日本人に最も多い便秘は「弛緩性便秘」です。これは、腸の蠕動運動が悪くなることで便が腸内に長くとどまり、水分が奪われてかたい便になるタイプの便秘です。こうした慢性便秘に悩むかたに、私がお勧めしたいのが「湯通しキャベツ」です。【解説】森田博義(リハビリパーク板橋病院院長)

解説者のプロフィール

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森田博義(もりた・ひろよし)
リハビリパーク板橋病院院長。1976年、新潟大学医学部卒業。国立国際医療センター医長、東京逓信病院第一外科医長、横浜逓信病院院長、赤羽病院理事長兼院長を経て現職。医学博士。元東京女子医大非常勤講師。日本外科学会指導医・専門医。日本消化器外科学会指導医・専門医。日本大腸肛門病学会指導医・専門医。『大腸(直腸)・肛門・痔の病気 これで安心』(小学館)、『おしりの健康』(朝日新書)など著書多数。

栄養素を失うことなく食べやすくなる!

日本人の食事が欧風化してきたことで、昔よりも食物繊維の摂取量が減ってきています。厚生労働省が推奨する、食物繊維の摂取量は1日約20gです。しかし、日本人の平均摂取量は、1日15g前後と推定されます。

食物繊維が不足すると腸内環境が悪化し、便秘ガス腹に悩まされる人が増えます。

日本人に最も多い便秘は、「弛緩性便秘」です。これは、腸の蠕動運動(便を送り出す動き)が悪くなることで、便が腸内に長くとどまり、水分が奪われて、かたい便になるタイプの便秘です。

弛緩性便秘に悩む人は、往々にして偏食で、野菜をあまり食べていないことが多いのです。当然ながら、大事な食物繊維も足りていません。

こうした慢性便秘に悩むかたに、私がお勧めしたいのが、「湯通しキャベツ」です(作り方は下項を参照)。

キャベツは、一年中手に入り、価格も比較的安定しています。湯通しキャベツは、文字どおり、熱湯をかけてキャベツを食べるという食事療法です。湯通し程度の加熱であれば、栄養素の流出は心配いりません。

逆に、湯通しすることで、切り口がなめらかになり、キャベツのアクも抜けて食べやすくなります。生キャベツが苦手という人でも、湯通しキャベツなら、無理なく食べられるでしょう。湯通しする時間を調節することで、程よい歯ごたえも楽しめます。

湯通しキャベツは、食事の最初にキャベツをしっかり食べて、胃をある程度満たしてから、通常の食事をとるようにするのがいいでしょう。

カサが減って大量の食物繊維を摂取できる

キャベツには、優れた成分がたくさん含まれています。今回のテーマであるガス腹解消という点からいえば、まず、ふれておかなければいけないのが、食物繊維です。

キャベツの食物繊維の含有量は、100g当たり1.8gです。湯通しキャベツにすればカサが減り、多くの量を食べられます。1日に2~3回に分けて食べるなら、1日300gのキャベツを食事に加えることもそう難しくはないでしょう。

湯通しキャベツによって、1日に300gのキャベツを摂取すれば、食物繊維の摂取量は、5.4gになります。日本人の食物繊維平均摂取量15gをとっているかたなら、湯通しキャベツを加えて、推奨量を楽に超えることができるわけです。

こうして食物繊維をしっかりとることで、悪化していた腸内環境を改善することができるでしょう。

食物繊維は、熱を加えると、繊維が短く切れて、分子量が小さくなります。腸内細菌にとってはこの状態のほうが有効で、善玉菌も増えやすくなります。その結果、腸内環境が整うと、便通もスムーズになるでしょう。

また、食物繊維をとることで便のカサも増えます。便のカサが増えれば、膨らんだ便が腸壁を刺激し、腸の蠕動運動を活発にするのです。その意味でも、ガス腹や便秘の解消に役立つはずです。

もちろん、キャベツには、便秘解消以外の健康効果もいろいろと期待できます。

ビタミン類では、ビタミンAやC、Eが含まれています。さらに、別名ビタミンUと呼ばれているのが「キャベジン」です。キャベジンは、胃酸過多を抑制する作用があります。この成分は、現在でも胃炎や胃潰瘍の薬として使われています。

キャベツには、強い制ガン作用もあります。この効果をもたらすのが、「イソチオシアネート」です。これは、植物由来の天然の機能性成分の一つで、有害物質や発ガン性物質を無毒化する作用があります。

キャベツには、このように多くの効能があります。湯通しキャベツをうまく活用して健康維持を図りつつ、ガス腹や便秘の改善に役立ててください。

「湯通しキャベツ」の作り方

画像1: 「湯通しキャベツ」の作り方

【材料・用意する物】
・キャベツ…1/2玉(250g)
・熱湯(適量)
・大きめのザル

画像2: 「湯通しキャベツ」の作り方

【作り方】
キャベツをせん切り、またはざく切りにする。

画像3: 「湯通しキャベツ」の作り方

①をザルに移し、熱湯をまんべんなく回しかける。

画像4: 「湯通しキャベツ」の作り方

粗熱を取り、軽く水気をしぼったら出来上がり。

【注意点と保存について】
キャベツの食感は、切り方と、熱湯をかける時間により調整が可能。やわらかく仕上げたい場合は細いせん切りにし、熱湯をかける時間を長めにする。歯ごたえを残したい場合はざく切りにし、熱湯をかける時間を短めにする。
手順②のあとに冷水でしめると、冷ます時間を短縮できる。
密閉容器に入れ、冷蔵庫で2~3日保存が可能。

画像: この記事は『壮快』2020年5月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年5月号に掲載されています。

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