解説者のプロフィール

吉永桃子(よしなが・ももこ)
1983年、京都府生まれ。株式会社ダイナミックビューティー代表取締役。しなやかな美ボディと確かな理論に裏付けされたその指導は大人気で、2013年から述べ3000人の生徒を指導している。著書に、『美脚思考』『美脚バイブル』(ともにミライカナイ)がある。
▼ダイナミックビューティー(公式サイト)
理にかなった動きが美脚を作る
肌の露出が増える季節、足の太さやむくみ、O脚に悩んでいませんか?「オバさんだから、足を出すのはもう無理!」と、年齢であきらめていませんか?
そんな考えは、ここでキッパリ捨ててください。年齢や性別に関係なく、だれでも美脚は作れます。
最初に、私自身のこれまでの歩みをお聞きください。今では「美脚インストラクター」を名乗る36歳の私ですが、19歳の頃は美脚とは縁遠い体形でした。
食べるのが大好きで、身長161cmで体重は59kg。腕や太ももはパンパンで、三段腹のぽっちゃり体形のうえ、かなりの便秘症、かつ低血圧、冷え症に悩んでいました。
しかし、体の使い方を変えたことで、13kgやせて美脚になり、あらゆる不調を解消できました。
そんな体験があるからこそ、「あなたの体も絶対に変わる!」とお伝えしたいのです。
私はもともとスポーツが大好きで、高校卒業後はトップアスリートが頼る動作解析専門家の指導のもと、人体の構造や動作の法則などを学びました。また、20歳から解剖学を体で理解するため、クラシックバレエを習得。
整形外科のリハビリ部に勤務後には、整体院を開きました。しかし、ここで施術だけで体を治すことに限界を感じるようになったのです。
人間の体は構造上、理にかなった動きがあります。その動きをすればするほど、動作の質が上がるだけでなく、血液やリンパ、神経が循環しやすくなり、疲れにくく、回復しやすい体になります。
骨格や関節も正しい位置に整うので、見た目も美しくなるのです。
逆に理にかなわない動きをすると、骨格や関節がゆがんで、疲れやむくみ、故障を生じやすい体になってしまいます。
そこで、日常動作を含め、体の正しい使い方を広めたいと考え、美脚インストラクターに転向します。今では多くの女性の体の使い方のクセを改善し、美脚や美ボディに導く、お手伝いしています。
むくみやゆがみ、O脚やX脚も改善

