この体操では、自分の体で痛みや違和感がある部分を知り、痛みがないほうを動かし、意図的にリラックスすることで、体を元の状態に戻していきます。体軸をねじって深呼吸するだけの簡単な体操ですが、痛みも不調も驚くほど改善されます。【解説】松栄勲(身体療法家・スポーツトレーナー)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

松栄勲(まつえ・いさお)  
身体療法家。スポーツトレーナー。1957年、石川県生まれ。金沢大学大学院医学系研究科医科学専攻修士課程修了。画期的な施術法「VIM理論」の創始者。世界を巡り修練と手技療法研究を重ね「マツエセラピー」を確立。サッカー・ゴルフ・野球などのプロスポーツ、オリンピックを頂点としたアマチュア競技選手のコンディショニングやトレーニングを数多く手がけている。著書に『すごい体操「VIM」 痛み・不調がなくなるマツエ式㊙メソッド』(春秋社)がある。

世界一の名医はあなた自身

ある日、突然、肩が上がらなくなる、痛くて眠れなくなる、いわゆる四十肩・五十肩になったことがある人も多いのではないでしょうか。

整形外科へ行くと、レントゲンを撮り、痛み止めが処方され、「痛くてもなるべく動かしましょう」と言われるケースがほとんどです。

しかし、痛みというのは、肩やほかの部位に異常が生じているのを教えてくれるサインです。痛みを発することによって、自分の体を守ろうとしてくれているのです。

それなのに、痛い状態のままで動かすと、故障したり、ケガをひどくしたりします。逆に、痛くない姿勢や動作を探し出して継続していれば、痛みから逃れられます

私は身体療法家、スポーツトレーナーとして活動しており、長年の研究から、独自のVIM体操を確立しました。VIMとは、Voluntary Inhibition Method の略で、「意図的抑制法」という意味です。

この体操では、自分の体で痛みや違和感がある部分を知り、痛みがないほうを動かし、意図的にリラックスすることで、体を元の状態に戻していきます。体軸をねじって深呼吸するだけの簡単な体操ですが、痛みも不調も驚くほど改善されます。

本記事では、VIM体操のことをわかりやすく「体軸ねじり」と呼びましょう。

体軸ねじりは、多くのプロアスリートのかたに支持していただき、私は日本代表のプロサッカー選手をはじめ、世界で活躍するスポーツ選手のかたがたの治療を担当しています。

スポーツキャスターの松岡修造さんからも太鼓判をいただきました。海外まで治療に行くことも多く、シンクロナイズドスイミングのアメリカ代表チームに帯同していたこともあります。

また、今年、国際治療リハビリテーション研究所を設立し、スポーツ選手だけでなく、痛みやマヒなどで苦しんでいるかたの治療にもっと力を注いでいきたいと考えています。

体軸ねじりは、自分で肩、腰、股関節、ひざ、背中の痛みを軽減できる体操です。痛いところ、悪いところを体が教えてくれるのを感じ、自分で体を動かすことで治していきます。

自分にとっての世界一の名医は「あなた自身」だということが、この体操を行えばわかるでしょう。

松栄先生が指導するトップアスリート
松栄勲先生は、プロのスポーツ選手からオリンピックメダリストまで、日本のトップアスリートを多数、指導している。その活動に支障が出るので、家族ぐるみのつき合いをしているという松岡修造さん以外は実名は出せないが、その一部を記そう。

松岡修造さん:元男子プロテニス選手で現スポーツキャスター、タレント、スポーツ解説者
スノーボード:男子ハーフパイプオリンピック銀メダリスト選手
女子プロゴルフ:ジュニア時代から活躍し2017年ツアー初優勝選手
女子フィギュアスケート:平昌オリンピックアメリカ代表選手
プロサッカー:トルコ・スュペル・リグ所属日本代表DF選手
プロサッカー:ヨーロッパリーグ戦でハットトリック達成選手
シンクロナイズドスイミング:世界選手権で銅メダル獲得のアメリカナショナルチーム
男子テニス:ウィンブルドンジュニア選手権優勝選手

