高齢になると体は衰える一方です。「守り」に加えて「攻め」の健康法を行うことで、より健康度を高められるのではないでしょうか。サバ缶納豆は私にとってすでに食習慣の一つなので、「守り」の健康法かもしれません。【体験談】三浦雄一郎(プロスキーヤー・冒険家)

プロフィール

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三浦雄一郎(みうら・ゆういちろう)
1932年、青森県生まれ。富士山直滑降、エベレスト8000m地点からの滑降など、世界7大陸最高峰からの滑降を達成。2003年、世界最高峰のエベレストに世界最高齢となる70歳7ヵ月での登頂を果たす。2008年、75歳でエベレスト再登頂。2013年、80歳で3度めのエベレスト登頂に成功し、世界最高年齢登頂記録を更新。プロスキーヤー・冒険家としてだけでなく、クラーク記念国際高等学校の校長としても活躍中。『歩き続ける力』(双葉社)、『挑戦は人間だけに許されたもの』(平凡社)など、著書多数。

栄養価が高い朝のお気に入り!

[別記事:サバ缶納豆の解説・作り方→

私の納豆好きは筋金入りで、昔からよく食べていましたが、60代のときに体をこわしてからは健康食として、意識してとるようになりました。

今年で88歳になるので、もう二十数年、毎朝の納豆が習慣となっています。さまざまにアレンジするので、食べ飽きることはありません。

なかでもお気に入りは、サバ缶を加えた「サバ缶納豆」。スーパーやコンビニで売っている小さめのサバ缶1缶と、小粒納豆1パックを、深めの器に入れ、混ぜて食べるのです。

サバ缶には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった成分が豊富で、健康にいいそうです。そうと知って、より積極的にとるようになりました。

味つけには、ポン酢を使うことが多いでしょうか。これに、生卵や、刻みネギ、キムチなどを、その日の気分で加えます。

ご飯は、糖質制限というほどでもないですが、小さめの茶碗に小盛程度を、1杯だけ食べるようにしています。

それに、濃く出した緑茶と牛乳を合わせた、抹茶ミルクならぬ、緑茶ミルク。これが、ふだんの私の朝食風景です。

山に登っていないときは、講演会などに呼んでいただくことが多く、昼と夜はたいてい、懇親会や会食になります。

外食ばかりだと、どうしても栄養が不足しがちですが、サバ缶納豆は栄養価が高いので、その調整にも役立っています。

私は53歳のときに、世界7大陸の最高峰からの、スキー滑降を達成しました。このときに、いわば燃え尽きてしまい、一度は現役を引退。それからは、日課のトレーニングをさぼり、大好きな肉やビールを食べて飲んで好き放題していました。

これが、まずかったのです。

60代半ばに差しかかるころには、体重が90kgを超えて(身長は164cm)、体脂肪率は45%以上ありました。こうなると、階段の上り下りすら、おっくうに感じられます。

あるとき、ひざに、針で刺すような痛みが出たと思ったら、半月板を損傷していると判明。医師から、人工関節を勧められるまでになりました。

人工関節を検討したひざの痛みが解消!

さらに、当時は最大血圧が、190mmHgもありました(基準値は、最大血圧が140mmHg未満、最小血圧が90mmHg未満)。高血圧のほかにも、糖尿病、不整脈、狭心症などを、立て続けに発症しました。

このとき、「もう年だから」とあきらめていたら、人生が変わっていたはず。しかし当時、やはりプロスキーヤーだった父の敬三が、「99歳でモンブラン滑降」を目標にしていました。90歳を超えてから3回も骨折していたにもかかわらず、です。

その後、父はみごとに目標を達成。この姿を見て、「俺は、まだ60代。くたばっちゃいられない」と思い直しました。

そこで「親父がモンブランなら、俺はエベレストだ」と目標を定め、もう一度、現役復活に向けてチャレンジすることにしたのです。

一念発起してからは、食生活を改めました。暴飲暴食をやめて、バランスよく、良質なたんぱく質をたっぷりとるように努めました。納豆を、ますます積極的に食べるようになったのはこのころからです。

体づくりも、再開しました。ふだんから、足首に「アンクルウェイト」と呼ばれる、トレーニング用の重りをつけて歩くようにしたのです。

現在は、片足に2kg、両足で4kgの重りをつけていますが、その倍の重りを装着していた時期もありました。

背中にも、重りをしょって歩きます。これも、今は10kgほどですが、当時は15~20kgの重りを入れて、リュックをしょっていました。

画像: 毎朝でも食べ飽きない!

