プロフィール

小杉竜一(こすぎ・りゅういち)
1973年、京都府生まれ。相方の吉田敬さんと、お笑いコンビ「ブラックマヨネーズ」として活躍。ツッコミ担当。2002年、ABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞、上方漫才大賞新人賞と、NHK新人演芸大賞演芸部門大賞を受賞。03年、上方お笑い大賞最優秀新人賞。05年、オートバックスM-1グランプリで優勝を果たす。19年12月、第9回大阪マラソンを5時間40分53秒で完走。
大笑いするとめまいがして失神しそう
[別記事:牛脂を活用すれば健康的にやせる→]
2018年12月、テレビの企画で大阪マラソンに挑戦しました。
しかし、30.6kmの関門でタイムオーバー。完走できませんでした。指導してくださったコーチ、応援してくれたかたがたに申し訳なく、「来年こそ!」とリベンジを誓いました。
完走できなかった原因は、練習不足と体重です。
大会2ヵ月前の時点で、体重は120kg。会社が気を利かせたのか、筋肉トレーニングでボディ改造する企画と、ダイエット企画の仕事を入れてくれて、2ヵ月で8kg減量しました。マラソン当日は112kgでしたが、身長は170cmですから、まだまだ太り過ぎです。
そのころは、靴下をはくのも大変でした。腹の肉がじゃまで、手が足に届かないのです。10分ほどの漫才の間も、相方は涼しい顔をしているのに、ぼくは滝のような大汗。体重を支えきれなくなるのか、足の裏が痛みだす始末です。
当時は、食べたい物を、満腹になるまで食べていました。お酒も甘い物も大好きで、体を動かすのは大嫌い。歩くことすら、おっくうでした。
大笑いすると、めまいがして失神しそうだったので、血圧は高かったと思います。妻には「イビキがめちゃうるさい」といわれ、さらに便秘がちでした。
そんな状態から、2019年の大阪マラソンに向けて、真剣にダイエットを始めました。
筋肉トレーニングと、玄米、鶏ささみ肉、ブロッコリーが中心の食事で16kg減量し、96kgになりました。ところが、そこからは、どんなにがんばっても減りません。
むしろじわじわ増え始め、100kg間近になってきたのです。食べられる物が限られているので、ストレスも最高潮に達していました。
ぼくはそれまで、何度もダイエットに挑戦し、そのつどリバウンドしてきました。ですから、このときも「このままリバウンドだ」とわかったのです。

ダイエット前の小杉さん
肉が食べ放題で酒も飲める
しかし今回は、なんとしても減量し、大阪マラソンを完走しなければなりません。本を読みあさり、たどり着いたのが、「断糖高脂質食」、別名「牛脂ダイエット」でした。
米や小麦、砂糖などの糖質をとらず、肉・魚・卵など、たんぱく質を中心とした食事です。糖質を断つとエネルギー(カロリー)が足りないので、良質の油脂である牛脂やバター、MCTオイル(中鎖脂肪酸が主成分の油)を積極的にとります。
肉が食べ放題、しかも今まで控えていた脂もとるので、空腹感や我慢とは無縁です。焼酎やジンなどの蒸留酒を選べば、酒も飲めます。ストレスはたまりません。
食事は主に、牛肉や豚肉、卵、青背の魚です。水に牛脂とだしの素、キノコを入れた牛脂スープも飲みます。
朝食はもっぱら、MCTオイルと無塩バターを入れて攪拌したコーヒーだけですが、お昼まで十分もちます。最初は「米が食べられないのはつらい」と思いましたが、1週間ほどで慣れました。
こうした食生活を続けたところ、体重が再び減り始め、4ヵ月間でさらに12kg落とすことができたのです。それ以前の20kgと合わせると、7ヵ月で32kgの減量で、88kgになりました。
そして、2019年12月の大阪マラソンでは、5時間40分53秒で完走できました。

ゴール直後は「もう走らなくて済む!」と思いましたが、実は今もジョギングを続けています。歩くのも嫌だったのに、自分でも信じられません。
仕事の会食など、糖質をとらざるをえない場面もあります。実際、年末年始はやや体重が増えましたが、食生活を戻せば体重は戻るので大丈夫です。
たんぱく質と脂中心の食事で、ものすごく体調がよくなりました。毎日快便で、イビキをかかなくなりました。血圧も正常で、めまいも起こりません。
最近は、メイクさんに「肌がキレイになりましたね」とほめられます。先日は、テレビ番組の企画で過酷なダンスに挑戦しましたが、最後までバテずにこなすことができました。
もう少しやせたい気持ちもありますし、なにより体調がいいので、この食生活を続けていこうと思っています。
糖質を控えると味覚が変わる(アキバ水野クリニック院長 水野雅登)
「米が好きだから糖質制限は無理!」という人がいますが、小杉さんのように、私たち人間の味覚は糖質を控えることで変わります。
また、お米などの糖質のかわりに、たんぱく質のおかずを増やし、脂質をしっかりとるので、満足感も得られます。
脂質は、牛脂やバターなどの動物性脂肪、低温圧搾の植物油(オリーブオイル、ココナッツオイル、エゴマ油、アマニ油、シソ油など)がお勧めです。
[別記事:牛脂を活用すれば健康的にやせる→]

この記事は『壮快』2020年5月号に掲載されています。
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