私は昔から日焼けをするとすぐにヒリヒリして、ガサガサになってしまうのが常でした。けれども、酢漬け梅をよく食べるようになってから、そもそも日焼けしにくくなったようです。冬はカサつきがちでしたが、しっとりツヤツヤの肌をキープできています。【解説】小川睦子(梅干研究家・梅干研究所[UMEBOSHI-LABO]主宰)

プロフィール

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小川睦子(おがわ・ときこ)
梅干研究家。梅干研究所(UMEBOSHI-LABO)主宰。幼少より梅干しをこよなく愛し、その研究に励むかたわら、梅干しの魅力と作る楽しさを伝えるべく、関東と福岡を中心に活動している。著書に『はじめてでもおいしくできる 梅干し・梅レシピの基本』(朝日新聞出版)がある。ホームページ:umelabo.org

梅干しよりマイルドでとても食べやすい!

「梅のさわやかな風味は好きだけれど、梅干しは、酸っぱくてしょっぱいから苦手」という人に、ぜひお勧めしたいのが「酢漬け梅」です(基本の作り方は下項参照)。

これは文字どおり、梅を酢に漬けて作ります。仕上がりは、普通の梅干しより酸味がマイルドで、しょっぱ過ぎることもなく、とても食べやすい物です。

私が酢漬け梅を知ったのは、比較的最近で、7~8年前になるでしょうか。知人から「梅干しを作るときに、酢を加えて漬けるとおいしい」と聞き、「梅干研究家として、試さずにはいられない!」と、早速作ってみました。

すると、梅干しとはまた違う甘酸っぱさがすばらしく、とても気に入ったので、それ以降毎年作るようになりました。梅干し作りのワークショップ(講座)などでも、皆さんに勧めています。

私はもともと、梅干しをよく食べていますが、こと酢漬け梅を食べるようになってから、肌状態が以前よりよくなったと感じます。

昔からあまり肌が強いほうではなく、日焼けをするとすぐにヒリヒリして、ガサガサになってしまうのが常でした。けれども、酢漬け梅をよく食べるようになってから、そもそも日焼けしにくくなったようです。冬はカサつきがちでしたが、しっとりツヤツヤの肌をキープできています。

疲労回復にも、効果的です。よく動いてくたびれた日も、酢漬け梅を食べれば、早めに疲れが取れます。

また、「ちょっとカゼっぽいかな」と感じたり、頭痛がしたりと調子がイマイチなときは、酢漬け梅をお湯に入れ、実をつぶしながら飲みます。すると、それらの症状がひどくならないうちに治まるのです。

酢漬け梅の作り方

画像1: 酢漬け梅の作り方

【材料】
梅(青梅でも黄色く熟した梅でも可)…500g
塩…50g
砂糖…100g
酢(米酢やリンゴ酢など好みの物)…500ml

画像2: 酢漬け梅の作り方

【作り方】
梅をボウルに入れ、水を2~3回替えて洗う。青梅の場合は、水を張ったボウルに1~2時間つけて、アク抜きをする。
キッチンペーパーか清潔なタオルで、①の水気をふき取る。
清潔なガラス瓶に、②、塩、砂糖、酢の順に入れ、軽く揺する。
直射日光の当たらない室内に置き、そのまま保存する。

画像3: 酢漬け梅の作り方

漬け込んで1ヵ月ほどで食べごろになる。1~2年ほど日もちする。
実は、そのまま食べても、料理に使っても。漬け汁はドレッシングを作ったり、水で薄めて飲んだりして活用する。

梅の実も漬け酢も活用法は無限大!

画像: 小川さんの酢漬け梅。講座でも勧めて大好評!

小川さんの酢漬け梅。講座でも勧めて大好評!