睡眠中の寝返りでゆがみを修復

実は、体軸ねじりの体操を行わなくても、ふだんの動きで、私たちは自分の体を調整しています。

イスに座っていい姿勢を保とうと背筋をぴんと伸ばしていても、10分経つとネコ背になるかたがほとんどです。ぴんとしている状態は、腹筋や背筋などの筋肉ががんばって支えている状態ですが、筋肉が疲労してきて、縮んでネコ背になるのです。

そして、ネコ背が続くと、血行が悪くなり、神経が圧迫され、体がその状態から逃げようとするので、足を組んだり、首を伸ばしたりするようになります。

こうして、体が楽な姿勢になりたがるのは、自ら治療をしているようなものなのです。

睡眠中の寝返りもそうです。横向きになったり、うつぶせになったりして、自分が心地いい姿勢を探し、体を緩めて、ゆがみを修復しているのです。

子どもはたくさん寝返りを打って、体を調整しているので、毎日元気で走り回れるのでしょう。

画像: 松栄勲先生が代表理事を務める一般社団法人国際治療リハビリテーション研究所のホームページでは、全国の認定員・治療院のリストが掲載されている https://www.icrlab.net/

松栄勲先生が代表理事を務める一般社団法人国際治療リハビリテーション研究所のホームページでは、全国の認定員・治療院のリストが掲載されている https://www.icrlab.net/

インドのヨガ修行で気づかされたこと

私は昔、インドの修行場でヨガ修行をしたことがあるのですが、そのときの体験が、体軸ねじりを確立するきっかけになりました。

そこでは当初、私は美しい型でポーズを行い、規則正しい呼吸を維持していました。しかし、体は疲れ、修行が苦痛になりました。一方で、ほかの人たちはポーズを取るでもなく、自由なやり方で自分の世界に浸っています。

そこで、私もまねて寝転がったり、壁によりかかったり、頭で考えず、体の思うままに過ごすことにしました。すると、頭がさえわたり、体調もよくなり、ついには瞑想の境地にたどり着きました。

誰かが決めた物差しでは自分を高めることはできず、自分の奥底から湧き上がってくる感覚に従うことがすばらしいエネルギーを生みます。

この体験が、体軸ねじりの「ありのまま、したいようにする」という考えにつながっています。

自己治癒力を発揮できる

「体軸ねじり」は、次の5つのステップで行います。

検査 左右それぞれ、順に同じ動作をする。
診断 左右それぞれの痛みや違和感を探す。
診断 動きやすい側の「健側(けんそく)」と動きにくい(または痛みがある)側の「患側(かんそく)」を決める。
治療 「健側」を動かし、「意図的抑制」(深いリラックス)を行う。10秒間の休憩を挟み、合計3回繰り返す。
検証 「患側」を動かし、痛みや違和感の変化を確認する。

なかでも④の「意図的抑制」が最もたいせつで、痛みや違和感があるところを、いかにして有効に緩めることができるかが、体を元の状態に戻すポイントになります。

痛みや違和感などの嫌な感覚があるところには、その部分自体に原因がある場合と、ほかの部分の問題の影響を受けて、その部分が問題を引き起こしている場合があります。

そのため、体軸ねじりを続けるうちに、痛みがあったところが楽になったあと、ほかのところが痛くなることもあります。こうして、体が問題のあるところを教えてくれるので、自分で毎日診断して、自分で体を動かして治療していくことができるのです。

体軸ねじりを行うと、脳から筋肉へと信号を伝える経路がスムーズになり、間違った信号が出にくくなります。「間違った信号」とは、体が緊張しなくてもいいときに緊張を促すような信号で、血流が悪くなり、痛みをひどくしてしまいます。

体軸ねじりは、体操を行ったあとも、正しい信号が長時間持続して、硬かった部分がしだいに柔らかくなっていきます。

もちろん、骨折しているなど、ケガの重症度によっては、医療機関できちんと検査する必要があります。しかし、体軸ねじりを行えば、どなたでも人間に確実に備わっている自己治癒力を発揮できるので、ぜひ皆さんもやってみてください。

