね。
日ごろ手に入れやすいのはスーパーの酒かすですが、各地の酒蔵の酒かすを楽しむのもお勧めですよ。特に、年末は新鮮な酒かすが多く出回ります。
大吟醸、純米吟醸など日本酒の種類や酒蔵によって、酒かすの風味は全然違います。いろんな酒かすを取り寄せて、味を比べてみるのも楽しいですよ。
皆さんもお好きな味の酒かすを見つけて、お料理を楽しむとともに、美容や健康に役立ててみてください!
体の代謝が高まり冷えが解消(佐賀大学農学部教授 北垣浩志)
酒かすには、グリコシルセラミドをはじめとして、腸内環境を改善する有効成分がいくつも含まれています。それらの働きで腸の調子が整うと、体調も上向いてきます。
また、酒かすをとることで体の代謝が全般的に高まると、それが冷えの解消にもつながっていくと考えられます。
[別記事:胃腸と肌を優しく癒す「酒かす」絶品レシピ→]

この記事は『壮快』2020年11月号に掲載されています。
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