海藻のヌルヌル成分であるフコイダンとアルギン酸という、二つの水溶性食物繊維を納豆にプラスすると、健康効果をさらにパワーアップさせることができます。便秘や生活習慣病などの予防・改善効果が期待できるでしょう。【解説】信川益明(千代田漢方内科クリニック院長・医師)

解説者のプロフィール

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信川益明(のぶかわ・ますあき)

東京都生まれ。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。千代田漢方内科クリニック院長。医師、医学博士。医療法人社団千禮会理事長、医療健康科学研究所所長、(一社)日本健康科学学会理事長、(一社)日本健康食品認証制度協議会理事長、厚生労働省委員。慶應義塾大学医学部教授を経て現職。
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海藻の食物繊維が食後血糖値の急上昇を抑制

納豆は、日本の代表的な発酵食品の一つで、さまざま健康効果を有する食品です。その納豆に海藻をプラスすると、健康効果をさらにパワーアップさせることができます。

含有量の差はありますが、メカブやモズク、ワカメといった海藻類には共通する有効成分が含まれており、私自身コンブを水に漬けたコンブ水などを作って、積極的に取り入れています。では、それらの成分について、順にご紹介していきましょう。

まず、食物繊維について。一般的に、食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の二つに分けられますが、ここで注目したいのは、海藻のヌルヌル成分であるフコイダンアルギン酸という二つの水溶性食物繊維です。

フコイダンとアルギン酸は、ともに糖質の吸収を緩やかにして、食後の血糖値の急上昇を抑える働きがあります。

血糖値が急に上がれば、血糖値を下げるインスリンが多量に膵臓から分泌されることになります。それがくり返されれば、膵臓が疲弊し、徐々に血糖値が上がっていきます。また、太りやすくもなってくるでしょう。

逆に、血糖値の急上昇が抑制できれば、その分膵臓の負担を少なくすることができ、糖尿病の予防にもなるのです。

さらにこの二つの食物繊維は、腸内で水分を吸ってふくらみ、余分な糖分やコレステロールを吸着し、体外へ排出します。これによって、コレステロール値や血糖値を下げる効果も期待できます。

アルギン酸は、体内のナトリウムと結びついて体外に排出されるため、血圧を下げるのにも一役買うでしょう。

このように、フコイダンとアルギン酸は、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の予防・改善に役立ちます。血中コレステロール値や血糖値が下がりますから、動脈硬化を防ぐことにもつながります。

もちろん、水溶性食物繊維として、善玉菌を増やして腸内環境を整える働きがあることはいうまでもありません。

腸内環境が整えば、腸の働きもよくなり、便秘が解消します。ヌルヌル成分も、便の滑りをよくして、便を出しやすくしてくれます。快便が続き、腸のよい状態をキープしておくことは、大腸ガンの予防にもなるでしょう。

海の中で、フコイダンは、海藻の表面が傷ついたときなどに傷口から細菌が入らないように体を守ったり、干潮の際に水中から出てしまっても乾燥しないように保護したりする役割があります。

そしてヒトの体内では、フコイダンは胃の粘膜を保護し、炎症によってできた傷を修復します。免疫力を高める作用もあるとされています。

画像: ヌルヌル成分で生活習慣病を撃退!

ヌルヌル成分で生活習慣病を撃退!

続いて、ビタミン・ミネラルについてです。海藻類には、ビタミン・ミネラルがたくさん含まれています。

例えば、カルシウムは、日本人に足りていないミネラルで、中高年以降は、骨粗鬆症予防のためにも積極的にとりたいものです。

は、女性の貧血予防に役立ちますし、カリウム血圧降下作用もよく知られています。こうしたミネラルの補給源として、海藻類が役立ちます。

また海藻には、ヨウ素も多く含まれています。ヨウ素は、新陳代謝を調整する甲状腺ホルモンの材料となります。ヨウ素が適切量とれていると、基礎代謝が高まり、髪や爪などが健康に保たれます。

ただし、ヨウ素は取り過ぎると、過剰症が起こります。妊娠中のかたや、甲状腺機能に問題を抱えているかたは注意が必要です

骨粗鬆症が気になる人におすすめ

これら海藻類と納豆とが組み合わされることによって、より高い健康効果が生まれる可能性があります。

納豆にも水溶性食物繊維が含まれており、そのうえ納豆菌が含まれていますので、納豆自体、腸内環境改善効果の高い食品です。そこに、海藻のフコイダンとアルギン酸という水溶性食物繊維の力が加わることになります。

フコイダンとアルギン酸には、高血圧や糖尿病などの予防・改善効果がありますが、納豆にもナットウキナーゼの働きによる血液サラサラ効果があり、相乗効果も期待できるでしょう。

また、納豆には、骨粗鬆症の予防効果があるとされるビタミンKが豊富に含まれています。カルシウムの豊富な海藻+納豆は、骨粗鬆症が気になるかたには大いに推奨できる組み合わせといえるでしょう。

このように納豆と海藻はぜひとってほしい食材です。

ただし、薬を服用中のかたは注意してください。仮に食事によって血圧などの数値が下がってきた場合でも、独断で薬をやめることはしないでください。ご自身の担当医とよく相談したうえで、減薬など考えることをお勧めします。

メカブ納豆の作り方

画像1: メカブ納豆の作り方

【材料】(作りやすい分量)
納豆…1パック
メカブ…1パック

画像2: メカブ納豆の作り方

【作り方】
納豆にメカブを加えて、よく混ぜるだけ!
好みにより添付のタレなどで調味してもよい。メカブに味がついている場合は量を控える。

モズク酢納豆の作り方

画像1: モズク酢納豆の作り方

【材料】(作りやすい分量)
納豆…1パック
モズク酢…1パック

画像2: モズク酢納豆の作り方

【作り方】
納豆にモズク酢を加えて、よく混ぜるだけ!
好みにより添付のタレなどで調味してもよい。モズク酢に味がついている場合は量を控える。

画像: この記事は『壮快』2020年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年11月号に掲載されています。

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