基本の体軸ねじり①

❶ 検査
左右それぞれ、順に同じ動作をします

画像1: 基本の体軸ねじり①

床にあおむけに寝て、両ひざを立てる。両足をくっつけ、両手は自然に体の横に添えておく

画像2: 基本の体軸ねじり①

両ひざを右にゆっくりと倒す

画像3: 基本の体軸ねじり①

反対側も同様に行う

❷ 診断
左右それぞれの痛みや違和感を探します

下の評価表「ペインスケール」に、部位ごとの痛みや違和感の程度を数値で記入する。
・痛みなし:0
・軽い痛み:1〜3
・中程度の痛み:4〜6
・強い痛み:7〜10

画像4: 基本の体軸ねじり①

❸ 診断
左右を比べてみて、より痛みが強い(動かしにくい)「患側」と、痛みが弱い(動かしやすい)「健側」を決めます

画像: 記入例:この場合は、右が健側で左が患側

記入例:この場合は、右が健側で左が患側

❹ 治療
痛みが弱い「健側」を動かし、深くリラックスします(×3回)

【痛みが弱い「健側」が右の場合】

画像5: 基本の体軸ねじり①

両ひざを健側の右に倒し、

画像6: 基本の体軸ねじり①

10秒間キープしながら、深くリラックスする
両ひざを元の位置に戻して10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証
痛みが強い「患側」の痛みや違和感の変化を確認します

【痛みが強い「患側」が左の場合】

画像7: 基本の体軸ねじり①

両ひざを患側の左に倒し、❷診断で確かめた痛みや違和感の変化を確認する

基本の体軸ねじり②

❶ 検査〜❸ 診断を行う

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右の場合】

画像1: 基本の体軸ねじり②

健側の反対の左腕を頭の横に伸ばし、両ひざを健側の右に倒し、

画像2: 基本の体軸ねじり②

10秒間キープしながら、深くリラックスする
両ひざと腕を元の位置に戻して10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右の場合】
痛みが強い患側の反対の右腕を頭の横に伸ばし、両ひざを患側の左に倒し、痛みや違和感の変化を確認する

基本の体軸ねじり③

❶ 検査〜❸ 診断を行う

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右の場合】
四つん這いになる

画像1: 基本の体軸ねじり③

健側のほうの右手を前に出し、お尻を後ろに引き、

画像2: 基本の体軸ねじり③

10秒間キープしながら、深くリラックスする
四つん這いに戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右の場合】
痛みが強い患側のほうの左手を前に出し、お尻を後ろに引き、痛みや違和感の変化を確認する

肩の体軸ねじり①

❶ 検査〜❸ 診断

足を肩幅に開いて立ち、左腕のひじを右の手で抱え、体を右にねじり、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「健側」が左、「患側」が右腕の場合】

画像1: 肩の体軸ねじり①

健側の左腕のひじを右手で抱え、

画像2: 肩の体軸ねじり①

体を右にねじり、

画像3: 肩の体軸ねじり①

10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「健側」が左、「患側」が右腕の場合】
痛みが強い患側の右腕のひじを左手で抱え、左にねじり、痛みや違和感の変化を確認する

肩の体軸ねじり②

❶ 検査〜❸ 診断

足を肩幅に開いて立ち、左腕を内側にねじった状態でまっすぐ上に伸ばし、体を右にねじり、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「健側」が左、「患側」が右腕の場合】

画像1: 肩の体軸ねじり②

健側の左腕を内側にねじった状態でまっすぐ上に伸ばし、

画像2: 肩の体軸ねじり②

体を右にねじり、

画像3: 肩の体軸ねじり②

10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「健側」が左、「患側」が右腕の場合】
痛みが強い患側の右腕を内側にねじった状態でまっすぐ上に伸ばし、体を左にねじり、痛みや違和感の変化を確認する

肩の体軸ねじり③

❶ 検査〜❸ 診断

足を肩幅に開いて立ち、右腕のひじを90°曲げ、体を右にねじり、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右腕の場合】

