視力低下とドライアイは密接に関係しています。ドライアイの診断基準は次の二つです。(A)目の不快感、視機能異常などの自覚症状(B)涙液層破壊時間(目を見開いてから表面の涙が乾き始めるまでの時間)が5秒以下。これらは自分でチェックすることができます。【解説】宇佐美欽通(JA岐阜厚生連久美愛厚生病院眼科)

解説者のプロフィール

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宇佐美欽通(うさみ・よしゆき)

JA岐阜厚生連久美愛厚生病院眼科。2020年よりYouTubeで目に関する情報発信を行い、現在ではチャンネル登録者数が10万人を越す。生活上のアドバイスや、目をよくするためのトレーニングなどを通して、『眼科に行かなくてもすむための目のセルフケア』をコンセプトに視聴者にわかりやすく解説している。
▼『目の悩みスッキリTV』(YouTube)

ドライアイの患者数は2200万人

私は、YouTube(動画配信サイト)の『目の悩みスッキリTV』というチャンネルで、視力回復やドライアイなど、目の不調の改善法に関する動画を配信しています。

YouTubeを始めたきっかけは、「生活習慣を見直したり、目にやさしいトレーニングをしたりすれば、眼科に通わなくても改善するのでは」という患者さんが多かったからです。

実際、YouTubeを見てトレーニングを実践したかたから、「すぐにドライアイがよくなった」「目が疲れなくなった」といった声をたくさんいただいています。

それとともに、目の不調に悩んでいる人が、とても多いことを実感しました。 実際、日本のドライアイの患者数は、2200万人に上ります。

ドライアイの症状としては、目の乾きのほか、異物感や痛み疲れかすみなどの目の不快感が挙げられます。さらに、視界がぼやけてしまうこともあります。

また、目が乾くと目の表面が傷つきやすくなり、黒目を傷つけることで角膜炎になったり、場合によっては、乱視につながったりする可能性も懸念されます。

ドライアイは、涙の量の不足や、マイボーム腺(まぶたの縁にある特殊な皮脂腺の一つ)が詰まり、涙を乾きにくく、目にとどまりやすくする脂が出にくくなることで起こります。

その原因は、加齢やストレスによる目の機能の低下、アイメイクによるマイボーム腺の詰まり、エアコンによる乾燥のほか、スマホやパソコンの見過ぎによる、まばたきの減少が考えられます。

高齢者の場合、白内障の手術でドライアイが誘発されたり悪化したりすることもあります。

また、何かしらの原因で視力が低下した場合も、ドライアイにつながります。近視、乱視、老眼などによって物が見えづらくなると、目をこらして物を見ることが多くなり、まばたきが減ってしまいます。その結果、ドライアイになるのです。

視力が低下するとドライアイがさらに悪化

このように視力低下とドライアイは密接に関係しています。ドライアイで視力が低下し、さらにドライアイが悪化するという悪循環が起こるのです。

ドライアイを抱える人は、何か集中したときに目が乾いて、視界がぼやけるという経験があるでしょう。これを実用視力(生活視力)の低下といいます。

このように、車の運転など、実生活でも支障が出る恐れがありますので、実際に視力検査の結果がよくても、ドライアイには注意が必要です。

ドライアイの診断基準は、次の二つです。

目の不快感、視機能異常などの自覚症状
涙液層破壊時間(目を見開いてから、表面の涙が乾き始めるまでの時間)が5秒以下

Bは通常、眼科で特殊な黄色い着色液を使って判定しますが、これらは自分でチェックすることができます。

簡単にできるドライアイセルフチェックのやり方

次の①~③すべてを行いましょう。いずれも該当する場合、高い確率でドライアイといえます。
(※①〜③のどれも当てはまらない場合でも、ドライアイでないことを保証するものではないので注意!)

感覚チェック
以下の当てはまる項目をチェックしましょう。

□目が疲れやすい
□目が重たい感じがする
□目がゴロゴロする
□理由もなく涙が出る
□物がかすんで見える
□目が痛い
□目が赤くなりやすい
□なんとなく目に不快感がある
□目が乾いた感じがする
□光を眩しく感じやすい

チェック4つ以上の場合……ドライアイの可能性が高い

12.4秒開眼
12.4秒間、目を開き続けます。1度でもまばたきをした場合、ドライアイの可能性があります。

【ポイント】
目は見開かず、ふだんどおり自然に開いて行う

画像1: 簡単にできるドライアイセルフチェックのやり方
画像2: 簡単にできるドライアイセルフチェックのやり方

1分まばたきカウント
1分間、まばたきの回数を数えましょう。ほかの人に測ってもらうと、より正確です。40回以上まばたきをした場合、ドライアイの可能性があります。

【ポイント】
遠くをボーッと見ながら行う

画像3: 簡単にできるドライアイセルフチェックのやり方

上記の①はA、②と③はBに相当します。誰でも簡単にできるので、ぜひチェックしてみてください。朝、目が元気なうちに行いましょう。

②の12.4秒は、医学的な研究で導き出された時間ですが、正確に測るのが難しい場合は、12~13秒でもかまいません。

この三つの診断結果をすべて満たす場合、かなり高い確率でドライアイといえるでしょう。次の記事では、実際にドライアイを改善するための方法をご紹介します。

[別記事:ドライアイ改善「まばたきトレーニング」のやり方→

画像: この記事は『壮快』2020年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年11月号に掲載されています。

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