酒かすなどの発酵食品を摂取して腸内環境を整えることは、認知症をはじめ、脳・神経系疾患の予防に役立つと期待できます。また、日本酒、酒かすにも豊富に含まれている成分、α-EGの働きにより、肌のツヤとハリも格段にアップします。【解説】丹治邦和(弘前大学大学院医学系研究科助教)

解説者のプロフィール

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丹治邦和(たんじ・くにかず)

弘前大学大学院医学系研究科助教。1969年生まれ、神戸大学農学部、東京大学大学院農学系研究科卒業。現在、弘前大学大学院医学系研究科にて、天然糖や発酵食を生かし、「腸」から「神経難病」の治療法を開発中。共著に『植物はなぜ毒があるのか』(幻冬舎新書)がある。

酒かすペーストを食べて毎日快便になった

私は、神経科学の研究者です。特に、食べ物の栄養成分で脳の機能を高め、認知症をはじめとした脳・神経系疾患の予防・改善につなげることなどを研究しています。

近年、そんな私が注目している物の一つが、発酵食品です。発酵食品には、豊富な栄養素が含まれていると同時に、腸内環境を整えるなど、実に多様な作用があることが知られています。

腸は第2の脳」といわれるほど、腸と脳は深い関連があることが、さまざまな研究で判明しています。発酵食品を食べて腸を整えれば、脳の機能アップになる、ということが大いに期待できるのです。

発酵食品のなかでも、私が、もう3年以上愛食しているのが「酒かす」です。食べ始めたきっかけは、甘酒を作るために酒かすを購入したことでした。

ところが、酒かすで作った甘酒は酒の風味が強過ぎて、私の好みではありませんでした。残った酒かすの使い道に困った私は、みそ汁に入れて、かす汁にして食べてみました。すると、

めちゃくちゃ、うまい!

衝撃を受けるおいしさでした。これをきっかけに、毎日の食事に、酒かすを取り入れるようになりました。ただ、そのうち酒かすを料理に使うときに、毎回手につくのが気になるように。

そこで、いろいろ調べて作り始めたのが「酒かすペースト」です。

我が家の作り方は、とても簡単です。鍋に水を300ml、純米酒の酒かすを400g、塩を50gほど入れて、弱火にかけます。焦げないように優しく混ぜ続け、沸騰して10分経てば完成です。

粗熱が取れたら、密封容器に移して、冷蔵庫で保存します。これなら、使いたいときに使いたい分だけスプーンで取り出せるので、手につかずに済みます。

画像: 丹治先生手作りの酒かすペースト

丹治先生手作りの酒かすペースト

酒かすペーストは、調味料がわりにみそ汁や煮物、野菜炒めなどにチョイ足しして使います。ペーストにする過程で、加熱によりアルコール分が飛んでいるので、アルコールが苦手な人、子供や妊婦さんでも摂取できます。我が家でも子供たちから「料理にコクがでる」と大好評です。

私は酒かすペーストを、1日大さじ1杯を目安に摂取していますが、それにより腸内環境が整ったことを実感しています。その証拠に、毎日快便で、形のいい、悪臭のない便になりました。

こうして腸内環境が整うと、腸内細菌の働きが活発になり、食べ物の栄養をもとに、腸内でビタミン短鎖脂肪酸酢酸プロピオン酸酪酸など、体に有益な成分が作り出されます。

例えば、酪酸は、リーキーガット症候群に有効といわれています。この病態は、腸管から腸内細菌や有害物質が漏れることで全身に炎症を起こし、さまざまな慢性症状を引き起こします。

また、その炎症は脳や神経にも波及して、アルツハイマー病やパーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)といった神経疾患にも、関連しているといわれています。

酪酸は、その腸管の漏れをふさぐ働きがあることがわかっています。それゆえ、酒かすなどの発酵食品を摂取して、腸内環境を整えることは、認知症をはじめ、脳・神経系疾患の予防に役立つと期待できるのです。

また、腸内環境が整えば、免疫力もアップします。いまだ新型コロナウイルスが猛威を奮っていますが、感染や重症化を防ぐという意味でも、酒かすのような発酵食品が有益だと考えられます。

肌のコラーゲン量を増やす成分が豊富

さて、私自身、酒かすを食べ続けるなかで、即効性を感じているのが肌への効果です。ツヤとハリが格段にアップしたのです。出張などでしばらく自宅を離れ、酒かすを食べない期間があると、とたんに肌の調子が悪くなります。

なぜ、酒かすに美肌効果があるのか。その理由は、金沢工業大学と大関総合研究所の共同研究で明らかになっています。

要約すると、日本酒に含まれるα-エチル-D-グルコシド(α-EG)という天然成分に、肌の水分量やコラーゲンの産生量をアップさせたり、肌の細胞を活性化させたりする働きがあるとのこと。

α-EGは、酒かすにも豊富に含まれています。私の肌の調子を整えたのは、このα-EGの働きによると思われます。

また、酒かすには、アミノ酸や糖質、ビタミンB群、食物繊維など、バリエーションに富んだ栄養成分が含まれています。葉酸などの希少な成分が含まれている点も見逃せません。

これは私の実感ですが、酒かすのなかでも、純米酒の物が特に健康効果が高い気がしています。今後も酒かすを食べながら、酒かすの種類によって、効果にどんな違いがあるのか、調べていきたいと考えています。

[別記事:胃腸と肌を優しく癒す「酒かす」絶品レシピ→

画像: この記事は『壮快』2020年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年11月号に掲載されています。

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