画像1: 肩の体軸ねじり③

健側の右腕のひじを90°曲げ、

画像2: 肩の体軸ねじり③

体を右にねじり、

画像3: 肩の体軸ねじり③

10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右腕の場合】
痛みが強い患側の左腕のひじを90°曲げ、体を左にねじり、痛みや違和感の変化を確認する

肩の体軸ねじり④

❶ 検査〜❸ 診断

足を肩幅に開いて立ち、右腕を伸ばした状態で、斜め上に向かって肩よりも高く上げ、体を右にねじり、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右腕の場合】

画像1: 肩の体軸ねじり④

健側の右腕を伸ばした状態で、斜め上に向かって肩よりも高く上げ、

画像2: 肩の体軸ねじり④

体を右にねじり、

画像3: 肩の体軸ねじり④

10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右腕の場合】
痛みが強い患側の左腕を伸ばした状態で、斜め上に向かって肩よりも高く上げ、体を左にねじり、痛みや違和感の変化を確認する

腰の体軸ねじり①

❶ 検査〜❸ 診断

足を肩幅より少し開いた状態でイスに座り、上半身だけ右にねじり、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右ねじりの場合】

画像1: 腰の体軸ねじり①

足を肩幅より少し開いた状態でイスに座り、

画像2: 腰の体軸ねじり①

上半身だけ健側の右にねじり、

画像3: 腰の体軸ねじり①

10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右ねじりの場合】
上半身だけ痛みが強い患側の左にねじり、痛みや違和感の変化を確認する

腰の体軸ねじり②

❶ 検査〜❸ 診断

イスに座り、右足を上に足を組み、上半身だけ右にねじり、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右ねじりの場合】

画像1: 腰の体軸ねじり②

イスに座り、右足を上に足を組み、

画像2: 腰の体軸ねじり②

上半身だけ右にねじり、

画像3: 腰の体軸ねじり②

10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右ねじりの場合】
痛みが強い患側の左足を上に足を組み、上半身だけ左にねじり、痛みや違和感の変化を確認する

腰の体軸ねじり③

❶ 検査〜❸ 診断

立った状態で、右足を前にして足を交差させ、手を足先に近づけるように前かがみになり、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右足前の場合】

画像1: 腰の体軸ねじり③

右足を前にして足を交差させ、手を足先に近づけるように前かがみになり、

画像2: 腰の体軸ねじり③

10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右足前の場合】
痛みが強い患側の左足前で足を交差させ、手を足先に近づけるように前かがみになり、痛みや違和感の変化を確認する

腰の体軸ねじり④

❶ 検査〜❸ 診断

立った状態で、右足を前にして足を交差させ、前かがみになり、両手をひざの裏側で組む。きつければ、足首をつかむ形でもいい。体を左右に揺すりながら、体の痛みの程度を確認する
反対も行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右足前の場合】

画像1: 腰の体軸ねじり④

右足を前にして足を交差させ、前かがみになり、両手をひざの裏側で組む。体を左右に揺すりながら、10秒間キープしながら、深くリラックスする

画像2: 腰の体軸ねじり④

きつければ、足首をつかむ形でもいい。
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右足前の場合】
痛みが強い患側の左足前で足を交差させ、前かがみになり、両手をひざの裏側で組む。体を左右に揺すりながら、痛みや違和感の変化を確認する

股関節の体軸ねじり①

❶ 検査〜❸ 診断

画像1: 股関節の体軸ねじり①

あおむけになり、

画像2: 股関節の体軸ねじり①

左足のひざを左手で、左足の甲を右手でつかみ、おなかのほうに引き寄せ、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「健側」が左、「患側」が右足の場合】

画像3: 股関節の体軸ねじり①

あおむけになり、左足のひざを左手で、左足の甲を右手でつかみ、おなかのほうに引き寄せ、10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「健側」が左、「患側」が右足の場合】
痛みが強い患側の右足のひざを右手で、右足の甲を左手でつかみ、おなかのほうに引き寄せ、痛みや違和感の変化を確認する

