最近では、マグネシウム不足が、糖尿病、高血圧、肥満、脂質異常症、アレルギー、感染症、骨粗鬆症などと関係が深いことがわかってきました。そこで注目されるのが、にがりです。安価で手に入りやすいので、マグネシウムの補給にはうってつけです。【解説】野崎豊(ノザキクリニック院長)

解説者のプロフィール

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野崎豊(のざき・ゆたか)
ノザキクリニック院長。日本東洋医学会名誉会員。漢方専門医。臨床内科医会専門医。日本小児学会専門医、認定産業医。日本体育協会公認スポーツドクター。専門は内科、小児科、アレルギー科。漢方薬やアロマセラピー、ハーブなどを取り入れた診療に定評があり、黒豆研究やにがり研究の第一人者として有名。

腎機能が低下している人は注意が必要です。特に人工透析を受けている人は、急に血管が広がって低血圧になる危険性がありますから、飲むのを控えてください。

マグネシウム不足が不調や病気を招く!

私は、20年近く前から「にがり」の研究に携わってきました。そのにがりが、最近再び、脚光を浴びているようです。

その背景には、日本人のミネラル不足、とりわけ主要ミネラル(1日に体重1kg当たり4mgの摂取が必要なミネラル)の一つである、「マグネシウム」の不足があります。成人では、マグネシウム摂取量が、1日100mgほども不足しているとされています。

マグネシウムは、体内で幅広い働きをしています(後述)。それだけに、不足するとさまざまな不調や病気を招くことがわかってきました。

そこで注目されるのが、にがりです。

にがりは、海水から塩を抽出するときにできる液体です。微量ミネラルが豊富で、主成分はマグネシウム。にがりを漢字で「苦汁」と書くのも、マグネシウムの苦い味からきています。とても安価で手に入りやすいので、マグネシウムの補給にはうってつけです。

私のにがり研究をお話しする前に、マグネシウムの働きについて少し触れておきます。

マグネシウムには、骨や歯をつくったり、血圧や体温を調整したり、神経の伝達や筋肉の収縮を促したりする働きがあります。体内で起こるほとんどの代謝や化学反応に、マグネシウムは関係しています。例えば、エネルギーの産生や血管の調整、糖や脂質の代謝、ホルモンの分泌などです。

マグネシウムは、人間の生理機能のすべてに関係しているといっても過言ではありません。

妊婦さんのマグネシウム不足は、子供への影響が大きいといわれています。マグネシウムは、胎児の成長に重要で、妊娠中に大量に使われます。アメリカの調査では、妊婦にマグネシウムを十分に与えると子供の成長がよくなり、未熟児が減少することがわかっています。

最近では、マグネシウム不足が、糖尿病、高血圧、肥満、脂質異常症、アレルギー、感染症、骨粗鬆症などと関係が深いことがわかってきました。

血液がサラサラに!認知症予防も期待できる

私は、こうしたマグネシウムの作用や病気への影響を、にがりを使って検証してきました。その結果、にがりには幅広い健康効果のあることがわかりました。なお、私は、100ml中にマグネシウムが約950mg含まれるにがりを使いました。

まず、にがりの血液サラサラ効果です。

高脂肪食の好きなTさん(30代・男性)に、空腹時に水道水500mlを飲んでもらい、1時間後に採血し、血液流動性測定装置(MC-FAN)で血流を観察しました。これは、人口毛細血管で血液の流れる状態や速度を調べる装置です。

その結果、赤血球どうしが連なって、流れが滞り、すべてが通過するのに180秒以上かかりました。

数日後、Tさんに、今度はにがり成分を含む水(にがり水)を500ml(マグネシウムを約100mg含有)飲んでもらい、同様に血液の流れを観察。すると、流路での赤血球の滞りもなく、わずか52秒で通過しました。にがり水を飲むだけで、血液がサラサラに変わったのです。

