私たちの体は、ミトコンドリアが糖を完全燃焼させることで、最も効率的なエネルギー代謝を行います。食材中の有害物質などによって、糖の完全燃焼が阻害されているとき、そのブロックを外してくれるのが、ハチミツの主成分、フルクトース(果糖)の働きです。【解説】崎谷博征(総合医・医学博士)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

崎谷博征(さきたに・ひろゆき)
総合医・医学博士。1968年、奈良県生まれ。奈良県立医科大学・大学院卒業。脳神経外科専門医、ガンの研究で医学博士を取得。パレオ協会代表理事。日本ホリスティック療法協会理事。エネルギー量子医学会会長。共著に『自然治癒はハチミツから ハニー・フルクトースの実力』(鉱脈社)など、著書多数。

※ハチミツは1歳以下の乳児には与えないでください。

糖のエネルギー代謝が大幅に高まる

古代ギリシアの時代から、健康増進や治療を目的に、「ハチミツ水」が使われていたことをご存じですか。医学の父と呼ばれるヒポクラテスは、発熱時に飲むことを推奨しています。

ほかにも脱毛や外傷、カゼ症状(セキ)、目の病気、便秘などの治療、疲労回復、皮膚の感染予防と、実に多くの症状にハチミツ水が活用されていたのです。

これらの効能は、現代においても有効と考えられます。というのも、最先端の医学研究によって、ハチミツがもたらす、すばらしい健康効果が解明されつつあり、それは古代ギリシアの智慧を裏書きすることにもなっているからです。

では、なぜハチミツが多くの効能をもたらすのでしょうか。

ハチミツの主成分は、フルクトース(果糖)グルコース(ブドウ糖)で、二つがいいバランスで含まれています。ハチミツの特に優れた点は、この二つの組み合わせが、糖のエネルギー代謝を大幅に高めてくれる点です。

私たちの体はエネルギーで動いています。「食べる」「消化する」「排泄する」「呼吸する」「体を動かす」「内臓の活動」「体温維持」など、すべてにエネルギーが必要です。

細胞内のミトコンドリア(細胞小器官)は、私たちが摂取した食物からエネルギーを取り出し、体内で利用することのできるエネルギー物質(ATP)に変換します。その原料となるのが三大栄養素である糖、脂質、たんぱく質です。

このなかで、最も効率的にクリーンにエネルギーを生み出せるのが糖です。ミトコンドリアが糖を完全燃焼させることが、最も健康的なエネルギー代謝になるのです。

ところが、現代人の場合、偏った食生活や食材中の有害物質(添加物や農薬など)によって、糖が完全燃焼されにくくなっています。糖の完全燃焼が阻害されると、私たちの体は病気になりやすくなります。

例えば、エネルギーが十分に作られないと、「朝なかなか起きられない」「慢性的に倦怠感がある」「よくカゼをひく」「体調をくずしやすい」というような、いわゆる慢性疲労症候群の症状が現れます。

また、糖が完全燃焼されない体では、全身の各所に炎症が起こりやすくなります。この状態が続くと、アトピー性皮膚炎や関節リウマチなどの自己免疫疾患、ガン、アルツハイマー病などの慢性疾患へとつながるのです。糖のエネルギー代謝が悪ければ、糖尿病も招きやすくなります。

食材中の有害物質などによって、糖の完全燃焼が阻害されているとき、このブロックを外してくれるのが、フルクトースの働きです。

フルクトースを豊富に含むハチミツを摂取すれば、ブロックが解除され、糖のエネルギー代謝が大きく高められます。その結果、糖代謝の不足から生じる、前述したさまざまな症状・病気に対していい影響を及ぼすことができるのです。

老化現象や腸のトラブルにも有効

近年の臨床研究でも、ハチミツの糖尿病への効果が確認されています。ハチミツのフルクトースには、強力な血糖値降下作用があるのです。

さらに、アトピーやリウマチ、抜け毛・白髪などの老化現象、便秘・下痢といった腸のトラブルにも有効だとわかってきました。糖代謝が高まれば、脳の活性化も促されるので、うつや認知症にも推奨できます。

私は実際、糖尿病やアトピー、リウマチなどの患者さんに、治療法の一つとしてハチミツの摂取を勧めています。

Aさん(49歳・女性)は、白髪、抜け毛、顔のシワといった老化現象や、生理不順、慢性疲労などに悩まされていました。また、アトピーの湿疹が頭皮を中心に全身に広がっていました。