毎朝でも食べ飽きない!

私は、健康法には「守り」と「攻め」があると思います。

守り」というのは、規則正しい生活をする、暴飲暴食を避けてバランスのよい食事をする、ウォーキングなどで体を動かすといったことです。

守りの健康法は、いわば現状維持型。サバ缶納豆は私にとって、すでに食習慣の一つなので、「守り」の健康法かもしれません。

一方、「攻め」の健康法は、体により大きな負荷をかけるものです。重りをつけて歩くのは「攻め」に入ります。

高齢になると、体は衰える一方です。現状以上の筋力や体力を望むなら、「守り」に加えて「攻め」の健康法を行うことで、より健康度を高められるのではないでしょうか。

こうして食生活を見直し、体を鍛え直し始めたところ、徐々に健康を取り戻してきました。

ひざの痛みは、半年くらいで解消。その後、3~4年もすると、担当医から「すり減っていた軟骨が再生している」といわれました。あれほど激しい痛みを伴い、人工関節を検討したのが、うそのようです。

ぜい肉が落ちて体が引き締まるにつれ、数々の生活習慣病も改善しました。最大血圧は、まだ160mmHgと高めなので油断はできませんが、60代のときに190mmHgもあったことを思えば、だいぶよくなりました。

その後、努力のかいあって、70歳のときに、念願のエベレスト登頂を達成。これは当時の、世界最高齢記録でした。

加えて、75歳、80歳とエベレストに登り、世界最高齢登頂記録を更新。60代で体を壊したあのとき、もしそのまま放置していたら、こうして世界最高峰のエベレストに3回も立つことはなかったでしょう。

78歳時の大腿骨骨折もスピード回復!

私は、鹿児島県にある鹿屋体育大学で、定期的に体力を測定してもらっています。

85歳で測ったときには、筋肉量が50代の人よりも2割以上多く、「大学でスポーツをやっている選手と同等か、それ以上」という結果でした。納豆にサバ缶や卵を加え、ダブル、トリプルでたんぱく質を摂取しているおかげもあるのでしょうか。

骨密度も高く、20代と同じレベルを保っています。

80歳でエベレストに挑戦する1年半前のこと、スキーが原因で、大腿骨と骨盤を骨折しました。医師からは「寝たきりか、運がよくても車イス」と宣告されましたが、2ヵ月半で復活。中年並みの回復スピードだと、驚かれたものです。

耳の聞こえも問題ないですし老眼もありません。視力は両目で0.7程度。細かい字でも、メガネなしで読めます。

また、これは特にサバ缶納豆を食べるようになってから、より頭がスッキリし、思考がクリアになったと実感しています。

私は講演会などのために独りで出かけても、道に迷うことがありません。遠い地方にも、1人で移動するので、迎えてくれた人がびっくりします。

ホテルに泊まるときは、バイキング形式の朝食が多いものですが、そんなときも、納豆は欠かせません。サバなどの青魚があれば、意識して食べます。

遠征登山のときは、さすがにサバ缶はあきらめますが、乾燥納豆を日本から持参。テントの中のテーブルには、いつも乾燥納豆が置いてあるのです。

こうして健康を維持する私の次なる目標は、「90歳のときに親子3世代で、キリマンジャロ登頂」。そういえば、孫たちもサバ缶納豆が大好きです。夢を叶えるためにも、家族そろって健康でありたいと思います。

血液がサラサラになりやせて高血圧が改善(東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授 小田原雅人)

たんぱく質量が豊富なサバ缶納豆をはじめ、緩い糖質制限や、地道なトレーニングが、三浦さんの強靭な体を支えています。その並々ならぬ筋力と骨密度には驚かされるばかりです。

サバ缶に含まれるEPAには不整脈を抑える作用があり、血流を改善するので、狭心症にも好影響があります。

血管や血流へのこうした作用に加え、やせたことが高血圧の改善に奏効したと思われます。

[別記事:サバ缶納豆の解説・作り方→

画像: この記事は『壮快』2020年6月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年6月号に掲載されています。

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