股関節の体軸ねじり②

❶ 検査〜❸ 診断

画像1: 股関節の体軸ねじり②

うつぶせになり、両手を重ねた手の甲を枕にして、

画像2: 股関節の体軸ねじり②

左足のひざをわき腹の方向に引き寄せ、腰が浮かないところで止め、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「健側」が左、「患側」が右足の場合】

画像3: 股関節の体軸ねじり②

うつぶせになり、両手を重ねた手の甲を枕にして、左足のひざをわき腹の方向に引き寄せ、腰が浮かないところで止め、10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「健側」が左、「患側」が右足の場合】
痛みが強い患側の右足のひざをわき腹の方向に引き寄せ、腰が浮かないところで止め、痛みや違和感の変化を確認する

ひざの体軸ねじり①

❶ 検査〜❸ 診断

画像1: ひざの体軸ねじり①

右足を横に伸ばし、左足のひざを内側に曲げ、

画像2: ひざの体軸ねじり①

上体は正面に向けて倒し、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右足伸ばしの場合】

画像3: ひざの体軸ねじり①

健側の右足を横に伸ばし、左足のひざを内側に曲げ、上体は正面に向けて倒し、10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右足伸ばしの場合】
痛みが強い患側の左足を横に伸ばし、右足のひざを内側に曲げ、上体は正面に向けて倒し、痛みや違和感の変化を確認する

ひざの体軸ねじり②

❶ 検査〜❸ 診断

画像1: ひざの体軸ねじり②

あおむけになり、右足の太ももの裏で両手を組み、

画像2: ひざの体軸ねじり②

ひざを伸ばすように足先を上げ、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右足上げの場合】

画像3: ひざの体軸ねじり②

あおむけになり、右足の太ももの裏で両手を組み、ひざを伸ばすように足先を上げ、10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右足上げの場合】
痛みが強い患側の左足の太ももの裏で両手を組み、ひざを伸ばすように足先を上げ、痛みや違和感の変化を確認する

背中の体軸ねじり①

❶ 検査〜❸ 診断

画像1: 背中の体軸ねじり①

右足を前にした横座りをし、

画像2: 背中の体軸ねじり①

右ひざのほうに上体を倒して、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右足前の場合】

画像3: 背中の体軸ねじり①

健側の右足を前にした横座りをし、右ひざのほうに上体を倒して、10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右足前の場合】
痛みが強い患側の左足を前にした横座りをし、左ひざのほうに上体を倒して、痛みや違和感の変化を確認する

背中の体軸ねじり②

❶ 検査〜❸ 診断

画像1: 背中の体軸ねじり②

あおむけになり、足を軽く開いて両ひざを立て、右足を左足のひざにかけ、

画像2: 背中の体軸ねじり②

その状態のまま両ひざを右に倒して、体の痛みの程度を確認する
反対も同様に行い、痛みが弱い「健側」と、痛みが強い「患側」を決める

❹ 治療

【「患側」が左、「健側」が右足かけの場合】

画像3: 背中の体軸ねじり②

あおむけになり、足を軽く開いて両ひざを立て、右足を左足のひざにかけ、その状態のまま両ひざを右に倒して、10秒間キープしながら、深くリラックスする
元の姿勢に戻り、10秒間の休憩を挟み同様に2回、計3回行う

❺ 検証

【「患側」が左、「健側」が右足前の場合】
痛みが強い患側の左足を右足のひざにかけ、その状態のまま両ひざを左に倒して、痛みや違和感の変化を確認する

体の異常に気づけばもう治りかけている

体軸ねじりでは、意図的抑制、すなわち、深くリラックスしてゆるめることが大事です。そのため、次のことを心がけてください。

目をつぶること
ゆっくり呼吸をすること
全身の余分な力を抜くこと
痛みや違和感のあった場所が緩むように意識すること

全身が緩む感覚が自分で理解できると、痛みが軽減し、効果も上がってきます。

慣れてくると、健側の体操は3回行わなくても、1回でじゅうぶん効果が出ます。そのため、同じ体操を4回以上することはお勧めしていません。それよりもほかの種類の体操を行いましょう。

