足が健康であることと美しいことは、イコールです。「不健康だときれいな足になれない」のではなく、「足を健康にすれば、誰でももっときれいな足になる」のです。「満開体操」で基本的な姿勢や体の使い方を覚えるだけで、ひざ痛は消え、足は美しくなっていきます。【解説】高田祐希(きこうカイロ施術院院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

高田祐希(たかだ・ゆき)

きこうカイロ施術院院長。自身も半月板を損傷してひざ痛を抱えていたが、背中、お尻、太ももなど背面の筋肉の使い方を変えて痛みを克服。現在、ひざ痛を抱える人が数多く訪れる。『ひざ痛を10日で治す私の方法』(ワニブックス)が発売中。
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生後3ヵ月に装着したギプスがひざ痛の原因

私は幼児期から、自分の足の太さと形の悪さに劣等感を抱いており、そのために人の足を観察する癖がつきました。

その習慣はずっと続き、成人後に小学校教諭になってからも、生徒の足を観察していました。やがて、足と全身の関係が分かるようになり、体のことに興味がわいて学び始めました。

その後、教師を辞めて本格的に体のことを勉強し、カイロプラクターの資格を取り、中医学を学んで医学気功師となって施術するようになりました。しかし、人をケアする仕事に就きながらも、私自身の足の悩みは解決できていませんでした。

幼少時からあった足の悩みは、見た目の問題でしたが、それに加えて、数年前からは激しいひざ痛も出てきたのです。

実は、私は生後3ヵ月で股関節が悪くなり、ギプスをはめて長く寝かされていました。そのため、扁平足になり、背骨の生理的わん曲(重みや衝撃を緩和するため、正常な背骨に備わったゆるやかなカーブ)がうまく作られずに成長しました。

こうした体の問題があるからこそ、私の足は太くて形が悪く、しかもひざ痛まで起こしてしまったのです。

足が健康であることと美しいことは、イコールです。「不健康だときれいな足になれない」と言っているのではありません。その逆で、「足を健康にすれば、誰でももっときれいな足になる」と伝えたいのです。

足を健康に作り直し、ひざ痛などの症状を解消することは、誰でも簡単にできます。事実、私は、激烈なひざ痛に襲われてつらい日々を送った後、「ひざ痛が消える姿勢や動き方」を会得することで、簡単にひざ痛から解放されました。

そして、気がつくと、悩みだった足の形は、スッキリときれいになっていたのです。

私のたどり着いた「健康できれいな足の作り方」のエッセンスをギュッと凝縮したのが、今回、ご紹介する「満開体操」です。両足で、花が開くような動作をするので、このように名づけました。この体操で、基本的な姿勢や体の使い方を覚えるだけで、ひざ痛は消え、足は美しくなっていきます。

画像: ひざ痛と足の形と太さを改善した高田先生

ひざ痛と足の形と太さを改善した高田先生

ひざの水を抜いてもすぐたまり痛みも出る

その原理をお分かりいただくためにも、私が満開体操を考案したきっかけについてお話ししましょう。

私がひざ痛に悩まされるようになったのは6年ほど前です。しゃがんだ姿勢から立ち上がろうとして、ふと両ひざをひねった瞬間に、左ひざが伸びなくなったのです。

ひざ関節が引っ掛かったような、外れたような重く強い痛みがあり、脂汗が流れました。これは、「ロッキング」という症状で、ひざ関節内でクッション役をしている半月板という組織が損傷し、関節に挟まることから起こります。

私の場合、長年の間に少しずつ半月板が傷んでおり、何気ない動作でロッキングを起こしたようです。整形外科に通って水を抜いても、一時的に痛みが和らぐだけで、再び水がたまって痛み始めます。

それをくり返す日々の中で、あるとき、私は友人とテーマパークに行き、体が上下左右に揺さぶられる乗り物に乗りました。乗り込むときには、ひざが痛んで涙が出そうでした。

ところが、「キャーッ」と叫びながらその乗り物を楽しみ、降りるときには、痛みが消えていることに気付きました。思い返すと、乗り物に乗っている間、私はずっと床にかかとをつけ、体の後ろ側に力を入れ続けて踏んばっていました。

それまでの私は、蹴る力が弱く、前かがみの姿勢でした。ひざ痛を訴える人の姿勢を観察しても、大半が前に傾いた姿勢をしています。体の後ろ側の筋肉が使われておらず、いわば眠った状態になっているのです。それを目覚めさせることが、ひざ痛克服の鍵だったのです。

そして、「後ろ側の筋肉を目覚めさせる」ための特効薬ともいえるのが、満開体操です。

体の後ろ側の筋肉を使うには、足のアーチ(足底のカーブ)をしっかりさせる必要があります。

満開体操は、一度指を上げ、その感覚を保ちながら下ろすことで、足のアーチを保持・強化できます。その上で、ひざ痛解消の鍵となる体の後ろ側の筋肉を、刺激して目覚めさせることができるのです。

また、ひざ痛を訴える人にはO脚の人が多いのですが、X脚もひざ痛の原因になります。

実は、O脚・X脚ともに、ひざの過伸展(正常な範囲以上に反ること)が原因です。

さらに、過伸展は、ひざ関節の下にある膝窩筋という小さなベルト状の筋肉が弱ることから起こります。満開体操は、膝窩筋を強化する作用もあるので、その意味でもひざ痛改善に効果的で、かつO脚やX脚の矯正にも役立ちます。

ひざ痛の解消と美脚作りに、満開体操をお試しください。

満開体操のやり方

足裏のくずれたアーチを取り戻して、体の裏側の筋肉を使えるようになるのが満開体操の特長です。O脚やX脚の改善にも役立ち、ひざの痛みもらくになります。

画像1: 満開体操のやり方

背すじを伸ばして、まっすぐ立つ。かかとをつけたまま、つま先をこぶし1つ分開ける。

画像2: 満開体操のやり方

母趾球と小趾球を地面につけたままで、両足の指を上げて、浮かせる。
*斜線の範囲は、常に地面から浮かせないようにする

画像3: 満開体操のやり方

土踏まずのアーチを持ち上げるようにして、足指を下ろす。その際、足指で軽く地面をつかむようなイメージで、下ろすのがコツ。

画像4: 満開体操のやり方

③のときに作ったアーチが、下に落ちないように意識しながら、②と同じようにして、足指だけを上げる。

画像5: 満開体操のやり方

目線はまっすぐのままで、両足の足先、ひざを外側に回転させる。太ももの付け根も、外に開くように意識。その際、かかとが離れないようにしつつ、母趾球と小趾球が地面から浮かないように動くこと。小指を外に開くイメージで、すり足のようにスライドさせるのがコツ。
④と⑤を合計10回行う。④に戻るときも、足をスライドさせながら内側に回転しながら閉じる。

【NGの動き】

画像6: 満開体操のやり方

写真の3点のどれかの動きだと、ひざ痛の改善効果は弱くなる。慣れないうちは、壁やいすの背につかまりながら行うようにする。

画像: この記事は『安心』2020年5月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2020年5月号に掲載されています。

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