クローブは、カレーやチャイなどに使われるスパイスですが「丁子」という漢方生薬でもあります。その作用は、①抗菌・抗真菌、②抗酸化・抗炎症・鎮痛、③胃腸機能の向上です。私は患者さんに「にがり入りクローブ水」をお勧めしています。【解説】奥平智之(医療法人山口病院副院長・日本栄養精神医学研究会会長)

解説者のプロフィール

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奥平智之(おくだいら・ともゆき)
医療法人山口病院副院長・日本栄養精神医学研究会会長。精神科医・漢方医・認知症専門医。「メンタルヘルスは食事から」をモットーに栄養医学を取り入れた臨床を行う。貧血がないために女性の鉄欠乏が見逃されがちなことから、鉄欠乏の女性を「鉄欠乏女子(テケジョ)」、栄養改善だけで良くなるうつ状態を「栄養型うつ」と命名、食事や栄養の大切さを啓発している。著書に「血液栄養解析を活用!うつぬけ食事術」(ベストセラーズ)、「ココロの不調回復 食べてうつぬけ」(主婦の友社)など。ホームページ:https://www.dr-okudaira.com/

アンチエイジングや抗炎症効果も

私は近年、感染症予防や胃腸機能改善などの一助として、患者さんに「クローブ水」をお勧めしています。クローブ水は、スパイスコーナーで売っているホールタイプのクローブを、水に入れるだけで作れる簡単なドリンクです。

私は、栄養専門の精神科医として、精神科診療に栄養指導と漢方をとり入れています。患者さんにお勧めできる、使いやすい生薬(漢方の材料)を探していたところ、クローブに目が留まりました。そして、優れた成分を手軽に、日常的に摂取できるクローブ水を提案することにしたのです。

クローブは、カレーやチャイなどに使われるスパイス(香辛料)ですが「丁子(ちょうじ)」という漢方生薬でもあります。その作用は次のとおりです。

抗菌・抗真菌

オイゲノール」などの成分が抗菌作用をもたらすため、カゼなどの感染予防が期待できます。クローブは、ペストのような伝染病の感染予防に昔から使われています。

私自身も、毎年インフルエンザなどの感染症が流行する時期には、クローブ水を一日最低500ml、ちびちび飲みながら診察をしています。感染予防として、こまめに少しずつ飲むことで、気道の保湿と抗菌効果が期待できるのです。

新型コロナウイルスに対してのエビデンスがあるわけではありませんが、安価で安全性の高い伝統的な感染予防対策となると考え、今年は初夏となっても継続的に、クローブ水を愛飲しています。

腸内でのカンジダ菌の異常繁殖や、小腸内での菌の異常繁殖(SIBO:食後にガスが溜まった感じでおなかが張る症状)の改善にもクローブは有用です。

抗酸化・抗炎症・鎮痛

クローブは、活性酸素や慢性炎症を軽減するので、アンチエイジング効果も期待できます。また、クローブ水で歯を磨いたり、うがいをしたりすると、歯茎の炎症を軽減し、痛みの緩和にもつながります。

胃腸機能の向上

クローブは、胃腸を刺激して唾液や胃酸分泌を促したり、胃腸を温めて胃腸の機能を高めたりするため、消化力の向上や食欲の増進が期待できます。

うがいをすると口臭予防に

私がお勧めしている「奥平式クローブ水」の作り方は、下記を参照してください。抗菌の強度や味の好みで、クローブの数を調整するとよいでしょう。

にがりは、マグネシウム補給を目的に加えます。マグネシウムには、筋肉を緩める働きがあり、不足すると頭痛、肩こり、こむら返り、まぶたのピクピク、生理痛、高血圧などを引き起こしやすくなります。

マグネシウムは、メンタルや全身の細胞のエネルギー産生にも重要なミネラルです。不足すると、うつっぽくなったり、疲れやすくなったりすることがあります。

免疫強化にも大切なミネラルなので、抗菌作用のあるクローブと、感染予防という点でとても相性がよいのです。

オレンジやレモンなどの柑橘類をしぼって加えると、味の変化が楽しめてお勧めです。

クローブ水の抗菌作用は、ほかにもさまざまなことに活用できます。

口腔ケア、うがいに

前日に、50ml程度の水にクローブを3個ほど入れておきます。朝起きると、濃いクローブ水ができていますので、それで口をゆすぎましょう。口の中の雑菌がなくなり、口臭予防になります。濃いクローブ水は、帰宅時のうがいにもお勧めです。

水ぶき、抗菌スプレーに

さらに濃いクローブ水を使って水ぶきをしたり、スプレーボトルに入れてテーブルなどにスプレーしたりすると、室内の抗菌・防虫効果が期待できます。

お風呂に

500mlのペットボトルに水とクローブ10個を入れて24時間おきます(100Lの風呂水の場合)。その水をお風呂に入れると、クローブ風呂が出来上がります。肌が過敏な人は、濃度を下げて使いましょう。

クローブには血流を促進し体を温める効果、香りによるリラクゼーション効果も期待できます。抗菌作用で、ニキビや水虫の改善が期待でき、浴槽にも衛生的です。また、抗酸化・抗炎症作用で美肌効果が期待できます。

このように、クローブ水は生活のさまざまな場面で幅広く活用できます。患者さんからも、カゼやインフルエンザにかかりにくくなった、胃もたれがなくなり食欲が出てきた、口臭が消えた、などさまざまな感想が寄せられています。ぜひ、皆さんも、クローブ水を生活にとり入れてみてください。

基本のクローブ水の作り方

画像: クローブ(ホール)

クローブ(ホール)

画像1: 基本のクローブ水の作り方

【材料】(作りやすい量)
クローブ(ホール)…1~3個
水…500ml
にがり…数滴
※クローブの数は抗菌の強さや味の好みで調整してよい。

【作り方】
クローブを水に入れ、にがりを垂らし、混ぜる。

画像2: 基本のクローブ水の作り方

【飲み方】
作ったらすぐに飲めるが、時間をおくほど抗菌力や味が増す。
感染予防には、ひといきに飲まず、少しずつ飲む。
クローブを飲み込まないよう注意。

奥平式クローブ水お勧めアレンジ

画像: 奥平式クローブ水お勧めアレンジ

クローブ水にオレンジやレモンなど柑橘類や、シナモンパウダーを加えると、味の変化が楽しめる。シナモンの免疫賦活効果が加わり、カゼのひき始めや感染予防に効果的。天然の甘みが加わり、さらにスパイシーで香ばしくなる。

温かい飲み物が好みなら、奥平式クローブシナモン湯もお勧め。350ml程度の保温瓶に熱湯とシナモンスティック2本、クローブ(ホール)3個を入れ20分程度おいたあとに、にがりを数滴加えるだけ。

画像: 奥平智之先生の著書 www.amazon.co.jp

奥平智之先生の著書

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