解説者のプロフィール

足利仁(あしかが・めぐみ)
一般社団法人「手のひらデトックス協会」代表理事。手のひらの反射区を利用し、西洋医学と東洋医学を融合した体質改善のためのメソッドを確立。これまで6000人以上の手を押して診断してきた。「手のひらセラピスト」養成のセミナーなども行っている。著書『手のひら健康法』(カクワークス社)が好評発売中。
手のひらは全身の臓器とつながっている!
「まぶたがむくむ、腫れぼったい、下がってきた」そんなまぶたの悩みを持つ方は少なくありません。
私もかつてはそうでしたが、「手のひら押し」を試すうち、腫れぼったいまぶたがむくまなくなり、目元がスッキリするようになりました。
また、手のひら押しの講師となった後には、多くの方から、まぶたのむくみだけでなく下垂、すなわち眼瞼下垂の相談も受けるようになりました。
それに対して手のひら押しを試していただいた結果、眼瞼下垂にもとてもすぐれた効果があると実感しています。
病的な眼瞼下垂に対しては医学的な治療が必要ですが、そこに至る前段階であれば、自分で手のひらを押すことで、下がったまぶたを改善できます。
なぜ、目から離れた手のひらを押すことで、そんな効果が得られるのでしょうか。
実は手のひらには、全身の各器官や臓器とつながっている反射区(ツボのような働きをするゾーン)があります。
全身の反射区がある場所というと、足の裏がよく知られていますが、手のひらにも、それに勝るとも劣らない効果をもつ反射区があるのです。
眼瞼下垂に対して、特に効果をもたらす手のひらの反射区は、「間脳(視覚や聴覚などの刺激の伝達をつかさどる)」「首(頸椎)」「副甲状腺(ホルモンを分泌する)」「目」です。
グーッと7秒押してパッと離す
目や鼻、口など、私たちの顔のパーツを支配する主要な神経は、脳から複数本、出ています。そのうち、眼瞼下垂にも深く関わる目を動かす神経は3ヵ所から出ていて、複雑な働き方をしています。
その神経を通じて、動かし方の指令を送っているのが脳の間脳です。目の神経は、複雑で繊細なので、過労やストレスによっても働き方が不調になりやすいのですが、その原因は、間脳からの指令がうまく伝わらないことが意外と多いのです。
そこで、手のひら押しで「間脳」の反射区を刺激すると、間脳からの神経伝達がスムーズになり、結果的に眼瞼下垂の予防や改善にもつながります。
眼瞼下垂になりやすい人は、姿勢にも特徴があります。物を見るときに、首を上げることが多いものですが、それは、首を上げると、まぶたが下がっていても物が見えやすくなるからです。逆に、まぶたが下がると首を上げるクセがつき、悪循環に陥りがちです。
「首」の反射区を押すと、頸椎が整うので、この悪循環を断ち切るのに役立ちます。
また、眼瞼下垂そのものではないのですが、加齢とともに頭蓋骨の骨がわずかに縮むことによっても、まぶたがたるみやすくなり、眼瞼下垂に似た症状が出ることがあります。
これに効果的なのが「副甲状腺」の反射区への刺激です。
これらとあわせて「目」の反射区を刺激することで、眼瞼下垂の症状を防いだり、軽くしたりできます(各反射区の押し方は下項参照)。
手のひら押しを行うときは、それぞれの反射区を7秒間ずつ押すのがポイントです。
体内の老廃物や毒素、余分な水分などを運び出すリンパ液の流れはゆっくりで、滞っているときはほとんど動きません。
そこで、指で押して、その流れをいったんせき止めます。7秒後にパッと離すと、せき止めたリンパ液が一気に流れ、体液の循環量が増えるのです。

リンパ液や血液の滞りを一時的にせき止めると一気に流れやすくなる
眼瞼下垂に効く手のひらの押し方
ここで紹介する反射区を押すだけで、まぶたのたるみや、眼瞼下垂の改善に効果的です。ぜひ、お試しください。
【押す場所】

❶間脳の反射区
親指を押しつける

▼反射区の場所
親指の腹の真ん中。指紋の中央。
▼押し方
反射区を人さし指の第2関節に当て、グーッと7秒間、強く押しつける。
※両手に行う。
❷首(頸椎)・副甲状腺の反射区
親指と人さし指で反射区を挟んで刺激

▼反射区の場所
親指の爪のつけ根の両側。
爪の外側が首(頸椎)、内側が副甲状腺。
▼押し方
反射区のある親指を、逆の手の人さし指を内側、親指を外側に当てて挟む。7秒間挟み込みながら押す。
※両手に行う。
❸目の反射区
親指と人さし指で反射区を挟んで刺激

▼反射区の場所
人さし指と中指の爪の両側。左手は右目、右手は左目に対応。
▼押し方
中指の爪の両側にある反射区を、逆の手の人さし指、親指で挟む。そのままグーッと7秒間、挟むようにして押す。人さし指でも同様に行う。
※両手に行う。
皮膚にハリが戻った人も
では、手のひら押しで、眼瞼下垂の症状を改善できた例をご紹介しましょう。
1人目は、慢性頭痛をもっていた女性です。病院では異常なしだったのに、頭痛が続いてつらいとのことでした。その女性はおでこに深いシワがあり、いつも額に力を入れていました。
実は、まぶたが下がっていたために、おでこに力を入れて目を開ける癖がつき、そのため頭痛もあったのです。手のひら押しを行ったら、まぶたがしっかり開き、悩まされていた慢性頭痛から解放されました。
2人目は、白内障の手術後に眼瞼下垂となった女性です。白内障の手術そのもので眼瞼下垂になることはありませんが、手術の際にまぶたを固定するので、その影響で眼瞼下垂になることがあります。
この方の場合も、手のひら押しを行った結果、まぶたの力を取り戻すことができました。
3人目は、皮膚がたるんで眼瞼下垂に似た症状を起こす「偽眼瞼下垂」だった女性です。花粉症で目がかゆくなり、こすり過ぎて、まぶたの上の皮膚が弱り、たるんでいました。
しかし、手のひら押しを行うと、何日後かには、皮膚にハリが戻って眼瞼下垂様の症状が改善できました。
手のひら押しを、眼瞼下垂改善に、ぜひお役立てください。

この記事は『安心』2020年4月号に掲載されています。
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