そこで、ハチミツを積極的に摂取してもらったところ、3ヵ月ほどで抜け毛が止まり、疲れやすさが改善。止まっていた生理が再開しました。翌年にはアトピーによる全身の湿疹も完治し、とても若々しくキレイな肌になられたのです。

Bさん(34歳・女性)は6年前から重度のリウマチで、担当医からは「5年以内に歩けなくなる」と警告されていました。さまざまな代替療法を試しましたが、さらに悪化。体中のリンパ節が腫れました。少し運動をするだけでも、ひどい不整脈と低血圧を引き起こし、気絶することもありました。

しかし、ハチミツをとり始めて3ヵ月で、体のあちこちにできていたリンパ節の腫れが半減。10年前からあった足のアトピーも解消。リウマチによる右ひじ関節の拘縮も改善し、手指の関節の腫れも引いています。「歩行中に倒れなくなりました」とBさんはうれしそうに話してくれました。

私は、ハチミツを積極的に摂取することで難治性の病状が大きく改善する事例をたくさん見ています。ほかに、虫歯や歯周病、感染症の予防、外傷の治療、ダイエットなど、ハチミツの応用範囲は非常に広いといってよいでしょう。

画像1: 【ハチミツの効果】糖の燃焼を促進するしくみで病気を防ぐ 古代ギリシア時代からの万能薬

ハチミツの主な健康効果
感染症の予防 糖尿病の予防・改善 肥満解消・ダイエット アトピー性皮膚炎の予防・改善 関節リウマチの予防・改善 便秘、下痢の改善 慢性疲労症候群の予防・改善 疲労回復 ガンの予防 認知症、アルツハイマー病の予防 うつの予防・改善 集中力アップ 虫歯、歯周病の予防 抜け毛、白髪、シワの改善 外傷の改善 生理不順の改善

運動時や仕事中に飲むと疲れが取れる

ハチミツ水も、ハチミツ自体と同様に皆さんに有効活用してほしい健康法の一つです。私自身、ハチミツ水をスポーツドリンクとして活用しています。

運動時に糖が不足すると、筋肉中の糖を使います。筋トレをしてもなかなか筋肉がつかないという人は、運動中の糖不足で、筋肉が分解されているおそれがあります。運動中に糖を補い、筋肉の分解を防いで、筋トレ効果を上げるためにも、ハチミツのフルクトースは大変有用です。

作り方は、500mlのミネラルウォーターに、ハチミツ大さじ3杯、食用の重曹小さじ1杯を加えます。重曹のかわりに適量の天然塩を入れてもいいでしょう。

これをジョギングなどの運動の前後や、その最中に飲みます。運動機能が向上するだけではなく、疲労回復にも役立ちます。

ハチミツ水は、仕事中に飲むのもいいでしょう。頭が疲れると、脳の活動エネルギーである糖が不足します。ハチミツ水で糖分補給をすると、失いかけた集中力を即時に高める効果が期待できるでしょう。

なお、ハチミツは表示をよく見て産地などを確認してください。私は、大きなメーカーの物より、自然の豊かな土地で生まれたハチミツを勧めています。シロップや添加物などの混ぜ物がないか、養蜂所に直接電話して、確認してみるのもいいでしょう。いいハチミツを選び、生活のなかで大いに活用してください。

最後に一つ注意を。
乳児ボツリヌス症になる危険性がある、1歳以下の乳児には、ハチミツ水は与えないでください

崎谷先生の「ハチミツ水」の作り方

画像2: 【ハチミツの効果】糖の燃焼を促進するしくみで病気を防ぐ 古代ギリシア時代からの万能薬

【材料】
ハチミツ…大さじ3
重曹…小さじ1
ミネラルウォーター…500ml
※重曹のかわりに適量の天然塩でもよい。

画像3: 【ハチミツの効果】糖の燃焼を促進するしくみで病気を防ぐ 古代ギリシア時代からの万能薬

【作り方】
ミネラルウォーターにハチミツと重曹を入れて、よくかき混ぜれば出来上がり。

※運動の前後や最中に飲む。仕事中にもお勧め。
※冷蔵庫で1〜2日は保存できる。

画像: この記事は『壮快』2020年9月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年9月号に掲載されています。

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