プロフィール

秋本奈緒美(あきもと・なおみ)1963年、長野県生まれ。1982年にデビュー以降、女優としてテレビドラマ、映画、舞台、CMなど幅広い分野で活躍。ソロライブなども積極的に行っている。黒柳徹子主演、朗読劇『ハロルドとモード』出演。
においが気にならず口の中がネバネバしない
私は、子供のころから酸っぱい物が好きで、今でもそれは変わりません。私がなににでも酢をかけるので、初めていっしょに食事をした人は「そんなにかけるの ⁉」と驚きます。
自宅で料理をするときにも酢をよく使うので、一般的な米酢や穀物酢のほか、ワインビネガーやバルサミコ酢など、我が家には多くの種類の酢がそろっています。
また、舞台の稽古場や楽屋の冷蔵庫にも、マイボトルの酢を常備しています。長期の舞台では食事をとるスペースが用意されていることが多く、ご飯やおかず、納豆、みそ汁などをバイキングのように好きなだけ取って食べるのですが、そのときに酢が大活躍をするのです。
なかでもお勧めなのが、酢と納豆を組み合わせた「酢納豆」です。
納豆に、添付のタレだけでなく酢を小さじ1杯ほどかけてよくかき混ぜると、ネバネバがフワッフワの泡に変わります。においも気にならなくなるし、酸味でさっぱり食べられるのです。
食べたあとも、口の中にネバネバやにおいが残りません。私は、納豆と生卵を混ぜたときにも酢を入れます。
煮豆は敬遠してしまう私ですが、納豆はほぼ毎日食べています。以前は酢を入れずにそのまま添付のタレだけで食べていたのですが、どこかで納豆に酢を入れるといいと聞き、「納豆にも酢が合うんだ!」と思ったのが酢納豆を食べ始めたきっかけでした。
腹持ちがよくて健康に元気に過ごせる
家で食べる酢納豆には、ミョウガやおろしショウガ、刻みネギ、すりゴマなどの薬味を入れます。タマネギのみじん切りも案外合います。
納豆はいろいろな物と相性がよく、食べ方のアレンジがきくので、毎日食べても飽きません。酢もいろいろ試してみて、相性がいいと感じたのは穀物酢と米酢でした。ワインビネガーも試しましたが、私の好みの味ではありませんでした。
仕事が休みの日などは、大根とキュウリを合わせて酢納豆サラダにすることもあります。
大根は5cmくらい、キュウリは2分の1本ほどで、それぞれせん切りにして、めんつゆで味を調えます。サラダとはいえ、けっこうなボリュームなので、これだけでおなかがいっぱいになります。
酢納豆はお酒のあてにもピッタリで、四つ切りにしたノリで手巻き寿司のように巻いた酢納豆巻きは、白ワインやビールによく合います。
私の食事のとり方は、おなかがすいたときに少し食べる「ちょこちょこ食べ」です。ですから酢納豆は、小腹が減ったときにちょうどよいのです。
加えていうと、食べる量は少量でも、食べたい物を食べます。ジャンキーな物も、食べたいときには気にせずに食べています。そういう物を食べても、酢納豆を食べると体がリセットされるような気がするのです。
酢も納豆も体にいい物なので、「これを食べていれば大丈夫」──そんな安心感があるからでしょうか。
また満腹で舞台に出ると、頭も働きませんし、体の動きも鈍くなります。腹持ちのいい納豆は、舞台に出る前の食事としてもうってつけです。
実際、周りの同年代のかたより体力もあるし、夜もすぐに寝ついて、ぐっすり眠れます。夜中に目が覚めてトイレに行ったとしても、また横になれば5秒もしないうちに寝てしまいます。
今年の夏も大変な暑さでしたが、夏バテすることもなく、元気に過ごすことができたのも、酢と納豆が助けになったと思っています。
私の仕事は「体が資本」といっても過言ではありません。具合が悪くなってしまったら、たくさんのかたに迷惑をかけてしまいます。今こうして元気で仕事ができるのも、少しずつでも毎日体によい物を食べているおかげでしょう。
酢納豆を食べるようになってずいぶん経ちます。これからも健康で元気に仕事を続けていくために、酢納豆を食べることも大切なことの一つだと思うようになりました。
疲労回復効果で夏バテ予防に役立つ(倉敷芸術科学大学名誉教授 須見洋行)
納豆は、良質の植物性たんぱく質に加えて、ビタミン・ミネラル・食物繊維も豊富です。食物繊維と納豆菌の働きで、腸内環境が改善し、胃腸の調子がよくなるので、大事な栄養素をしっかり消化吸収できます。
取り込んだ栄養は、ナットウキナーゼの働きでサラサラになった血液に乗って、体のすみずみまで送られます。また、酢のクエン酸や、大豆レシチンには疲労回復効果があり、夏バテ予防に役立ちます。

この記事は『壮快』2020年11月号に掲載されています。
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