人間の構造を理解し、理にかなった動きをすれば体形はここまで変わる!
美脚の条件は、骨格や関節が正しい位置にあること。
さらに骨格を正しい位置に保ち、関節を最大限に動かせるインナーマッスルを使うことが大事です。実は骨格を正しい位置に動かせば、必要なインナーマッスルは自然と使えるようになります。
私のメソッドは、女性に多い内股を矯正し、足指や足裏などの足の使い方を正すことから始めます。
このメソッドを4カ月続けたある40代の女性は、5.5kgやせて、ウエスト9.6cm、ヒップ6.3cm、太もも3.7cm、ふくらはぎ2.1cm減に成功。この人に限らず、3カ月で太ももで3cm、ウエストで5~6cmほど落ちる人は珍しくありません。1年で16kgやせた人もいます。
特に、太ももやふくらはぎ、足首がキュッと引き締まり、むくみやゆがみ、セルライトも解消していきます。O脚やX脚も改善し、美脚になっていくのです。
足のゆがみの2大原因を正して美脚に
足をゆがませる元凶は、大きくは2つあります。
1つは、日本の女性に多い内股。内股になると、太ももの大腿骨が内側にねじれ、股関節の可動域が狭まり、股関節や骨盤、ひざ関節にゆがみを生じます。
結果、血液やリンパの流れが滞り、足がむくんだり、太くなったり、股関節痛やひざ痛なども起こりやすくなるのです。
実はO脚も、外側の重心で、太ももが内側にねじれた内股です。骨格がゆがんでいるため、本来使うべき内ももの筋肉が使えずに、外側の筋肉ばかりを使い、太ももやふくらはぎが外側に大きく張り出してしまうのです。
もう1つは、間違った足の使い方です。足は体を支える土台。足がゆがむと、その上にある足首やひざ、股関節、背骨、肩、首などの全身の骨格も崩れてしまいます。
ふだん歩くときは、足の指を使って踏ん張り、足裏の筋肉をしっかり使うことが肝心なのですが、現代人の多くはこの筋肉を使えていません。
これら2つの元凶を正せれば、もれなくメリハリのあるボディ、かつ美脚になれます。
次項でご紹介する私のメソッドを実行すれば、この2つの元凶を退治できます。体に意識が向かうようになり、体の使い方が確実に変わります。
さあ、今年の夏は、自分史上最高の美脚を手に入れましょう。
足のねじれを強制的にリセットし美脚と美尻を作る
内股・O脚改善ストレッチ
日常生活では、股関節を開く機会はなかなかありません。このストレッチを行えば、大腿骨が外側にねじれて開きます。股関節のゆがみが改善されるとともに、柔軟性が増します。
血液やリンパの流れも促進されるので、足のむくみとりにも効果的です。美脚をかなえるスピードが加速します!
「内股・O脚改善ストレッチ」のやり方
※布団やベッドの上で行う。1日1回行う(何回行ってもよい)。やるのにお勧めなのは、起床時や就寝前。

◎うつぶせに寝て右足を曲げる。この際、右足を曲げる角度は100〜110°程度が望ましい。足裏を縮ませる。このままの姿勢で1分間キープ。
◎これを1〜2セット行った後、左右の足を替えて同様に1〜2セット行う。
内股・O脚改善ストレッチは、内側にねじれている太ももの骨(大腿骨)を外側にねじって矯正します。また、股関節の可動域を広げる働きもあります。
股関節のインナーマッスルで、大腿骨を外側にねじる働きを持つ外旋筋群が働きやすくなります。
この外旋筋群は、美脚や美尻の形成に欠かせない、重要な筋肉です。さらに、硬くなりがちなそけい部や、内ももの内転筋も働きやすくなります。
結果的に、足の骨格や関節のゆがみが解消され、血液やリンパの循環も促され、足のむくみや便秘、生理痛などの改善も期待できるのです。
「女の子座り」が骨盤をゆがめる!
内股を改善するには、座り方に気をつけることも大事です。ふだん、ひざを内股にし、足を外に出して座る「女の子座り」をしていないでしょうか。
このような座り方は、太ももの大腿骨が内側にねじれて、股関節の可動域を狭め、骨盤をゆがませます。
反対にひざを開いて座るあぐらは、股関節に負担をかけず、大腿骨もねじれません。意外にも、あぐらは美脚を作る、お勧めの座り方といえるでしょう。

こんなポーズで長時間、スマホを見ていませんか? 実は股関節が大きくねじれる、最悪の動作です。

股関節を外旋させてあぐらをかき、その上にクッションを乗せて手を置く。肩や腕に余計な力が入らないので、上半身もリラックスします。
デスクワークなどでイスに座る場合は、横から見たときに、耳、肩、股関節の位置が一直線になるようにしてください。前から見たときは、両肩と骨盤を結ぶ長方形が崩れないよう、注意します。
しかし、最も重要なのは、同じ姿勢をずっと保たないことです。同じ姿勢のままいると、関節が固まり、動かしにくい体になってしまいます。15分に一度は、何かしら姿勢を変えるようにしましょう。

