糖尿病や高血圧などの生活習慣病が日常生活しだいで悪化したり改善したりするように、白内障や緑内障にも生活習慣が大きく影響します。患者さんには、次の3つを段階的に行うよう勧めています。①間食や夜食をやめる、②腹八分目にする、③朝食を抜く、です。【解説】山口康三(回生眼科院長)

解説者のプロフィール

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山口康三(やまぐち・こうぞう)
回生眼科院長。神奈川県生まれ。1981年自治医科大学医学部卒業。1991年に回生眼科を開業。日本眼科学会認定専門医。日本東洋医学学会専門医。日本綜合医学界副会長。血液循環療法協会顧問。

乱れた生活習慣が目の状態を悪くしていた

私は、生活習慣の見直しで、これまでに多くの患者さんの白内障緑内障の悪化防止や改善を行ってきました。

白内障・緑内障は、加齢を初め、さまざまな原因から起こりますが、「目の生活習慣病」としての側面が大きい病気だということは、あまり知られていません。

糖尿病や高血圧などの生活習慣病が、食事、運動など、日常生活のあり方しだいで悪化したり改善したりするのと同じく、白内障や緑内障も、生活習慣が大きく影響するのです。

生活習慣を見直し、回復を促すための柱となる「朝食抜き」を今回ご紹介します。

これは、文字通り、朝ご飯を食べないようにすることです。朝食抜きは、目に対して以下のような効果があります。

血液と血管がきれいになる
食べ過ぎを続けていると、血液をドロドロにして目を傷つける活性酸素が多く発生します。朝食を抜く生活に変えると、活性酸素が減り、血液がサラサラになって流れやすくなり、目の回復が促されます。

私は、毎日のように患者さんの眼底の毛細血管の様子を検査機で見ているのですが、日常的に食べ過ぎている患者さんの眼底は、血液がドロドロになって毛細血管が劣化しています。

そんな状態の患者さんに、朝食抜きを実践してもらうと、血液と血管の状態が次第によくなっていきます。

目の修復機能が高まる
朝食抜きは、体の修復に必要なホルモンの分泌を促すので、目の修復機能が高まります。

老化が抑制される
少食にすると寿命が延びることが、多くの研究から分かっています。白内障(老人性白内障)は、老化現象の1つで、緑内障も40歳以降に増える病気です。

食べる量を減らすことは、老化の抑制を通じて、これらの目の病気の悪化予防や改善に役立ちます。

間食をやめるだけでも目によい

「朝食抜き」と言っても、いきなり始めるのは大変だと思います。ですから、私は患者さんには、次の3つを段階的に実行するよう勧めています。

まずは
間食や夜食をやめる
白内障や緑内障が進みやすい人は、甘いものや油っこいものを、間食や夜食でとっていることが多いです。それをやめるだけでも少食の実践になり、目によい影響があります。

第1段階を実行できたら
腹八分目にする
毎事、満腹まで食べず、「もう少し食べられるが止めておこう」という量にします。

▼第2段階を実行できたら
朝食を抜く
大切なのが、朝食を抜くことです。これによって、さらに少食がもたらす恩恵を受けられます。しかも、夕食後から翌日の昼まで胃腸が休まるので、毎日プチ断食をしているのと同じで、目の修復がいっそう促進されやすくなります。

日本人の多くは、1日朝昼晩の3食と小腹が減ったときの間食という食生活を送ります。

なので、私が勧める少食は、基本的には①→②→③の順番ですが、「もともと朝食を食べない」「朝食は食べないが間食は多い」「間食はしないが毎食満腹」など、人によって食事の仕方はさまざまです。

ですから、まだ取り組んでいないものを実践してみて、慣れてきたら①②③全てを並行するというやり方でもいいでしょう。

また、朝は何かとりたいという人は、野菜ジュースや青汁、豆乳、具のないすまし汁などの液体をとっても構いません。

散歩程度のゆっくりのペースで大丈夫

少食とともに行うとよいもう1つの柱が「歩くこと」です。

目は、多くの血流を必要とする精密機械のような臓器です。それだけに、全身の血流がよくないと、真っ先に悪影響を受けると言えます。その結果、白内障や緑内障も、進みやすく回復しにくい状態に陥ります。

全身の血流をよくして、目に十分な血液を送るため、最も手軽で効果的なのが「歩くこと」です。散歩程度のゆっくりなペースで、1日に1万3千歩程度歩くのが理想的です。

朝食抜きと散歩を、できる範囲で行うだけでも、白内障や緑内障の進行阻止や回復促進に大きな効果があります。緑内障・白内障が気になる方は、ぜひお試しください。

画像: この記事は『安心』2020年6月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2020年6月号に掲載されています。

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