解説者のプロフィール

YUKARI(ゆかり)
品格ボディアドバイザー・足の指まわし協会代表。1962年生まれ。2007年、法律事務の仕事をしながら、ピラティスとヨガのインストラクター活動を開始。2010年、独自で考案した「品格ボディエクササイズ」が人気テレビ番組『魔女たちの22時』で注目される。2011年に独立し、指導に専念。個人レッスンを中心に、グループレッスンや「足の指まわし伝道師講座」を定期的に開催している。2017年10月『すごい足指まわし』(永岡書店)を出版。検索は「品格ボディ」「足の指まわし協会」。
キレイになるにはがんばり過ぎないこと
「足の指まわし伝道師」。現在、私の自己紹介は、こんな不思議な肩書きから始まります。美しく健康な体づくりをお手伝いすることが、私の仕事。そのうえで、最も重要視しているのが、足の指を回すことなのです。
私はこれまで、2万人ものかたがたの足の指を見てきました。そして、「私たちの美と健康は、足の指が握っている」という結論に達したのです。
なぜ、足の指なのでしょう。
私は、20代前半で結婚・出産してから、スポーツとは無縁になりました。気づけば背中や太もも、二の腕に脂肪がたっぷりついていました。
37歳から運動と食事制限を始めましたが、太ももはがっちりしたまま。二の腕と背中の脂肪も取れません。そんなとき、ヨガやピラティス、解剖学を学んだことで、「体を緩める大切さ」に気づきました。
それを機に、筋肉を「鍛える」ことから「緩める」ことへ方向転換しました。筋肉を緩めるためのエクササイズを考案・実践したところ、太ももが細くなり、背中や二の腕のぜい肉も取れたのです。
がんばって運動をすると、使いやすい筋肉を使うので、やせたい部分の筋肉がよけいかたくなって、がっちりします。
ですから私は、「がんばります!」という生徒さんには、「キレイになるためには、がんばり過ぎないことが大事ですよ」とお話ししています。
お尻や背中のぜい肉は悪い姿勢が原因?
とはいえ、皆さんなかなか力が抜けません。そこで、体を緩める基本動作として、「足の指回し」を最初に行うのです。
本来、私たちの体は、はだしで立ったとき、かかとに78%の重心がかかり、足裏の重心を移動しながら、歩くようにできています。
ところが、多くの人はつま先寄りに重心を置いて、かかとをうまく使えていません。加えて、足の指も靴の中で縮こまっているため、足裏でバランスを取れない人が多いのです。
足裏を使えないと、太ももの前面と外側の筋肉が「がんばって」バランスを取り、がっちりしてきます。太ももの前面と外側を使うクセがつくと、お尻の筋肉が弱って垂れてきます。
筋肉のバランスがくずれ、姿勢が悪くなると、「使わない」お尻や背中、二の腕に脂肪がつくのです。一般に、「垂れ尻」「背脂」「振り袖」と呼ばれるぜい肉は、加齢のせいだけではなく、姿勢の悪さも一因なのです。
足の指のこわばりをほぐし、足裏の三つのアーチ(上部が半円形になった構造)を使って立てるようになれば、「がんばるところ」と「使わないところ」がなくなります。
全身がほどよく緩み、すべての筋肉を正しく使えるようになって、スリムで美しい体形に自然と変わっていくのです。
足裏のバランスを整えるのに最も効果的なのが、足の親指(母趾)を回すことです。すべての指を回すのが理想ですが、親指だけでも十分な効果が得られます。
足の親指の関節には、多くの筋肉がつながっています。足の親指を回すことで多くの筋肉が緩み、足裏を使いこなせるようになります。そして、全身のバランスを取り戻すことができるのです。
足の指回しで体形が変わり、体調が改善した例を、いくつかご紹介しましょう。
Tさん(38歳女性)は、足の指回しで15kgもやせ、ウエストと太ももは10cmも細くなりました。冷え症とむくみも改善し、睡眠の質も上がったそうです。
Iさん(50歳女性)は、足の指回しで全身の疲労と脂肪が軽減。足の指回しを始めて2年後、体重は7kg減、ウエストは13cmも細くなりました。
Fさん(54歳女性)は、足の指回しを習慣にしたところ、ウエストが13cm縮小、体重も5kg減り、腰痛とひざ痛も消えて、尿もれまで治ったとのこと。
Mさん(33歳女性)は、足の指回しを半年続けたところ、ウエストが8cm、太ももは6cm細くなり、四角かったお尻が丸くなりました。ご主人は、足の指回しで腰痛が改善したそうです。
足の指を回すことは、精神の安定にもつながるようです。
ストレスを、食べることで発散する人は少なくありません。生徒さんからは、「足の指を回すとイライラが鎮まるので、暴飲暴食を避けられる」という声をよく聞きます。
「不眠が解消した」という人もいるので、筋肉が緩むことで、精神的にもリラックスできるのかもしれません。
足の指回しのやり方は、次項で図解しています。ぜひ、習慣にしてください。
足の指回しのやり方
入浴中やお風呂上がりなど、体が温まっているときに行うと、効果的です。
行程は①から⑥までありますが、時間がないときは、②の親指(母趾)を回すだけでもけっこうです。ぜひ、毎日の習慣にしてください。
❶床かイスに座り、楽な姿勢を取る。右手で右足の甲をつかみ、右足の小指(第5趾)を、根もとの関節から、左回り、右回りに3~4回ずつ大きく回す。同様に、薬指(第4趾)、中指(第3趾)、人差し指(第2趾)の順に回す。


❷最後に親指を、左回り、右回りにそれぞれ10~15回ずつ大きく回す。時間がないときは親指を回すだけでもOK。左足も同様に行う。 1日何回行ってもよい。

★時間があるときは、③~⑥も行う。
❸右手で右足のくるぶしを持つ。左手の指と右足の指を組み、くるぶしの内部をほぐすように、右足首を左回り、右回りに5回ずつ回す。

❹指は組んだまま、右手の親指が右足の土踏まずに当たるように持ちかえ、ぞうきんをしぼるように、足の甲を左右に5回ずつひねる。

❺右手で右足の甲をつかみ、左手で右足のかかとを持って、かかとを左右に5回揺らす。

❻右足のかかとの上にあるシワを伸ばすように、左右の手の親指で引っ張りながら、30秒ほどマッサージする。左足も同様に行う。


この記事は『壮快』2020年8月号に掲載されています。
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