解説者のプロフィール

足利仁(あしかが・めぐみ)
一般社団法人手のひらデトックス協会代表理事。手のひらの反射区を利用し、西洋医学と東洋医学を融合した体質改善のためのメソッドを確立。これまで6000人以上の手を押して診断してきた。「手のひらセラピスト」養成のセミナーなども行っている。
手のひらをもめば病気の予防・改善に
「体調が悪いけれど、原因も治療法も分からない」「薬を飲んでいるが、できれば薬以外の方法で改善したい」「自分でできる方法で、心身のチェックやケアをしたい」こんな悩みや願いを持つ人は、大勢おられます。
これに応えられるのが、今回ご紹介する「手もみ」です。
手のひらには約1万7000本もの末梢神経が走っています。この神経は脊髄(背骨の中にある中枢神経)を通じて、脳・目・耳や鼻・肩・背骨・呼吸器・消化器など、あらゆる器官とつながっています。
この末梢神経を通じて、体の各器官と対応している部分が「反射区」です。ここを見たりもんだりすることで、心身の状態をチェックして、改善を図ることができます。
私たちの両手には、合計80以上の反射区があります。そして、対応する器官が弱ると、その反射区にさまざまなサインが現れます(詳しくは後述)。
手を見たり、触れたりすれば、まだ医学的な検査値に現れていない不調や、自覚していない機能低下なども分かります。
また、反射区をもむことで、本格的な症状が出る前に病気を防いだり、すでに出ている症状を改善・解消したりできます。
「あなたの手はあなたのお医者さん」と言えるほど、手のひらは全身のチェックやケアに役立ってくれるのです。がんこな症状やつらい症状が劇的に改善・解消できる手もみを、ぜひ、あなたの健康管理にお役立てください!
[別記事:手のひら診断チャート&手のひら治療地図→]
■健康診断の数値別お勧めの反射区(※反射区の位置は上記の別記事参照)
【ヘモグロビンA1c】6.5%以上→腎臓の反射区、4.9%以下→脾臓の反射区
【コレステロール値】HDLコレステロール:40mg/dl以下、LDLコレステロール:140mg/dl以上→肝臓の反射区
【肝機能】GOT(AST)/GPT(ALT):35単位以上、γ-GTP:50単位以上→胆のうの反射区
手のひらを見れば隠れた不調が分かる
色や凹凸、感触がポイント
手のひらには、あなたの全身の不調が現れます。その現れ方を知っておくと、まだ表面化していない病気を察知して予防したり、自覚できていない不調を見つけて対処したりすることができます。
もちろん、今あるつらい症状を自分の力で改善することにおいても、手のひらのチェックと手もみが力を発揮します。
その日の体調を知るために、手のひらを見る習慣をつけるのも大変よいことです。そこで、手のひらにはどんなふうに体の不調が現れるのか、基本的な見方をご紹介します。
●手のひら全体の色
理想的な手のひらは、全体がピンク色です。その上、真ん中のくぼみと親指の付け根がやや白い、自然なグラデーションになっています。
全体的に白っぽい手のひらは、エネルギー不足の現れ。黄色い手のひらは、解毒機能の停滞が疑われます(肝臓の機能低下、薬やお酒の飲み過ぎ、糖分のとり過ぎなど)。赤や紫の手のひらは、疲労がたまってオーバーヒート気味であることを示しています。
●手のひらの凹凸
手のひらの中央は、くぼんでいながらもハリがあり、軽くたたくと太鼓のような音がするのが健康な状態です。
くぼみの状態は、手のひらを上に向け、水平にしてペンを置くと、よく分かります。くぼみが少なく平坦な手のひら、むくんでくぼみが分かりにくい手のひら、ペチャッとしている手のひらは、老廃物や不要な水分がたまっています。
特に、手のひら全体の凹凸が少ない人は要注意。持久力が落ちている証拠です。手のひらを押して、休養をとりましょう。
●手のひらの感触
まずは、手のひらの温度。手のひらが冷たい人は、免疫力(病気に対する抵抗力)が低下して、細菌やウイルスに感染しやすい状態になっています。手首と足首、首の3ヵ所をしっかり温めましょう。
逆に手のひらが熱い人は、心身が緊張しカチコチになっています。意識して肩の力を抜き、ゆっくり息を吐きましょう。
次にチェックしたいのは、触ったときの感触です。手のひらが乾燥してカサカサしている人は、腸が疲れていることを示します。消化にいいものを食べて、胃腸を休ませてください。
逆に、手のひらが湿っている人は、自律神経が不安定であることが疑われます。お気に入りの音楽を聴いたり、ゆっくりお風呂に入ったりして、心を落ち着かせるとよいでしょう。
最後は、手のひらの硬さです。ガチガチに硬い人は、老廃物がたまりやすくなっています。そんなときに過食をすると、いつもより太りやすくなるので注意が必要です。
手のひらに弾力がない人は、体に水分がたまりやすくなっています。気持ちいいと感じるストレッチで、体の水はけをよくしてください。
●部分的に現れるサイン
手のひらや指に、いつもと違う「シワ・シミ・イボ・カサつき・色の変化・しこり・痛み」などが現れているときは、その反射区(全身の臓器や器官に対応する部位)に対応する器官や臓器に疲れがたまっています。
別記事の「手のひら治療地図」と見比べ、それらのサインが出ている部位をギューッと押して、すぐに元気にしてあげましょう。
なお、シワは手相のシワではないものを見てください。浅くて長いシワは、ひと月くらい前からの不調を示します。逆に、深くて短いシワは、慢性的な不調を示します。
指や手のひらを押したりつまんだりするとすぐへこみ、3秒以上元に戻らないのも重要なサイン。対応する器官や臓器がヘトヘトになっています。
[別記事:手のひら診断チャート&手のひら治療地図→]
左右の手のひらを見比べると分かりやすい
こうしたサインを正確に捉えるには、日々、左右の手のひらを見比べることが役立ちます。
手のひらの反射区は、一部を除いて左右対称になっていますが、左右の手に同じような兆候が現れることは少ないです。そのため、左右の手のひらを見比べることで、より変化を察知しやすくなります。
これらの「シルシ」がある人は、その部分をしっかりもみましょう(手もみのやり方は次項を参照)。健康を維持するだけでなく、体の回復を図ることもできます。
あなたの体に備わった「手のひら」というお医者さんを、病気予防や健康増進に、ぜひお役立てください。

