数あるハチミツ活用法のなかでお勧めなのが、手作りイオン飲料の「はちみつ水」です。ハチミツの糖は自然のブドウ糖と果糖で血糖値を上げにくいとされています。それでも気になる人は、果糖の割合が多いアカシアなど結晶化しにくいハチミツを選ぶとよいでしょう。【解説】前田京子(著述家)

解説者のプロフィール

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前田京子(まえだ・きょうこ)
著述家。1962年生まれ。国際基督教大学教養学部、東京大学法学部卒業。ベストセラー『お風呂の愉しみ』『オリーブ石けん、マルセイユ石けんを作る』(いずれも飛鳥新社)、『はっか油の愉しみ』(マガジンハウス)などボディケア関連の著書多数。ハチミツについては、『ひとさじのはちみつ―自然がくれた家庭医薬品の知恵』および続編の『はちみつ日和 花とミツバチと太陽がくれた薬』(いずれもマガジンハウス)に詳しい。

※ハチミツは1歳以下の乳児には与えないでください。

夏の水分・塩分補給に合理的な組み合わせ

私は幼いころから、ハチミツが大好き。長年にわたりさまざまに愛用してきましたが、その薬効を強く意識するようになったのは、2011年ごろのことです。きっかけは、のどのしつこいイガイガ感でした。

あれこれ試してもヒリヒリした痛みが治まらず、困っていましたが、この不快な症状を、速やかに消し去ってくれたのが、ニュージーランド産のハチミツ「マヌカハニー」だったのです。

調べたところ、マヌカハニーは現代でも、病院で治療に使われているとのこと。ハチミツは、日本薬局方でも第3類医薬品に指定されています。知るほどに興味を引かれ、それ以来、数種類のハチミツを「常備薬」として置くようになりました。

数あるハチミツ活用法のなかで、夏の暑い時期、特にお勧めなのが、手作りイオン飲料の「はちみつ水」です(作り方は下記参照)。簡単でおいしい配合を探り、いろいろ試した結果、この味が我が家の定番となりました。

このレシピのヒントをくれたのは、アメリカに住んでいたとき、近くのワイン農場で働いていたメキシコ人の青年です。彼は毎日、手製のハチミツ水を飲みながら、ブドウ畑で汗を流していました。聞くと、1日に2Lも飲むといいます。

ハチミツは、糖がエネルギー源となる一方、ビタミンやミネラルの宝庫でもあります。

ただ不足ぎみなのが、ビタミンC。これを補うのが、レモンやライムなどの果汁です。さらに、天然塩を少々加えることで、汗をかいたときに失われるナトリウムなどを補うことができます。

ハチミツ水は、暑い夏、大汗をかいたときや高熱時の水分・塩分補給、熱中症予防に、合理的な組み合わせなのです。

〝プチ断食〟や便秘の解消にも活躍

一般的なスポーツ飲料には、砂糖や、天然由来ではないブドウ糖・果糖溶液が大量に使われており、その弊害が指摘されています。一方、ハチミツの糖は自然のブドウ糖と果糖で、血糖値を上げにくいとされています。

それでも気になる人は、血糖値を上げにくいといわれている果糖の割合が多いハチミツを、選ぶとよいでしょう。アカシアなど、結晶化しにくいハチミツが、このタイプです。いずれにせよ、甘味料などが添加されていない、非加熱で天然のハチミツを選ぶのが肝心です。

また、ビタミンCについては市販の粉末を使うのも、お勧めしています。「アスコルビン酸(原末)」として、ハチミツ同様、日本薬局方に指定されているので、ドラッグストアなどで購入が可能です。新鮮なレモンが手に入らないときも、これさえ手もとにあれば、いつでも手軽に作れるというわけです。

画像: 市販のビタミンC粉末を使えばより手軽

市販のビタミンC粉末を使えばより手軽

我が家では、このレシピを、デトックスに使うこともあります。「最近、食べ過ぎて体が重いな」というとき、夫婦そろって、「はちみつ水」で〝プチ断食〟をするのです。まる1日のときもあれば、夕食を抜いて、寝るまでそれだけで過ごすこともあります。

ハチミツには、整腸作用粘膜の修復作用があるとされています。固形物をとらないことで胃腸を休めることができ、翌日にはおなかスッキリ。体の軽さを実感できます。

この「はちみつ水」、塩分を調整し、とり過ぎに注意しながら、便秘解消に活用する友人もいます。飲む量は最大で、1日に2L程度がよさそうです。

化粧水として作ることもできます。作り方は、100mlの水に対し、ハチミツを小さじ半分と、ビタミンC(アスコルビン酸)を耳かき1杯程度、溶かすだけ。冷蔵保存で、1ヵ月は日もちします。

ほてった顔に冷たいハチミツ水はとても気持ちよく、糖分による保湿作用のおかげで、肌がしっとりします。ハチミツが古来、傷やヤケドの治療に使われてきたというのも納得です。

※肌に塗る際は、必ずパッチテストを行ってください。少量を塗ってしばらく時間をおき、様子を見て、赤みやかゆみなどの異常が現れたら、直ちに中止してください。

ご紹介したハチミツやビタミンCなどの配合量は、あくまで目安です。好みのハチミツを見つけたら、楽しみながらいろいろ試して、ご自分に合ったハチミツ水を探してみてください。

前田さんの「はちみつ水」の作り方

※ハチミツは1歳以下の乳児には与えないでください。

画像: 前田さんの「はちみつ水」の作り方

【材料】
天然ハチミツ…大さじ2杯(40g)
水…500ml
天然塩…小さじ1/4(1.5g)
レモン(またはライム)果汁…大さじ1(15ml)
 またはビタミンCの原末(アスコルビン酸)…小さじ1/4~1/2

【作り方と保存】
すべての材料をよく混ぜる。冷蔵庫で保存し、2~3日で飲み切る。

画像: この記事は『壮快』2020年9月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年9月号に掲載されています。

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