酢漬け梅を食べている知人のなかにも、私と同じように「疲れにくくなった」「朝に起きるのが楽になった」と話す人が少なくありません。

レシピを教えた生徒さんにも酢漬け梅は好評です。「ヘトヘトに疲れたときでも、この漬け酢を飲むと、たちまち元気になる」「酢漬け梅の大ファンになり、毎年作っています」というかたもいらっしゃいました。

私の作り方は上で紹介していますが、ここでは材料の選び方や活用のしかたなどについてお話ししましょう。

梅は、青梅でも、完熟させた黄色い梅でも、お好みで選んでかまいません。青梅で作ると、さわやかさが際立ち、黄色い梅で作ると、梅のフルーティーな芳香が強く感じられます。

実を食べるのを主目的とするなら、黄色い梅のほうが、果実としての梅の味が、よりわかりやすいでしょう。味の違いを比べるのも楽しいので、できればぜひ、両方試してください。

塩は、ミネラルが多く含まれる、粗塩タイプの天然塩がお勧めです。ほんのり甘みを感じるような、旨みのある塩を使うと深い味わいになります。しっとりした質感の物が、梅になじみやすいようです。

砂糖は、普通の上白糖でもいいのですが、私は、味が好みなのと、精製度が低いほうがミネラルを多く含むため、きび砂糖を使っています。黒砂糖や、メープルシロップ、ハチミツなどを加えてもいいでしょう。

漬ける酢も、お好みで選んでください。米酢リンゴ酢がよく合います。黒酢で作ると、また違った風味が楽しめます。

保存は、常温でも可能ですが、念のため、冷蔵庫に入れると安心です。特に漬け酢は、気温や湿度などの条件によっては傷む可能性もあります。冷蔵庫に空きがあるなら、瓶をそのまま入れるといいでしょう。

スペースにそれほど余裕がなければ、漬け酢から梅の実だけを取り出し、2~3日かけて天日に干すのもお勧めです。こうすると、普通の梅干し同様に、安心して常温で保存できます。干したほうが食べやすいと感じるかたもいるようです。

酢漬け梅の活用法は、それこそ無限大。そのままおやつとして口にしてもおいしく、実も漬け酢も、さまざまな料理に使えます。

実を料理に使う際は、種を取り除き、手でちぎる、つぶす、たたくなどしてから加えると、均一に仕上がり食べやすくなります。酢漬け梅は梅干しよりも塩分が少ないので、塩加減で失敗することも少ないでしょう。

漬け酢は、酢が入るたいていのレシピに使えます。酢の物はもちろん、ドレッシング作りにも大活躍。酢豚などの炒め物や鶏肉の甘酢煮などに使うとき、実もいっしょに加えると、より酸味が際立ちお勧めです。

薄切りにしたタマネギをこの漬け酢に浸し、マリネにしても美味。また、漬け酢にローリエや唐辛子を加えれば、野菜を漬けるピクルス液として、再利用できます。

梅干しより簡単で1ヵ月で食べられる!

画像: 小川さんの作った酢漬け梅のサワードリンク

小川さんの作った酢漬け梅のサワードリンク

漬け酢を水や炭酸水で割り、サワードリンクとして飲むのも手軽で人気です。酸っぱくて元気が出るので、夏バテ対策にピッタリ。ミントなどのハーブを添えても、ひと味違っていいものです。

このように酢漬け梅は用途が広く、梅干しとは違ったおいしさがあることから、毎年の梅仕事のなかでも、すっかり定番となりました。

私は新潟県出身で、幼いころから、ご飯のお供にも、おやつにも、梅干しを食べて育ってきました。大学進学のため東京に出て、都内で就職。若かったこともあり、がむしゃらでしたが、働き過ぎて疲れたころ、無性に梅干しが食べたくなりました。

しかし、どれだけいろいろなメーカーの品を買い求めても、「おいしい」と思える梅干しが見つかりません。「それなら自分で作ればいいのでは」と気づき、挑戦したところ、初めてできた梅干しのおいしさに感動!

以来、梅仕事にのめりこみ、ついに梅干研究所を立ち上げるまでになりました。酢漬け梅は梅干しよりも簡単で、1ヵ月で食べられるようになるので、とっつきやすいと好評です。梅仕事が初心者のかたも、気軽にお試しください。

腸内環境を改善して免疫力を高める一助に(和歌山県立医科大学准教授・大阪河﨑リハビリテーション大学客員教授 宇都宮洋才)

酢漬け梅のクエン酸酢酸は、体内の代謝をよくして疲労回復を助けたり、腸を刺激して腸内環境を改善したりといった働きをします。

免疫細胞の大部分が腸に存在することから、腸は人体最大の免疫器官と呼ばれます。代謝がよくなり腸内環境が良好に保たれると免疫力がつきます。カゼも撃退する、丈夫な体づくりを手伝ったのでしょう。

画像: この記事は『壮快』2020年8月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年8月号に掲載されています。

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