画像: ❶ 水道水の飲用後 赤血球どうしが連なり、流れが滞っている。

水道水の飲用後
赤血球どうしが連なり、流れが滞っている。

画像: ❷ にがり水を飲用後 赤血球の滞りもなく血液サラサラ[写真協力/赤穂化成]

にがり水を飲用後
赤血球の滞りもなく血液サラサラ[写真協力/赤穂化成]

私は、糖尿病や高血圧にも、にがりがどのように影響するか調べました。

調査の趣旨を説明し、合意を得られた糖尿病の患者さん9名に、にがり水500ml(マグネシウムを約100mg含有)を1日2~3回に分け、3ヵ月間飲んでもらいました。

その結果、空腹時血糖値は平均で159.5mg/dlから109.5mg/dlに下がりました(基準値は、110mg/dl未満)。過去1~2ヵ月の血糖状態を示すヘモグロビンA1cも6.8%から6.2%に改善したのです(基準値は4.6~6.2%)。

画像1: 血液がサラサラに!認知症予防も期待できる

また、高血圧の患者さん27名にも同様ににがり水を飲んでもらった結果、最大血圧が平均で139.7mmHgから124.7mmHgに改善しました(基準値は140mmHg未満)。

画像2: 血液がサラサラに!認知症予防も期待できる

血圧降下剤には、血管を広げる作用がありますが、それは動脈だけです。しかし、マグネシウムには、静脈や末端の毛細血管も広げる作用があります。

さらに、脳のバリア機能である血液脳関門(血中から脳内へ物質の移行を制限する機能)を通過できるので、脳血管まで広げてくれます。しかも、血液をサラサラにするので、高血圧だけでなく、認知症の予防も期待できるのです。

ウイルスの侵入を防ぐ免疫物質がうがいで増加

最近、にがりには口内の免疫力を高める効果があることもわかりました。

現在、猛威を振るっている新型コロナウイルス(CoVID-19)をはじめ、インフルエンザやカゼのウイルスは口などの粘膜から侵入します。それを防ぐのが、唾液に含まれるS-IgA(分泌型免疫グロブリンA)という免疫物質です。

日本大学歯学部などの研究によると、にがり水で1分間うがいをしたあとの唾液には、S-IgAが有意に増えており、効果はうがいのあとも5時間ほど持続していました。S-IgAでのどの粘膜が覆われれば、ウイルスの体内への侵入を防げるかもしれません。

[別記事:にがりのとり方&活用法→

にがり水でうがいする場合は、水100mlに対してマグネシウムが50mgほど含まれるようにします。100ml中にマグネシウムが1000mg含まれるにがりなら、小さじ2(10ml)入れます。マグネシウムが5000mg含まれるにがりなら、小さじ5分の2(2ml)入れてください。

また、にがりを水や飲み物に加えてとる場合は、200mlに対してマグネシウムが50mg含まれるようにします。つまり、100ml中にマグネシウムが約1000mg含まれるにがりなら、小さじ1(5ml)、マグネシウムが5000mg含まれるにがりなら1mlを加えます。

こうしたにがり水やにがり飲料を飲む場合は、一度にたくさん飲むのではなく、少しずつゆっくり味わいながら飲んでください。時間を空けて1日に2〜3杯飲めば、マグネシウムの不足分を十分に補えます。

画像: 時間を空けて1日2~3杯飲む

時間を空けて1日2~3杯飲む

マグネシウムは、とり過ぎても腸で吸収が調整され、余分な分は腎臓から排泄されます。ですから、とり過ぎによる健康被害の心配はありません。

ただし、腎機能が低下している人は注意が必要です。特に人工透析を受けている人は、急に血管が広がって低血圧になる危険性がありますから、飲むのを控えてください。

マクグネシウムは食品から摂取しにくく、ストレスや過度な飲酒によって排泄されやすいミネラルです。だからこそ、にがりを上手に活用し、健康に役立ててほしいと思います。

画像: この記事は『壮快』2020年7月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年7月号に掲載されています。

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