日常生活上で適切なまばたきができれば、目薬を点眼しなくても、ドライアイを解消できる可能性は大いにあります。そのための改善法が「まばたきトレーニング」です。目に負担がかからないので、ぜひ毎日続けてください。【解説】宇佐美欽通(JA岐阜厚生連久美愛厚生病院眼科)

解説者のプロフィール

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宇佐美欽通(うさみ・よしゆき)
JA岐阜厚生連久美愛厚生病院眼科。2020年よりYouTubeで目に関する情報発信を行い、現在ではチャンネル登録者数が10万人を越す。生活上のアドバイスや、目をよくするためのトレーニングなどを通して、『眼科に行かなくてもすむための目のセルフケア』をコンセプトに視聴者にわかりやすく解説している。『目の悩みスッキリTV』https://www.youtube.com/channel/UCIpyFiu1_gYkd47EPM38gfA

適切なまばたきでドライアイは改善する

[別記事:ドライアイかどうか自分で簡単にチェックしよう→

一般的に、眼科で行うドライアイの治療は目薬の点眼が中心です。点眼治療で効果が得られない場合は、涙点プラグを目の中に挿入し、涙が留まるようにする方法もあります。

しかし、日常生活上で適切なまばたきができれば、目薬を点眼しなくても、ドライアイを解消できる可能性は大いにあります。そのための改善法が「まばたきトレーニング」です。

まばたきトレーニングは、日常生活で、特に何か集中しているときに減りがちなまばたきを増やすクセをつけること、負担のかかったまぶたを休ませることが主な目的です。

私たちが無意識にしているまばたきの回数は一般的に、1分間に約20回です。しかし、読書時は10回、パソコンやスマホを見ているときは5回まで減少するといわれています。

こうして日常生活でまばたきが減り、ドライアイを抱えるケースが多いのです。特に現在はコロナ禍で外出する機会も減り、スマホやパソコンを見る時間が増えがちで注意が必要です。

まばたきは涙の分泌を促し、マイボーム腺から脂を出し、涙の蒸発を防ぐ役割があります。まばたきを適切に行うことができれば、涙の量が増え、ドライアイの発症や悪化を防げるのです。ひいては、視力低下の回復にもつながるでしょう。

上下のまぶたをしっかりつけるのがポイント

まばたきトレーニングの前に、まず準備をします。2分間、ヒーリング音楽などを聴きながら目を温めましょう。マイボーム腺の穴が開き、脂がやわらかくなり、外に出やすくなります。

ヒーリング音楽はリラックスできるもので、特に川の音、鳥の声、木々のこすれる音などの自然音や、オーケストラの音楽がお勧めです。用意ができないときは、リラックスできる環境で目を閉じ、温めてください。

視覚情報の遮断もリラックスに関与しています。リラックスすると涙の分泌する機能が活発になり、涙が出やすくなります。

【まばたきトレーニングの準備】
ヒーリング音楽(特に自然音が入っている音楽がお勧め)を聴きながら、2分間、市販のホットアイマスク、または手作りホットタオル(下記)を目の上に乗せて温める。ヒーリング音楽を用意できないときは、自分がリラックスできる環境で行う。

画像1: 【ドライアイのセルフケア】まぶたを休ませて目が潤う 「まばたきのクセ」をつけるトレーニングが有効

手作りホットタオルの作り方
タオルを水に浸して、絞る。
①を電子レンジで温める。
600Wの場合:40秒
500Wの場合:1分
※熱過ぎる場合は、少し冷ましてから使う。

次に、トレーニングに移ります。まずは1分間、上まぶたと下まぶたをしっかりくっつけるまばたきをしましょう。

注意するのは、目をギュッとつむらないようにすること。黒目の部分が圧力でゆがみ、乱視につながる可能性や、高齢者の場合、眼瞼下垂を引き起こすリスクもあります。

そして、まばたきを意識しながら1分間、本やチラシなどの文章を読みましょう。明るい場所で行ってください。

【まばたきトレーニングのやり方】
「まばたきトレーニングの準備」のあと、あまり時間をおかずに、次の①と②を順に行う。

1分間、「上まぶたと下まぶたをしっかりくっつける」ことを意識したまばたきをする。
*まばたきの早さは童謡の『シャボン玉』の拍くらいが目安

画像2: 【ドライアイのセルフケア】まぶたを休ませて目が潤う 「まばたきのクセ」をつけるトレーニングが有効
画像3: 【ドライアイのセルフケア】まぶたを休ませて目が潤う 「まばたきのクセ」をつけるトレーニングが有効
画像4: 【ドライアイのセルフケア】まぶたを休ませて目が潤う 「まばたきのクセ」をつけるトレーニングが有効
画像: ギュッとつむらない

ギュッとつむらない

1分間、ふだんどおりの自然なまばたきを忘れないように意識しながら、文字を読む。

画像: 文章はなんでもよい。大きい文字など、読みやすい物でかまわない

文章はなんでもよい。大きい文字など、読みやすい物でかまわない

まばたきトレーニングは目に負担がかからないので、ぜひ毎日続けてください。思い立ったときに、いつ行ってもかまいません。1日1回、余裕があれば、朝、昼、夜の3回行うと、その日のうちに効果を感じることができるでしょう。

まばたきトレーニングを行っても、ついまばたきを忘れることがあるかもしれません。しかし、それに気づいて、再びまばたきを意識することが最もたいせつです。

なお、ドライアイの改善に変化がない場合は、ほかの目の病気の可能性があります。一度、眼科を受診しましょう。

画像: この記事は『壮快』2020年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年11月号に掲載されています。

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