のどの粘膜には粘液があり、ウイルスや細菌をとらえて流すというバリア機能を果たしています。ところが、乾燥すると粘液が不足してウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなります。白ゴマ油うがいは、のどの乾燥を防ぐことでバリア機能を維持し、感染症を予防することに役立つのです。【解説】西脇俊二(ハタイクリニック院長)

解説者のプロフィール

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西脇俊二(にしわき・しゅんじ)

ハタイクリニック院長。精神科医。弘前大学医学部卒業。国立秩父学園医務課医長、大石記念病院勤務などを経て、2009年からハタイクリニック院長に就任。金沢大学薬学部非常勤講師。日本アーユルヴェーダ学会上級講師などの資格を持つ。心療内科、内科、漢方診療のほか、代替医療を駆使して患者に最適な治療を提供している。著書多数。
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口に含むだけで口の中やのどが潤う!

新型コロナウイルスが蔓延する今、皆さんの肺炎・感染症予防への関心も高まっていることと思います。感染症予防に特に重要なことは、保湿です。ウイルスは、湿度が30%を切ると増殖するといわれています。

私が以前勤めていた知的障害者の施設では、毎年冬になるとカゼやインフルエンザにかかる人が続出していて、湿度を測ると30%を切っていました。

そこで、加湿器を設置して、湿度を40〜60%に保ったところ、その年の冬は、誰もカゼやインフルエンザにかかりませんでした。それほど感染症予防には保湿が大切なのです。

部屋の加湿とともに、ウイルスが侵入しやすいのどもしっかり保湿しておけば、感染症対策はより万全なものになります。そこでお勧めするのが、「白ゴマ油うがい」です。

白ゴマ油うがいは、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダの基本的なセルフケアの一つです。

用意するのは、生の白ゴマを圧搾して作られた白ゴマ油のみ。それを数分間、口に含むだけです。このうがいを行うことで、口の中やのどを潤すことができます。

本来、のどの粘膜には粘液があり、この粘液が、ウイルスや細菌をとらえて流すというバリア機能を果たしています。ところが、乾燥すると粘液が不足して、粘膜に付着したウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなります。

白ゴマ油うがいは、のどの乾燥を防ぐことで、バリア機能を維持し、感染症を予防することに役立つのです。

また、腸内細菌と同じように、口の中にも常在菌がいます。乾燥して唾液が少なくなると、口の中の細菌叢が正常に保たれなくなります。すると、悪玉菌が増え、歯周病や虫歯、口臭が起こりやすくなります。

そして、その悪い菌を飲み込むことで腸内の細菌叢が乱れ、「リーキーガット症候群(腸に炎症が生じて腸の粘膜にすきまができ、細菌や毒素がもれ出す疾患)」を引き起こします。リーキーガット症候群は、あらゆる病気に関連するといわれていて、感染症もその一つです。

白ゴマ油うがいで口の中を保湿し、口内と腸内の環境を正常に保つことは、免疫力を高めることにもつながるのです。

歯や舌の汚れを取ってから行うと吸収率アップ

わが家では、私も妻も白ゴマ油うがいを実践していています。そのおかげか、長年、カゼやインフルエンザとは無縁です。予防接種も、一度も受けたことがありません。

アーユルヴェーダでは、白ゴマ油はうがいのほかにも、マッサージなどのさまざまなケアに用いられます。皮膚から浸透させることで、肌を柔軟にしたり、老廃物を消化管の中に集めて排出しやすくしたりする作用もあるといわれています。

白ゴマ油うがいを行えば、皮膚と同じくのども柔軟になり、のどの強化にもつながります。

私たちの体は食事をする際、気道に蓋(喉頭蓋)をして食べ物が中に入らないようになっています。気道に入ろうとしても、通常はむせたり、セキをしたり(セキ反射)して吐き出します。

しかし、加齢によってのどの機能が衰えると、セキ反射が働きにくくなり、誤嚥が起こりやすくなります。その結果、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。

ですから、こうした誤嚥が気になるかたにも、白ゴマ油うがいは向いています。ただし、くれぐれも油を飲み込まないように注意してください。

白ゴマ油は、最初に加熱処理してください。そのほうが、吸収がよくなります。購入したら、鍋に入れて火にかけ、90度まで加熱し、冷ましてから容器に移して保存しましょう。

白ゴマ油うがいは、基本的には朝の起床時に1回行えば十分です。その際、前日の夕飯の未消化物や細菌が舌にたまっているので、必ず歯を磨き、舌の汚れ(舌苔)を取り除いてから行ってください。より吸収率が上がり、効果が高まるでしょう。

最後に、ゴマにアレルギーのある人や、緑内障や結膜炎の患者さん、口中に出血性の異常がある人、発熱している人などは、白ゴマ油うがいを控えてください。また、幼児にもお勧めできません

白ゴマ油うがいのやり方

【用意する物】
白ゴマ油(「太白ゴマ油」など)
鍋、調理用温度計、漏斗(あれば)
瓶などの、密閉できる清潔な保存容器

画像1: 白ゴマ油うがいのやり方

【白ゴマ油の加熱法】
用意した保存容器に入るだけの白ゴマ油を、鍋に入れて火にかける。
温度を測りつつ温め、90度まで上がったら火から下ろす。余熱で100度くらいになる。
そのまま自然に冷めるまで待ち、漏斗などで保存容器に移す。
冷暗所で保存。2ヵ月ほど使用できる。

画像2: 白ゴマ油うがいのやり方

【うがいのやり方】
大さじ1~2杯の白ゴマ油を口に含み、そのまま保持する(口を動かす必要はない)。
3~5分したら、ティッシュなどに吐き出して捨てる。
油っぽさが気になる場合は、白湯で口をゆすぐ。

画像3: 白ゴマ油うがいのやり方
画像: この記事は『壮快』2020年8月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年8月号に掲載されています。

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