ウォーキングは誰にとっても気軽にできる運動ですが、自分に合っていて効果的な歩き方を、実は見つけにくいというのも事実です。「3拍子ウォーク」であればバランスを保ちやすく、ストレッチ効果や筋トレ効果も無理なく得られることが確認できました。【解説】吉原正宣(足と歩行の診療所院長)

解説者のプロフィール

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吉原正宣(よしはら・まさのぶ)

足と歩行の診療所院長。日本形成外科学会形成外科専門医、日本抗加齢医学会専門医。関西医科大学卒。洛和会音羽病院形成外科に勤務中、米国の「足病医」(Podiatrist/足部を診る専門医師)に指導を受ける。その後、下北沢病院足病総合センターなどへの勤務を経て、2018年、「足と歩行の診療所」を東京都大田区に開院。足の病気と歩行の障害の解消を目指し、診療にあたっている。テレビへの出演も多い。
▼足と歩行の診療所(公式サイト)

楽しく歩けて脳の刺激にもなる

ウォーキングは、誰にとっても気軽にできる運動です。速度や歩幅、距離を調整することで、自分の体力や体調に合うやり方ができるのも、ウォーキングの利点です。

その一方で、自分に合っていて効果的な歩き方を、実は見つけにくいというのも事実です。

例えば、ゆっくりと散歩程度に歩くのは、気分転換には最適ですし、体力が低下した高齢者にとっては、最低限の筋力を保持するのに役立ちますが、積極的な運動効果を得たい人には向きません。

逆に、「大股で勢いよく歩くのがよい」とも言われますが、体力が衰えた人や運動不足の人が、いきなりそういう歩き方をすることはお勧めできません。体のバランスをくずして、股関節やひざ関節、かかとを含めた足を傷める恐れがありますし、転倒リスクも高まります。

そんなわけで、誰でもとり入れることができ、無理をかけずに十分な運動効果を得られる歩き方というのは、なかなか難しいと思っていました。

ところが、4年ほど前に、山口マユウさんが考案した「3拍子ウォーク」を知り、「これだ!」とひざを打ちました。

[別記事:3拍子ウォークのやり方→

このウォーキング法であれば、3歩のうち1回、少し歩幅を広げるだけなので、ずっと大股で歩くときのようなリスクはありません。バランスを保ちやすく、しかも普通の歩き方より運動効果は高まります。

私自身もとり入れてやってみたところ、3歩目に歩幅を伸ばしたときに、ストレッチ効果筋トレ効果も無理なく得られることが確認できました。

一般に、健康を保つための運動は、通常のウォーキングのような有酸素運動に加えて、少し息が上がるくらいで中等度の運動を組み合わせるのがよいとされています。

3拍子ウォークの場合、その両方の効果を同時に得られるので、効率よく運動できます。しかも、3歩目を意識するので、脳の刺激にもなります。リズムに乗って楽しく歩けるのもメリットでしょう。

また、わざわざ運動のための時間や場所を用意する必要がないのもよい点です。普段から運動不足の人が、わざわざ時間をとってやろうとすると、おっくうになる上、長続きしにくいものです。

3拍子ウォークなら、通勤や買い物の行き帰りなど、日常生活の中にビルトインする(とり入れる)ことができる上に、室内でもできるので、気らくに続けられます。

現代人の健康管理に最適

こうしたさまざまな面で、足の専門家から見ても、3拍子ウォークは優れたウォーキング法と言えます。

慣れてきたら、歩幅を広げた3歩目で、後ろ側の足のふくらはぎを意識して、ぐっと地面を蹴り出すようにすれば、より効果的です。

ふくらはぎは、よく「第二の心臓」と言われます。心臓から離れた位置にあり、筋肉が多い部分であるため、力を入れたり、ゆるめたりすることで、心臓に血液を効率よく戻すポンプの役目をするからです。

画像: 3歩目で後ろのふくらはぎを意識し、ぐっと地面を蹴り出す

3歩目で後ろのふくらはぎを意識し、ぐっと地面を蹴り出す

ふくらはぎというポンプを活用すれば、心臓の負担を軽くすることにもつながります。

そのふくらはぎのポンプ作用を生かすためにも、3拍子ウォークはよい歩き方です。比較的若い人の体力増強にも、お年寄りの健康長寿を支えるためにも役立つ、よく考えられたウォーキング法といえます。

ただし、いきなり始めるのは体の負担になりかねないので、行う前後には、軽いストレッチを行うとよいでしょう。

私自身、3拍子ウォークを知ってからは、通勤やクリニック内の移動などに取り入れています。以前は、疲れたときなどに足がつりやすかったのですが、3拍子ウォークをとり入れてからは、つりにくくなったと感じています。

無理なく効率よく、楽しく運動効果が得られる3拍子ウォークは、現代人のダイエットや健康管理に最適だと思います。

[別記事:3拍子ウォークのやり方→

画像: この記事は『安心』2020年9月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2020年9月号に掲載されています。

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