手のひらの固さやかさつきに要注意!
7秒グーッと押してパッと離すだけ!基本の手のもみ方
手もみには、反射区(全身の臓器や器官に対応する部位)に合わせた4種類のもみ方があります。
指先なら〝OKペンチ〟、広い範囲なら〝親指の腹プッシュ〟……と、うまく使い分けることが、効果的に手のひらをもむコツ!誰でも力を入れず、効果的にもめるので、ぜひ実践してみてください。
【やり方】
●基本は両手に行う
●片方の手にしか反射区がない場合は左右どちらかをもむ。
●手のひら治療地図を見ながら各反射区を押して、ビリビリするところや痛いところを1ヵ所につき7秒間押す。別記事【手のひら治療地図】
●1日に1~3回程度、時間があるときに行う。
●お風呂上がりや寝る前など、いつ行うかを決めておくと続けやすい。
① 親指の先プッシュ
親指の先で、反射区をもむ方法。範囲の狭い反射区や、深い場所にある反射区をもむのに適している。〈例:心臓、肺、背骨など〉

もみ方のポイント
押す指に力を入れるのではなく、反射区から押されに行くイメージ。押される側の手のひらをおじぎさせれば、力まずに反射区を刺激できる。

② 親指の腹プッシュ
親指の腹を使って、垂直にグーッと押し込む方法。範囲の広い反射区をもむのに適している。〈例:小腸、胃、卵巣・精巣など〉

もみ方のポイント
押す方の手首を曲げず、まっすぐに伸ばした状態でもむ。肩が上がっていたり、手首が曲がっていたりすると、力が逃げてしまうのでNG。

③ OKペンチ
人さし指と親指で「OK」の形を作り、指の先端の反射区を挟んで押す。〈例:頸椎、目、甲状腺など〉

もみ方のポイント
指の腹ではなく、先端や側面で反射区を挟み込む。先端や側面は圧を加えやすいため、軽い力で、より深く反射区を刺激することができる。

④ 人さし指押しつけ
人さし指を曲げて第2関節をとがらせ、その先に反射区を押しつける。親指の先端や腹にある反射区をもむのに適している。〈例:大脳、間脳〉

もみ方のポイント
押される側の手で、押す側の手を軽く握る。押す指に力を入れるのではなく、反射区から押されにいくと、らくに刺激できる。

症状別もみ方
「高血圧」に効くもみ方
こんな手の人にお勧め!
・親指の腹の中心がシナシナ
・親指の延長線上が白っぽい
・手のひらの真ん中を押すと、フニャフニャしている
・グーパーを1秒間に2回以上できない
・指先に力が入りにくい
【もむところ】