1種類の体操を何度もやるよりも、種類を増やすほうが、体全体への効果が高くなります。

また、皆さんの中には、「特に痛みを感じるところはない」というかたもいらっしゃるかもしれません。

しかし、日常生活を送っているだけで、体は知らないうちにゆがんでいます。それが突然、痛みとなって現れることもありますし、痛みを感じる感覚が鈍くなっていて、重症化することもあります。

そのため、自覚症状がなくても、毎日体軸ねじりを行えば、体のゆがみを整えて、痛みの発生を予防できます。

体軸ねじりを行って、左右で動かしづらい部分が違うことに驚いたり、腰が張っていることに気づいたりすると、「自分はがんばりすぎてたかも」「緊張してたんだな」といったことが自覚できます。

これこそが、自分の中の医者が診断をくだしてくれた結果で、「自分の体にとっては、自分が世界一の名医」という意味です。ここに気づくことができれば、すでに体は治りかけと言えるでしょう。体軸ねじりでは、診断も治療なのです。

楽な状態、安定した状態を体感し、ずっとその状態でいれられるよう、体軸ねじりを日常の習慣にしていただければと思います。

痛みが消えれば心も前向きになる

体軸ねじりを続けていると、痛みがなくなって、体が動かしやすくなり、それとともに心も晴れてきて、いろんなことにチャレンジしたくなるでしょう。

体が心を後押ししてくれ、心が体を後押ししてくれるのです。

私は体にマヒがある人や、難病を患っている人の治療も行っていますが、エビデンス(科学的根拠)に基づいた治療法であるため、安心して受けていただけます。

というのは、私の治療法を世界で認めてもらうために、40代で金沢大学大学院に入学し、学会で発表し、論文を書いて、研究を重ねた結果がVIM体操、つまり体軸ねじりなのです。

日本では「リハビリ難民」のかたがたくさんいらっしゃいます。リハビリには日数制限があり、脳梗塞の場合は最大でも6カ月です。

「なんとか歩けるようになりたい」と思っているのに、病院でのリハビリを打ち切られ、その後のデイケアでのリハビリでは体にあまり変化が起こらず、希望を失いかけているかたも少なくありません。

そういうかたに、私が施術をして、体操を教え、痛みが消えた感覚をわかってもらえると、皆さんに希望が生まれ、喜んでついてきてくれます。体が変わるのが楽しみになって、一生懸命やるので、どんどんよくなっていくのです。

マヒがあった人が歩けるようになり、字が書けるようになり、できることがどんどん増えていく様子を見るのは本当にうれしいものです。

一方、まれになかなか効果が現れない人がいますが、そういう人は「病気が治ったら困る」と自分で思っている場合があります。

病気でいるほうが、周りからちやほやしてもらえたり、働かなくてよかったりとメリットがあるのです。しかし、そういう人でも、できないことができるとうれしくなって変わっていきます。

人間は退化を嫌います。進歩に気づいたら、自分で治そうとやる気が出るところがすごいところです。

「体軸ねじり」の本質は心も体もありのままに

体軸ねじりは、本来、本能にまかせて体を動かし、自由で決めごとがないものです。

子どもは大人よりも心が自由なので、快、不快の感情がはっきりしていて、体の欲求にすなおです。どう動かせばいいのかわかっていて、治るのが早いのです。

一方、大人は脳が複雑になり、いろいろ頭で考えてしまうことで体を悪くしています。

体軸ねじりで伝えたいことは、「心も体もありのままにしなさい」ということでもあります。

無理はしないでゆったりとくつろぐ、その場に身を任すということを心がければ、病気などの異常な状態から、体本来のあるべき状態に戻れます。

「動くほうを動かし、動きにくいところは動かさない」「動きたいように動く」「したくないことはしない」。

そのうち体と会話できるようになると、どんな動きをすればいいのか自分でわかるようになるでしょう。

画像: この記事は『ゆほびか』2020年6月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『ゆほびか』2020年6月号に掲載されています。

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