解説者のプロフィール

藤井清史(ふじい・きよし)
呑気堂Fujii鍼灸治療院・Tomo整骨院総院長。1968年北海道生まれ。鍼灸師。波動医療やメディカルハーブ、フラワーレメディーといった代替医療の研究に取り組み、洋の東西を問わず「治る治療」を目指す。共著『新しいライフ周波数療法』(風詠社)が好評発売中。
▼呑気堂Fujii鍼灸治療院・Tomo整骨院(公式サイト)
家にあるアルミホイルでOK
今回ご紹介する「アルミホイルリング」は、どこの家庭にでもあるアルミホイルを使った健康法です。
もともと私は、鍼を刺さずに鍼治療を行えないかと、ずっと考えていました。
鍼灸医学は「気の医学」ともいわれ、全身を循環する気(生命エネルギー)の流れが滞ったときに病気や不調が起こると考えます。そこで、経絡(全身を巡る気などの通り道)上のポイントであるツボに、鍼を刺してその流れをよくすることが治療の主眼になります。
鍼治療はとても効果的ですが、子どもや妊婦など、刺激の影響を考慮すると、鍼を使いにくいケースもあります。
そこで、20年前に考案したのが、アルミホイルリングです。これを体にはるだけで、鍼治療と同様の効果が得られます。
効果の秘訣は、リングの形と材質にあります。
アルミホイルリングは、アルミホイルを帯状にした後、端を180度ひねって輪にします。ご存じの方も多いと思いますが、これは「メビウスの輪」と呼ばれる形状です。
ドイツの数学者、メビウスが発見したことからその名がついたメビウスの輪は、帯状の輪の上をたどっていくと、いつの間にか裏側に行き、どちらが裏か表か分からない状態で無限に続く不思議な形状です。
体の経絡も、何本にも分かれていますが、全てつながっています。私たちは、地球や宇宙を巡るエネルギーを取り込みながら、その気を無限に循環させて、生命を保っています。
無限に循環するメビウスの形は、気の仕組みと合致しています。その形を、体内の微弱電流に影響するアルミなどの金属で作ったら、体に鍼を刺すことなく、気の流れを循環させられるのでは、と考えたのです。
アルミホイルリングを考案した翌朝、小学3年生の男の子が、重度の寝違えで「首や背中が痛くて腕も上がらないので、学校に行けない」と、母親に連れられて来院しました。
そこで、アルミホイルリングを10個ほど、寝違えを起こしている頸椎(首の部分の背骨)の両わきにはってみました。
すると、はった瞬間から「痛くない」と言い始めたのです。15分ほどはっておいてから剥がしましたが、症状は再発せず、そのまま元気に登校しました。
多彩な効果の中でも骨粗鬆症に劇的に効く
手応えを感じた私は、他の患者さんにも試しました。すると、めまい、難聴、不眠など、多くの症状に効くことが判明しました。
中でも劇的に効くのが、骨がもろくなり骨折しやすくなる骨粗鬆症です。
当院には、運動習慣がなく、食事に偏りがある方が多く来られます。そういった生活を続けていると、老化が早まり、骨粗鬆症のリスクも高くなります。
そういった方々には、太谿(たいけい)と大杼(だいじょ)という2つのツボに、アルミホイルリングをはるようにしています(やり方は下記参照)。
東洋医学では、腎臓の気が弱くなった状態を「腎虚」と呼びます。腎虚のままだと、骨や歯が弱くなったり、髪の毛が薄くなったりと、普通の人よりも老け込みやすくなります。
これを食い止め、若々しさを取り戻すために、弱った腎臓を元気にする必要があります。
そのためのツボが太谿です。太谿は、腎臓の働きをよくする代表的なツボです。大杼は、骨を丈夫にするツボで、骨粗鬆症の予防や改善に必要不可欠です。
ですから、これらのツボにアルミホイルリングをはると、骨が弱くなるのを防ぐことができます。
アルミホイルリングのやり方
【用意するもの】
・アルミホイル
・サージカルテープ
【作り方】

❶アルミホイルを5cmの長さで切る

❷①を3回折りたたみ、5〜8cmの長さでカットする

❸両端を持って左側を180度ねじる。輪になるように両端をつなげてサージカルテープで止める。同様にして4つ作る

【貼り方】
1. 太谿

内くるぶしとアキレス腱の間にあるくぼみの中心にある。サージカルテープを使って、肌の上に直接はる。左右両方の足にはる
2. 大杼

首を前に倒すと出てくる骨(第7頸椎)を手で触って見つけ、そのすぐ下のボコッと出た骨(第1胸椎棘突起)から左右に人さし指幅2本分外側がこのツボの見つけ方。サージカルテープを使って、肌の上に直接はる
【基本の使い方】
●アルミホイルリングは、ちぎれない限り、くり返し使用できる。
●アルミホイルリングをはった上から服や靴下を着用しても効果は落ちない。リングがつぶれてもOK。
●上のツボに加え、骨折したところにも1つはると、回復が早まる。

上から服を着ても効果に変わりはない
アルミホイルリングで骨粗鬆症が改善した例は多数あります。その一人に、80代の女性Aさんがいます。
彼女は、病院の検査で骨粗鬆症による圧迫骨折と診断され、通院を続けていました。しかし、腰痛がよくならず、当院に来ました。私が初めて治療をしたときは、腰をはじめ、全身の骨に痛みが出ていました。
そこで、太谿と大杼にアルミホイルリングをはったところ、1ヵ月で腰の骨はくっつき、骨の痛みも消えました。
最後に、一つお伝えしたいことがあります。
時折、「アルミホイルリングをはっているところが見えて恥ずかしい」という患者さんがいます。アルミホイルリングは、正しい形状とはる位置さえ守れば、上から服を着ても大丈夫です。効果に変わりはありません。

アルミホイルリングは服でつぶれても効果は落ちない
簡単にできて、骨粗鬆症に高い効果がありますので、ぜひお試しください。

この記事は『安心』2020年8月号に掲載されています。
www.makino-g.jp