和歌山の梅干しを広めるための広報活動として、田辺市梅振興室でも、梅の健康効果を体感して、梅干しを食べる食習慣をつけていただく「梅干し食べようプロジェクト」を行っています。今年は「梅干し緑茶」にスポットを当てて行いました。【体験談】林行則(田辺市農林水産部/梅振興室)

カゼをひいたときに飲めば翌朝すっきり!

梅の産地として知られる和歌山県では、日々の生活に梅が根づいており、梅干し、梅シロップなど、大人から子供まで梅をよく食べます。

また、和歌山県立医大、和歌山大学など、県内の各研究機関の協力の下、梅干しが体によいといういい伝えを科学的に検証する取り組みが行われています。

和歌山の梅干しを広めるためのさまざまな広報活動として、私が勤務する田辺市梅振興室でも、「梅干し食べようプロジェクト」と称して、梅の健康効果を体感して、梅干しを食べる食習慣をつけていただくという取り組みを行っています。今年は「梅干し緑茶」にスポットを当てて行いました。

1000年以上前から、無病息災を願う飲み物として、緑茶に梅干しとコンブを入れた梅コンブ茶という飲み物があります。和歌山ではコンブを入れずに梅茶として、「梅干し緑茶」が飲まれてきました。

飲み方は簡単で、緑茶に梅干し1個を入れて、箸などで潰して、よくかき混ぜるだけです。緑茶以外のお茶でもかまいませんし、お茶ではなく白湯という人もいます。

最近では、頻繁に飲むかたは少なくなりましたが、それでも「カゼをひいたときには梅茶」というかたはまだたくさんいらっしゃいます。

私自身も、カゼをひいたら必ず梅干し緑茶を飲みます。カゼのひき始めに飲んで、そのまま布団に潜り込むと体がポカポカして、翌朝にはすっきりしています。熱が出たときや、体がだるいときにも、同様に梅干し緑茶を飲んで寝ると体が楽になります。

また、梅は強酸性で殺菌効果が強いことがわかっていますので、梅の漬け汁(梅酢)を水で薄めた物でうがいし、そのあとに梅干し緑茶を飲むと、インフルエンザやカゼの予防に役立つかと思います。

画像: 梅干しのさまざまな健康効果が明らかにされている

梅干しのさまざまな健康効果が明らかにされている

モニター調査で多くの人が効果を実感

今年は、20〜59歳を目安に全国から募集した100名のモニターに、1月1日〜2月末までの2ヵ月間、梅干し緑茶を飲んでいただきました。対象者は、ふだんあまり梅干しを食べない人たちです。

毎日梅干し緑茶を1杯飲んでいただき、感想や体の変化についてアンケート調査しました。

カゼの予防効果については、昨年の同時期にカゼに罹患したのが32名で、本年度は11名と少なくなっていますが、このプロジェクト実施中に新型コロナウイルスの感染拡大があり、その影響は否めません。

皆さん、手洗い、うがい、手指の消毒、マスクの着用などの積極的対策を行ったことで、全国的にもインフルエンザの発生が少なくなったといわれています。ですから、梅干し緑茶がカゼの予防に役立ったとは一概にはいえません。

しかし、プロジェクト期間中にカゼをひいた人の発熱、頭痛、セキ、くしゃみなどの症状と、昨年同時期にひいたカゼの症状を数値化して比較した場合、昨年が97だったのに対して、今年は23と大きく減少しています。

体に感じた変化では、疲労感の減少がいちばん多く、34名でした。「疲れを感じにくかった」「朝が楽で、仕事前に散歩をするようになった」「朝から体が楽なので、前向きな気持ちになれた」といったコメントも寄せられました。

次いで多かったのが、カゼの症状の軽減で、30名の人が効果を実感していました。いただいたコメントにも「カゼを引いてもすぐに治った」「症状が軽かった」「少しカゼ気味だと感じた程度で治った」とあり、カゼに罹患しても症状を軽く抑えられたことがわかります。

そのほか、「ダイエットに役立った」が21名、「花粉症の症状が軽減した」が16名、「胃腸の調子がよくなった」が9名でした。

また「食欲が出た」「冷えが改善した」「ストレスの軽減が感じられた」などの回答もありました。

ダイエット効果に関しては、「今年は正月太りがなかった」というコメントがあったように、過食してしまいがちな正月からスタートしたにもかかわらず減少傾向でした。2ヵ月のプロジェクト期間中の体重減少は平均0.5kgで、腹囲に関しては平均0.8cm減です。

なかには、4kg減量したという人や、腹囲が8cm細くなったという人もいました。梅干しを食べて毎日体重と腹囲を測定したことにより、ダイエットへの意識が生じた可能性もあるかもしれません。ダイエット意識を高めてモチベーションを落とさないために、毎日梅干し緑茶を飲むというのも一つの方法かと思います。

梅干しの健康効果は、多くの研究機関で明らかにされています。「梅干しは苦手」というかたも、梅干し緑茶ならとりやすいと思います。また、食事と違って、いつでも飲めるのが大きなメリットです。梅で得られる健康生活を、まずは毎日1杯の梅干し緑茶から始めてみてはいかがでしょうか。

梅干し緑茶の作り方

画像1: 梅干し緑茶の作り方

【材料】
梅干し…1個
緑茶の茶葉…3g(小さじ1と1/2~2)
湯(80度が適温)…150ml

画像2: 梅干し緑茶の作り方

【作り方】
急須に茶葉を入れて湯を注ぐ。
緑茶を湯飲みに注ぎ、梅干しを加える。
※梅干しをつぶしながら、ゆっくりと飲む。梅干しは、なるべく食べ切る。
※冷たくして飲みたいときは、②を冷蔵庫で冷やすか、冷やした緑茶に梅干しを入れる(水出しした緑茶で作らない)。

画像: この記事は『壮快』2020年8月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年8月号に掲載されています。

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