プロフィール

川村ひかる(かわむら・ひかる)
1979年、東京都生まれ。1999年のグラビア写真集売り上げ1位となるなど大人気を博したグラビアを中心に、バラエティ番組、競馬番組などで幅広く活躍。自身の体調不良から食と健康について関心を持ち、発酵プロフェッショナル、オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート、健康管理士などの資格を取得。現在は、健康やダイエット、アンチエイジングについて講演やセミナーなども行っている。著書に『発酵美人』(幻冬舎)がある。
ぬか漬けから発酵にハマった
甘酒、塩麹、手作りみそ、ぬか漬けなど、わが家のキッチンには手作りの発酵食品がめじろ押しです。毎日の食生活に発酵食品を取り入れるきっかけとなったのが、20代から始まった体調不良でした。
15年ほど前、グラビアアイドルとして活動していた当時の生活はひどいものでした。
1ヵ月のうち20日は撮影があり、早朝に迎えが来て、移動の車内でコンビニのおにぎりやパンで朝食。昼食と夕食は、冷めた揚げ物がメインのおかずのロケ弁当。今考えれば、糖質と脂質しかない食事でしたね。
おまけに、深夜に仕事が終わってから、友人とスイーツを食べながらおしゃべりするのが最大のストレス発散法。そのため、睡眠時間は2~3時間ということがざらでした。
そうした生活の積み重ねから、だんだんと疲れが取れなくなり、体がだるく感じられるようになりました。
便秘がひどく、ポッコリ出そうな下腹を必死で引っ込めていました。肌も荒れ、化粧水やアクセサリーのちょっとした刺激ですらかぶれてしまうようになったのです。
婦人科系の病気にもかかりました。まず22歳のときに子宮内膜症(子宮の内側以外で子宮内膜に似た細胞が増殖する病気)と診断。その治療のために低用量ピルを服用していました。そして、33歳で若年性更年期障害に。首から上だけ汗が大量に吹き出たり、めまいや吐き気に見舞われたりと、大変な思いをしたのです。
そんな体調を改善するために、私は食を見直すことにしました。そこで自炊を始めたのですが、一人暮らしだとどうしても野菜が余るんです。その解決策として作り始めたのが、ぬか漬けでした。手をかけるごとにおいしく変化する様子にハマって、ぬか床がかわいく感じられるまでになって(笑)。
そこから発酵に関わる微生物について学んで「発酵プロフェッショナル」の資格を取り、食に関する講座の講師としても、活動するようになりました。
グラビア時代の3サイズをらくらくキープ
今では、日常的に肉や魚は塩麹漬けにしたり、グリーンスムージーの甘み付けに甘酒を活用したりと、麹の発酵食品をたくさんとっています。みそも麹と大豆で手作りしていますが、本当においしいです。
麹の働きで、たんぱく質の消化吸収がよくなるし、うま味が引き出されるんですね。だから、スーパーで大容量の肉や魚を買ってきたら、まず塩麹漬けやみそ漬けにしてしまうのがわが家の定番です。
私が一番好きなのは、塩麹で味付けしたローストビーフ。外食ではお値段が張るメニューですが、手作りすれば安価ですし、お肉はとろけるように軟らか。それはもう絶品なのです。

とろけるように軟らかな塩麹ローストビーフ。サラシをかぶせて塩麹に漬けるのが、焼いたときに焦げつきにくくするコツ!※画像は川村ひかるさん提供
それに、ごく普通のサケの切り身でも、塩麹に漬けて焼くだけで「どこの高級料亭のお料理!?」と驚くくらいの深いうま味のある味になります。
余計な調味料を使わなくて済むから、塩分が気になる方にもよし。食の細くなった高齢者や、子どもも食べやすいと、いいことばかりです。
昔、「愛のエプロン」という料理バラエティ番組で、初代「下エプ」(料理下手)チャンピオンを取ったこともある私が、今ではお料理を教える側になっているのですから、面白いですね。
発酵食品を食べ続けているうちに、体調はどんどんよくなっていきました。疲れにくくなり、アレルギーも改善。めまいや吐き気も解消しました。
3年前には、待望の子どもにも恵まれました。帝王切開での出産だったので、手術のときに確認してもらったら「子宮内膜症は完治している」とのこと。
産後も体重はすぐ戻りました。実は、今もグラビア時代と3サイズは全く変わっていないんです。昔は筋トレやダイエットなどで必死に努力をして維持していた体形を、自然に保てていますし、肌の透明感やキメも今の方がずっといいですね。
できることなら、当時の自分に、「食べるものに気をつけるだけでいいんだよ」とアドバイスしてあげたかったです。
子育てでもイライラすることなく、穏やかな気持ちで過ごせています。家族皆、心身ともに元気で過ごせるのは、発酵食品のおかげだと思っています。

この記事は『安心』2020年10月号に掲載されています。
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