手は「第二の脳」と呼ばれることもあるように、脳とも強いつながりがあります。高麗手指鍼法の考え方にも、手全体を頭部と捉える考え方があります。指そらしで手の指を刺激することは、脳を直接刺激することと同義なのです。【解説】德永勝哉(ガイアそうこグループ総副院長・鍼灸師)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

德永勝哉(とくなが・かつや)
ガイアそうこグループ総副院長・鍼灸師。1962年、静岡県生まれ。日本高麗手指鍼学会役員。見方道アドバイザー。樋田和彦医師のもと、2001年より筋反射テストによる心と体を一つとした治療を学ぶ。ガイアそうこでは、服部吉隆総院長およびキャストとともに、医師と連携して、認知症ケアや在宅医療に積極的に取り組んでいる。ガイアそうこグループ:http://gaiasouko.com/

肩こりやしびれ、耳鳴りにも効く

指そらし」は、高麗手指鍼法から生まれた、とても簡単で、効果の高い健康法です。

高麗手指鍼法では、手と全身が相応していると考えられています。下の図のように、中指が頭、首、背中、人さし指と薬指がそれぞれ右手、左手、親指と小指がそれぞれ右足、左足に相応します。

例えば、首がこっている場合は、中指に鍼を打ったり、もんだりすることで、首を治療することと同等の効果が得られるというものです。

つまり、高麗手指鍼法の考え方に沿うと、指そらしを行えば、全身を伸ばしている、ストレッチしていることと同様の意味になります。

画像: 手と全身の相関図 イラストのように、手と全身は相関しているため、指そらしを行うだけで、全身を伸ばしているのと同じ効果がある

手と全身の相関図
イラストのように、手と全身は相関しているため、指そらしを行うだけで、全身を伸ばしているのと同じ効果がある

この世に多くのストレッチがあれど、これほど簡単で、一瞬で効果の出る全身ストレッチはほかにないでしょう。

実際にやってみましょう。まず、立って腰をそらした後、指そらしをしてください(詳しいやり方は下項)。その後、もう一度、腰をそらします。指そらしを行った後のほうが、やる前よりも、より楽に、深く腰をそらせると思います。

また、手は「第二の脳」と呼ばれることもあるように、脳とも強いつながりがあります。物をつかんだり、指の一本一本を別々に動かしたりなど、複雑な動きができるのは、脳と密接な関係がある部位だからです。

高麗手指鍼法の考え方にも、手全体を頭部と捉える考え方があります。この場合は、手のひらが顔、手の指が頭に相当します。指そらしで手の指を刺激することは、脳を直接刺激することと同義なのです。

高麗手指鍼法や指そらしは、手軽で効果の高い健康法ですので、もっと全国の皆さんに知っていただこうと、私は活動しています。

先日もある健康教室の講演会で、お話しする機会がありましたので、自宅でできる健康法として指そらしを紹介しました。実際、その場でも参加されたかたにやっていただいたのですが、たいへん好評で、早速ご両親に勧めたというかたもいらっしゃいました。

私たちの治療院には、肩こりや腰痛、関節痛、神経痛のほか、病院ではなかなか治らない耳鳴り、めまい、難聴、頭痛、不眠、高血圧、しびれ、事故の後遺症など、たくさんの患者さんがいらっしゃいますが、基本的に皆さんに指そらしはお勧めしています。

高麗手指鍼法による治療との並行にはなりますが、多くのかたのこうした症状が完治したり、改善したりしています。

認知症の症状が少しずつ改善

以前は、このようなケースもありました。

10年以上前に脳出血を起こしたことのあるAさん(70歳・男性)は、だんだん家族と会話がかみ合わないことが多くなり、病院で検査すると、軽度の認知症と診断されました。

そこで、処方された薬を服用しながら、同時に指そらしもやっていただきました。すると、少しずつ症状が改善し、家族とも問題なく会話ができるようになったのです。奥様も「夜中に失禁することがなくなり、明らかに症状がよくなっている」とおっしゃっていました。

現在、私たちの治療院では、病気で動けないかたや高齢者のかた向けに在宅治療にも力を入れています。

そうしたかたがたに自宅でできる簡単ケアとして指そらしを勧めて習慣にしていただくと、認知症の状態が回復傾向になったり、病気や事故の後遺症で動かしにくかった手足の調子がよくなったりなど、いろんな話を聞きます。

指そらしのやり方は下項で紹介する通りです。全部の指をそらしていただければ、まとめてそらしても、1本ずつそらしても、どちらでも大丈夫です。

私は最近、1本ずつ指をそらしながら、そらしたときに次の言葉を言いながらやる方法を勧めています。
親指=「うれしい」
人さし指=「楽しい」
中指=「ありがとう」
薬指=「おかげさま」
小指=「お互いさま」

親指なら、親指をそらしながら「うれしい」と呼吸が続く限り、語尾を伸ばします。これが、血流がよくなるくらい、ちょうどいい長さで指をそらせますし、ポジティブな言葉を発しながら行うことで、脳にもさらに効果的です。

指そらしはいつ行ってもかまいません。テレビを見ながらでも、仕事の合間でも、電車の中でも、時間も場所も選ばず、どこでもできるのが長所です。

朝、起きたときに行うのは、特にお勧めです。寝ている間に硬くなった全身を伸ばし、脳にもよい刺激を送れるためです。

指そらしは難しいことは何もなく、ほかの治療と併用しても何の問題のない、脳も体も心もほぐれる手指のストレッチです。ぜひ今日から習慣として取り入れてください。

脳の循環がよくなる!全身が伸びる
「指そらし」のやり方

基本的なやり方

画像1: 脳の循環がよくなる!全身が伸びる 「指そらし」のやり方

右手の指先を上にして手のひらを前方に向けたまま、ひじを水平に伸ばす。左手の手のひらを右手の人さし指から小指までの先端にひっかけるようにして、左手を自分のほうに押す。息を吐きながら、気持ちいい程度に4本の指をそらす

画像2: 脳の循環がよくなる!全身が伸びる 「指そらし」のやり方

同様に、親指だけそらす。息を吐きながら、気持ちいい程度にそらす。左右の手を入れ替えて、同様に行う

1本ずつ行う場合

画像3: 脳の循環がよくなる!全身が伸びる 「指そらし」のやり方

1本ずつ行ってもよい。息を吐く代わりに、指をそらしながら、呼吸の続く限り次の言葉を言いながら行うとさらによい
・親指 「うれしい」・人さし指「楽しい
・中指「ありがとう」・薬指「おかげさま
・小指「お互いさま

画像: この記事は『ゆほびか』2020年5月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『ゆほびか』2020年5月号に掲載されています。

www.makino-g.jp

This article is a sponsored article by
''.