解説者のプロフィール

三浦直樹(みうら・なおき)
みうらクリニック院長。兵庫医科大学卒業。「難病といわれてもあきらめない」をモットーに、鍼灸や整体などの手技療法、マクロビオティックや薬膳、漢方などの食事療法などを、必要に応じて組み合わせ、自然治癒力を引き出す治療(統合治療)を行っている。近著に、『薬だけに頼らず病気を治す 家庭療法の教科書』(マキノ出版)がある。
▼みうらクリニック(公式サイト)
カリウムとサポニンが腎臓の働きをサポート
20年以上にわたり、各種自然療法を研究・実践してきた私は、ふだんの診療でも、薬だけに頼らない、食べ物や植物を利用した体のセルフケアをお伝えしています。
今回は、腎機能アップにお勧めの食べ物として、「アズキコンブ」を紹介しましょう。
私が診療に取り入れている東洋医学の考え方に、「形の似ている物が、形の似ている臓器を治す」という概念があります。アズキを見ていただくとわかるのですが、アズキと腎臓の形は非常によく似ているといえます。
もちろん形だけでなく、その成分にも、腎臓によい作用をもたらすものが含まれています。
カリウムが、その一つです。カリウムには利尿作用があり、尿の排泄を促進して、冷えやむくみを改善する効果があります。ですから、アズキは古来、むくみ取りの妙薬として使われてきました。
腎臓は、体内の水分代謝をコントロールするうえで重要な臓器です。そのため、アズキに含まれるカリウムの利尿作用は、腎臓の働きを助けることにつながるのです。
また、アズキに含まれるサポニンは、余分な脂肪を溶かす働きを持っています。サポニンの語源は、「シャボン(石鹸)」と同じ。つまり、油脂を水に溶かす界面活性作用があるのです。
また、腎臓の糸球体は、毛細血管の集合体です。ここに古い脂質が蓄積すると、目詰まりを起こし、腎臓のろ過機能が低下します。その点、アズキのサポニンは、その脂質を溶かすので、腎機能をアップさせることに役立ちます。

アズキにはポリフェノールも多く含まれます。抗酸化作用や、栄養素の補充という意味でも、細胞を元気にしてくれるでしょう。
これらのことから、アズキをコンブといっしょに煮て、シンプルに塩だけで味つけをして食べるアズキコンブは、腎臓の不調を抱えるかたに、ぜひ取り入れていただきたい養生食といえます。
なお、コンブと塩を加える点も、腎機能アップのポイントです。
これも東洋医学の考えですが、腎臓には「鹹味(かんみ)(ミネラルの多い塩分)」がよいといわれています。ですから、塩は精製塩ではなく、必ずミネラルを多く含んだ自然塩を使ってください。
ミネラル豊富なコンブと塩、そして腎臓と形の似ているアズキは、まさに腎機能アップに最強の組み合わせなのです。
3ヵ月を目安に体調の変化を見る
アズキコンブの作り方は、下記を参照してください。塩加減や、仕上がりの水分量は、好みで調整していただいてかまいませんが、塩分のとり過ぎはよくないので、そこは注意が必要です。
食べ方は、1日当たり、お椀1杯分のアズキコンブを、食事の一品として、もしくは間食がわりに食べます。一度に食べてもかまいませんし、何回かに分けて食べてもけっこうです。
ただし、毎日食べ続けると体が慣れて、反応が鈍くなります。5日続けたら1日休むなど、たまに忘れるくらいがちょうどいいでしょう。
まずは3ヵ月を目安に、食べてみてください。尿量が増えたり、冷えやむくみが改善したりするなど、なんらかの変化が感じられるはずです。腎臓の目詰まりが取れれば、高血圧の改善も期待できます。
私のクリニックでは、腎臓病のかたに限らず、ガンなどでむくみのあるかた、血圧の高いかた、むくみを伴う冷えのあるかたなどにも、アズキコンブをお勧めしています。
塩だけで味つけしたアズキは自然の甘みが感じられて、皆さん、おいしく食べながら、症状の改善に役立てていただけているようです。
注意が必要なのは、カリウム値が高い人、甲状腺機能に異常がある人です。アズキのカリウムや、コンブのヨウ素が、これらに悪影響を与える可能性があるからです。心当たりのあるかたは、主治医に相談してください。
また、私は以前、腎機能の向上に「アズキカボチャ」を紹介したこともあります。このアズキコンブにカボチャを加えて食べるのもお勧めです。
アズキコンブの作り方

【材料】
アズキ…170g
コンブ…20cm×5枚
塩…小さじ1/2
水…800ml

【作り方】
❶アズキを洗って水気を切り、水600mlとコンブといっしょに鍋に入れ、フタをしないで火にかける。
❷沸騰したら、水を足してフタをする。合計1カップの水を数回に分けて足しながら、アズキがやわらかくなるまで煮る。
❸塩で味を調えて出来上がり。
※1日にお椀1杯を食べる。何回かに分けてもOK。

この記事は『壮快』2020年7月号に掲載されています。
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