米のとぎ汁漬けとは?
私が参考にした書籍は、『免疫力を高める 最強の浅漬け』(マキノ出版)です。

アレンジレシピがたくさん載っていてすごく助かります
www.amazon.co.jp米のとぎ汁漬けは、江戸料理文化研究家の車浮代さんが推奨している浅漬けです。普通は捨ててしまう米のとぎ汁に少量の塩を加え、そこに野菜を漬け込むだけという簡単さが人気の秘密のよう。野菜についている乳酸菌が、米のとぎ汁を栄養源にして発酵を起こし、漬物になるとのこと。漬物は元来、保存食ですから、漬けておくことで野菜が傷まず、おいしく保つことができるというわけです。
まずは基本の作り方を見てみましょう。
材料は米のとぎ汁と粗塩だけ
①米のとぎ汁200mlに対し、粗塩を小さじ1杯(6g)入れ、よく混ぜます。保存容器の大きさで漬け汁の量は変わるので、食材がひたひたになる量を、この割合で作ります。

塩は精製された食塩ではなく、天然の粗塩を使います
www.amazon.co.jp②好みの野菜を切って保存容器に入れます。数種類混ぜてもOK。キノコ類など、火を通して食べるものは、あらかじめ加熱しておきます。

ここではキャベツとニンジン、タマネギを漬けています
www.amazon.co.jp③野菜の上部までたっぷり漬け汁を注ぎます。野菜が浮いてくるときは「落としラップ」などをして、完全に浸るようにしましょう。

完全に野菜が漬け汁に浸るようにするのがコツ
www.amazon.co.jp④冷蔵庫で保存します。一晩漬ければ出来上がりですが、時間が経つごとに発酵が進み、1~2週間後には酸味や旨みが増し、しっかりとした漬物になります。

翌日から食べられます。漬ける期間によって味が変化するのも楽しい
www.amazon.co.jp浅漬けだからアレンジもいろいろ
米のとぎ汁漬けは、クセのないあっさり味なので、そのまま浅漬けとして食べる以外にも、ほかの食材と和えたり、炒めたり、焼いたりするアレンジが可能です。汁物の具材にしたり、パスタやラーメンのトッピングにしたり、自由自在。あらかじめ切って漬けてあるので、調理に時間や手間がかからないのも魅力です。
発酵した野菜を手軽に食べられることで、お通じがよくなったという人も多いとのことですよ。

米のとぎ汁浅漬けがあれば簡単に野菜の摂取量を増やせます
www.amazon.co.jp傷みやすい野菜が長持ちする
私がなにより魅力に感じたのは、「米のとぎ汁に漬けておくと、野菜が傷まずシャキッとする」という情報でした。
ニラや青ネギ、水菜、三つ葉などの葉野菜が、いつの間にか冷蔵庫の中でしなびてしまうことがありませんか?(私は頻繁にあります)そうした葉野菜も、米のとぎ汁に漬けておくと傷みづらいというのです。乳酸菌が発酵を起こす過程で作り出される乳酸には強力な殺菌効果があり、腐敗を起こす菌の繁殖を抑えるためだそうです。
ショウガは丸ごと、ニンニク、ミョウガなどの薬味は、刻んで米のとぎ汁に入れておくと長持ちして、必要なときにすぐに使えるので便利とのこと。
野菜の保存方法として、米のとぎ汁漬けを活用するというのは、目からうろこでした。車浮代さんの冷蔵庫(下の写真)には、さまざまな食材の米のとぎ汁漬けがいっぱい。ここまで下準備をしておけば、毎日の食事作りも楽になりますね。

大根おろしや薬味類も米のとぎ汁に漬けておくと便利
www.amazon.co.jp米のとぎ汁漬けを作ってみた
さて、私もさっそく米のとぎ汁漬けを作ることにしました。冷蔵庫をのぞくと、おあつらえ向きのしなびた小松菜を発見。

葉先は干からびてシナシナ……
夕飯用のお米をといで、とぎ汁に分量の粗塩を入れて漬け汁を用意。小松菜は保存容器に入る長さに切りました。小松菜と米のとぎ汁を容器に入れ、ふたをして冷蔵庫へ。

漬け汁から小松菜が出ないように「落としラップ」をしました
もう一つ、冷蔵庫にあったたニンジンも7ミリ角くらいの拍子木切りにして、米のとぎ汁に漬けてみました。実をいうと、あまり新鮮ではないニンジンです。生で食べる予定ではありませんでしたが、そこをあえて漬けてみました!

何も考えず拍子木切りにしましたが、もっと細切りにしたほうが使い勝手がいいかもしれません
1週間後に食べてみた
小松菜とニンジンの米のとぎ汁漬けは、ふたつき容器に入れた状態で冷蔵庫で保存します。漬けた翌日から食べられるそうですが、味の変化を見たかったので1週間漬けてみました。ときどき様子を見がてら、上下を入れ替えるために混ぜました。
まず、小松菜の容器のふたをオープン!
見た目はあまり変わらない印象です。とはいえ、あのまま冷蔵庫の野菜室に入れっぱなしにしていたら、とっくに生ゴミ化していたはず……。やはり米のとぎ汁に入れておいたほうが日持ちするようです。
臭いをかいでみましたが、特に発酵臭は感じません。

1週間経っても葉の色が青々としたまま
次にニンジンの様子を見てみましょう。こちらも見た目・におい共に変化はありません。ニンジンの量が減っているのは、少し取り出した後だからです。

ニンジンも見た目、においに変化なし
いよいよ試食です。小皿に取り出して、味つけせずにそのまま食べてみます。
小松菜は、もっと漬物っぽく水分が抜けているかと思いましたが、ほぼ生のままの質感です。
ニンジンも、特にしんなりすることなく、漬けた当時のままの硬さを維持しています。

結論から言うと、小松菜もニンジンも、すごくおいしい!
小松菜は、極々浅漬けにした野沢菜漬けのような感じです。塩気もほとんど感じず、このままいくらでも食べられそう。噛むとほんのり漬物特有の香りがしますが、シャキシャキした生野菜の食感が残っているので、グリーンサラダに混ぜても美味しいと思います。
1週間漬けるくらいだと、「漬物感」はあまりないので、このまま炒め物や煮物、汁物の具にすることもできます。葉物の保存法として、米のとぎ汁漬けは、相当優秀です。
ニンジンは、ポリポリとした食感はそのまま、ほんのり塩味を感じますが、それよりもニンジン本来の甘さが際立っています。古いニンジンが若返った感じです。特有の青臭さが消えるので、ニンジン嫌いの人にもお勧めできそう。
実は、我が家は私以外、生のニンジンが苦手です。ところが今回、漬物代わりに丼物に添えたり、サラダに加えたりして出したところ、みんな文句も言わず完食!残りのニンジンのとぎ汁漬けも、和え物にしたり、高野豆腐と炊き合わせたりして使い切りました。
まとめ
小松菜の鮮度が、思った以上に保たれていたのが衝撃でした。米のとぎ汁に漬けず、あのまま放置していたら確実に成仏していたでしょう……。
さっそく、冷蔵庫の野菜室にあった三つ葉とニラ、青ネギを、米のとぎ汁漬けにしました(私がダメにする葉野菜のトップ3です)。これからは、たまにしか使わない薬味類、傷みやすい葉野菜は、買ってきたらすぐに米のとぎ汁に漬けようと思います。
米のとぎ汁浅漬けは、乳酸菌発酵の作用で、お通じがよくなったり、疲れが取れたり、という健康効果も期待できるとのこと。続けることで、体にも変化が現れるかもしれません。そちらも楽しみです。皆さんもぜひお試しください。