▶ 間脳の反射区:両手
■反射区の見つけ方
親指の腹の真ん中。指紋の中央
■もみ方
反射区を逆の手の人さし指の第2関節に当て、グーッと7秒間、強く押しつける。

▶ 背骨下部の反射区:両手
■反射区の見つけ方
親指と手のひらの境目のシワから親指2本分下。関節の内側
■もみ方
関節の内側の際に、逆の手の親指の先を入れ込むようにして、グーッと7秒間押しもむ。

▶ 腎臓の反射区:両手
■反射区の見つけ方
手のひらの中指の付け根から親指の幅2本分下
■もみ方
反射区に逆の手の親指の腹を当て、手のひらに向けて垂直にグーッと7秒間押しもむ。

症状別もみ方
「糖尿病」に効くもみ方
こんな手の人にお勧め!
・手のひらの色が全体的に赤い
・手のひらの凹凸が少ない
・左右の手が同時にしびれることがある
・指先のケガがなかなか治らない
・アレルギーではないのに手がカサカサしてかゆい
【もむところ】

▶ 膵臓の反射区:両手
■反射区の見つけ方
親指の付け根の筋肉がプクッと膨らんで、最も高くなっているところのすぐ上
■もみ方
反射区に逆の手の親指を立てるように当て、手のひらに向けて垂直にグーッと7秒間押しもむ。

▶ 脾臓の反射区:左手
■反射区の見つけ方
左手の薬指と小指の股から親指の幅1本分下
■もみ方
反射区に逆の手の親指の先を当て、手のひらに向けて垂直にグーッと7秒間押しもむ。

▶ 腎臓の反射区:両手
■反射区の見つけ方
手のひらの中指の付け根から親指の幅2本分下
■もみ方
反射区に逆の手の親指の腹を当て、手のひらに向けて垂直にグーッと7秒間押しもむ。

症状別もみ方
「耳鳴り」に効くもみ方
こんな手の人にお勧め!
・薬指の先が張っている、もしくはシナシナ
・薬指や小指の腹に縦ジワが寄っている
・親指の先端がペチャンとしている
・手のひらの真ん中が白い
・第一関節から上の指先の色が赤か赤紫
【もむところ】

▶ 耳鼻の反射区:両手
■反射区の見つけ方
薬指と小指の爪の付け根の両側。左手は右の耳鼻、右手は左の耳鼻に対応
■もみ方
薬指の爪の両側にある反射区を、逆の手の親指と人さし指でグーッと7秒間、挟み込むようにして押しもむ。小指でも同様に行う。

▶ 腎臓の反射区:両手
■反射区の見つけ方
手のひらの中指の付け根から親指の幅2本分下
■もみ方
反射区に逆の手の親指の腹を当て、手のひらに向けて垂直にグーッと7秒間押しもむ。

▶ 大脳の反射区:両手
■反射区の見つけ方
親指の先端。左手は右脳、右手は左脳に対応
■もみ方
反射区を逆の手の人さし指の第2関節に当て、グーッと7秒間、親指を人さし指に強く押しつける。

症状別もみ方
「免疫力アップ」に効くもみ方
こんな手の人にお勧め!
・親指の先が張っている、もしくはシナシナ
・手のひらや指に、よく湿疹ができる
・手のひらの真ん中をギューッと押すと、鈍痛がする
・手のひらと手首の間のシワが、くっきり寄っている
・手のひらと手首の色が違う
【もむところ】

▶ 腎臓の反射区:両手
■反射区の見つけ方
手のひらの中指の付け根から親指の幅2本分下
■もみ方
反射区に逆の手の親指の腹を当て、手のひらに向けて垂直にグーッと7秒間押しもむ。

▶ 間脳の反射区:両手
■反射区の見つけ方
親指の腹の真ん中。指紋の中央
■もみ方
反射区を逆の手の人さし指の第2関節に当て、グーッと7秒間、強く押しつける。

▶ リンパ節(全体)の反射区:両手
■反射区の見つけ方
手首のシワ中央からやや親指寄りの、触るとグリグリする関節の内側にあるくぼみ
■もみ方
反射区に逆の手の親指の先を当て、手のひらに向けて垂直にグーッと7秒間押しもむ。


この記事は『安心』2020年9月号に掲載されています。
www.makino-g.jp