ショウガとシナモンの組み合わせは桂枝湯という漢方薬と同じ。桂枝湯は、カゼのひき始めからパニック障害まで、さまざまな症状に効果が期待できるとされています。作用は穏やかなので、体力が低下した人や高齢の人、胃腸が弱い人でも安心して服用できます。【解説】舩坂千恵美(おくすり処花水樹店主)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

舩坂千恵美(ふなさか・ちえみ)

おくすり処花水樹店主。1970年生まれ。女子聖学院短期大学卒業後、東京ガスほかに勤務。鍼灸師の夫と結婚。2010年登録販売者資格取得、翌年東京都台東区谷中に漢方薬専門店「おくすり処花水樹」開業。

ジンジャーエールの配合は漢方薬に似ている

私は、東京都台東区にある谷中という町で、漢方薬を中心とした医薬品店を営んでいます。この店を開いたきっかけは、鍼灸師をしている夫(鍼灸御処浩風堂の舩坂樹観氏)からの要望でした。

患者さんの健康を土台から支えるため、鍼灸治療と並行して、漢方薬を処方したいとのこと。そこで、私が登録販売者の資格を取り、夫の鍼灸院の近くに店を構えたというわけです。

店では、漢方薬のほかに、医薬品や食品も取り扱っています。そのなかで、多くのかたから好評なのが、店オリジナルの「手作りジンジャーエールキット」です。

意外に知られていませんが、ジンジャーエールは、ショウガ(ジンジャー)、シナモンなどのスパイスを、砂糖といっしょに煮込むだけで、簡単に原液(シロップ)を手作りできます。シロップを炭酸水で割れば、さわやかな自家製ジンジャーエールが楽しめるのです。

店の手作りジンジャーエールキットは、「ジンジャーエールを作ってみたいけれど、たくさんのスパイスを買いそろえるのがめんどう」というかたのために、必要なスパイス類(下記参照)をセットにした商品。ご自身で、ショウガやレモン、砂糖、炭酸水を用意すれば、すぐにジンジャーエールが作れます。

画像: 【手作りジンジャーエール】原液は3週間保存可能 おなかの冷えやガス腹におすすめ よく眠れるという声も

おくすり処「花水樹」舩坂千恵美さん考案の
手づくりジンジャーエールキット

【スパイスの種類と薬効】
シナモン…悪寒や発熱、消化不良の緩和、利尿
クローブ…健胃作用、鎮痛、口臭予防 
唐辛子…代謝アップ、発汗作用、血行促進
カルダモン…精力減退の回復、頭痛や下痢の緩和
ピンクペッパー…抗菌、防腐効果

この手作りジンジャーエールは、ほどよい甘みと、ショウガとスパイスのさわやかな辛み、スッキリした後味がクセになる一品です。飲むと、すぐに体がポカポカしてきます。ストレスで胸苦しさを感じたときに飲むと、まるでスカッと胸が開いて苦しさが取れるようです。

実際にキットを買われたかたがたからは、おいしいというだけでなく、健康効果も高い、と人気を集めています。「カゼのひき始めが楽になった」「よく眠れるようになった」「冷房の寒さに強くなった」といった喜びの声も多く寄せられます。

それもそのはず、このジンジャーエールの材料は、東洋医学の観点から見ても、非常に優れた物ばかりなのです。

まず、ショウガは、漢方では生薬(漢方薬の原料)として有名です。ショウガには、吐き気止め去痰(痰を取り除く)、殺菌発汗促進などの作用があるとされています。

シナモンも、漢方で多く用いられています。生薬名を桂皮または桂枝といい、軽い悪寒や発熱消化不良の緩和利尿などに効果があるとされています。

ショウガとシナモンの組み合わせは桂枝湯(けいしとう)という漢方薬と同じ。桂枝湯は、カゼのひき始めからパニック障害まで、さまざまな症状に効果が期待できるとされています。桂枝湯の作用は穏やかなので、体力が低下した人や高齢の人、胃腸が弱い人でも安心して服用できます。

私の店のジンジャーエールも、桂枝湯と同じような作用をねらって配合を考えました。クローブは、消化を助け、痛みの緩和、口臭予防に役立ちます。唐辛子には、代謝アップや発汗作用があります。

カルダモンは、精力減退の回復、頭痛や下痢の緩和が期待できます。ピンクペッパーは、抗菌や防腐効果があるとされ、南アフリカではカゼやインフルエンザの予防に用いられているそうです。

炭酸水のほか水やお湯で割っても美味

今回は、スパイスを最低限にしぼり、手軽に作れるようにした「シナモンジンジャー水」としてご紹介します(作り方は下記参照)。

シナモンジンジャー水にカルダモンとピンクペッパーを追加すれば、店オリジナルのジンジャーエールキットそのままの配合でお飲みいただけます。

出来上がったジンジャーエールシロップは、冷蔵庫で保管して、3週間以内に飲み切りましょう。飲み方は、暑い時期は炭酸水で割るのがお勧めですが、水やお湯で割るのも美味です。コップで、1日1~2杯を目安にしてください。

ショウガの刺激が強めなので、朝一番は避けて、日中に飲むようにしましょう。

我が家も、夫婦でこのジンジャーエールを愛飲しています。その効果は、鍼灸師である夫も実感しているようです。材料の配合がよく、夫自身も、おなかが冷えてガスがたまりやすかったのが緩和したと喜んでいます。

シナモンジンジャー水の作り方

画像: 左:クローブ(ホール)右:シナモンスティック

左:クローブ(ホール)右:シナモンスティック

画像1: シナモンジンジャー水の作り方

【材料】(コップ7~10杯分)
〈シロップ〉
シナモンスティック…1~2本
ショウガ…250g
きび砂糖…250g
クローブ(ホール)…15個
唐辛子…1本
水…500ml
レモン汁…50ml
希釈用の炭酸水…適量

画像2: シナモンジンジャー水の作り方

【作り方】
ショウガを洗い、水気をふく。皮をむき、薄切りにする。
レモン汁以外のシロップの材料を鍋に入れ、中火にかける。砂糖を焦がさないよう注意しつつ、沸騰したら弱火で煮る。

画像3: シナモンジンジャー水の作り方

15分ほど煮たら火を止め、レモン汁を加えたら、シロップの出来上がり。熱湯消毒した保存瓶に移す。
シロップ大さじ2~3杯に、炭酸水を好みの量加えて、よく混ぜる。

画像4: シナモンジンジャー水の作り方

【飲み方】
1日に1~2杯を目安に飲む。
シロップは冷蔵庫で3週間ほど保存可能。
炭酸水のほか、水や白湯で割ってもよい。

画像: この記事は『壮快』2020年9月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年9月号に掲載されています。

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