腰を反り過ぎたいわゆる「反り腰」の姿勢。これをいい姿勢だと思っている人は多く、要注意です。

骨盤、ひざ、つま先は一直線。鎖骨は左右に引っ張り、肩と耳の距離を保つ。
ちなみに、しゃがんだり、立ち上がったりして、ひざを曲げるときに、ひざが内側に向いている人が非常に多いもの。こうした動作一つでも、脚は徐々にゆがんでいきます。
ひざを曲げるときは、ひざとつま先の向きが常に同じ方向で、足の親指よりひざが内側に向かないようにしましょう。
美脚を作る土台である足の指の機能の回復とアーチを強化
足の指曲げストレッチ
美脚の土台は、足、とくに足の指の使い方と足裏の筋肉にあります。
足の指は、手の指と同様に3つの関節があり、足にも「拳」が存在します。足指を曲げて拳を作り、本来の機能を取り戻せば、足指で踏ん張り、足裏を縮めて足の甲を伸ばす、正しい歩き方ができるようになります。
歩くという日常の動作を正すことができれば、当然、美脚に近づいていくのです。ここでは、足の指の機能の回復とアーチを強化するストレッチをご紹介します。
「足の指曲げストレッチ」のやり方

※写真ではわかりやすいように床に直接、足を置いています。実際には、ジュータンの上や、タオルやクッションなどを敷き、柔らかいものの上で行いましょう。

◎イスに座り、右足・足の指の拳の関節をしっかり曲げる。右足の甲を、まっすぐにすることを心がける。このままの姿勢で1分間キープ。左右の足を替えて同様に行う。
◎立って行う場合には、足にかかる負荷が大きくなるため、片足は1回に30秒すればよい
足の指曲げストレッチは、足の指を曲げることにより、関節の可動域や、足の横のアーチの機能を取り戻します。また、足とつながる股関節やひざ関節の柔軟性も高めます。
足の指の関節の可動域が広がれば、歩くときに、足の指を使って踏ん張れるようになり、足裏の筋肉も正しく使えます。足の指や足裏を正しく使って歩けば、硬い地面からの衝撃をうまく吸収できるのです。
体を支える土台の足が整うと、その上にある全身の骨格や関節も、正しい位置に整っていきます。このストレッチで、ひざが楽になるので、ひざに痛みがある人や水がたまっている人にもお勧めです。
ひざに痛みがある人にもお勧めのストレッチ
また、正しい歩き方は、足をゆがませません。
歩くときは、後ろ足の指で踏ん張り、地面を蹴ります。このとき、足の親指の先端を最後まで地面から離さないこと。次につま先とかかとは、同時に着地します。これらに気をつけると、足裏を縮めて、足の甲を伸ばしきる、正しい歩き方ができるようになるのです。

❷足の甲を伸ばしたままひざを上げる

❹かかとからではなく、足裏全体で着地。自然と体重移動が始まる。
❶正しく立ち、左足の足裏の筋肉を縮め、足の甲を伸ばす

❸重心は右足のまま、左足を前に。このとき、左足を伸ばしきる

靴選びも重要です。日本人は、履きやすく、脱ぎやすい靴を選びがち。着脱しやすい靴の欠点は、靴底からかかとが離れ、無意識のうちに足の指が反って、足裏の筋肉が伸びてしまうことにあります。
足の指や足裏の筋肉がきちんと使えないので、硬い地面からの衝撃をまともに受けて、足がゆがんでしまうのです。
そこで靴は、足先に1cmくらいの空間があり、かかとが浮いたりズレたりしない、しっかりフィットするものを選びましょう。
靴底は硬めのものを選びます。柔らかいと、足の指で踏ん張れないためです。また、足にある縦横の3つのアーチが自然にでき、土踏まずが落ちないものがベストです。
靴ひもつきの靴は、簡単には脱げないように調整できるのでお勧めです。ヒールのある靴なら、かかとの真下にヒールがあると安定するので、長時間歩いても疲れません。
足をゆがめない靴を選び、美脚をかなえましょう。

この記事は『ゆほびか』2020年6月号に掲載されています。
www.makino-g.jp