解説者のプロフィール

間々田佳子(ままだ・よしこ)
タンゴダンス世界選手権アジア大会優勝経験を持つ表情筋研究家。2010年フェイシャルヨガの高津文美子氏に師事し、顔ヨガブームを引き起こす。近年は顔の軸を意識する【間々田式表情筋トレーニング】を考案し、小顔若顔作りの指導を行う。「ヒルナンデス」など数多くのTVで紹介される。
▼顔も筋トレ!(公式ブログ)
眼瞼下垂になる前に
まぶたが下がってくる「眼瞼下垂」は、本格的に進んで病的になってしまうと、医学的な治療が必要になります。
しかし、意識して自分の顔を見ていると、誰しもその前の段階があることがわかるでしょう。つまり、病的な眼瞼下垂までは行かないものの、なんとなくまぶたが下がり気味になり、目の印象がハッキリしなくなってくる段階です。
多くの人は、これを「老化」によるものだと思っていますが、実は老化はごく一部の要因にすぎません。
表情筋研究家として、多くの人の顔や表情作りを指導してきた私の経験から言うと、大きな要因は2つあります。
一つは「姿勢」、もう一つは「顔の運動不足」です。
姿勢がまぶたの下がり方に影響すると言われても、ピンとこない人もいるでしょう。
そこで、試しに、わざとネコ背にしてあごを前に出した状態で、正面を見てみてください。自然にまぶたが下がり、目がボンヤリするのが、自分でも分かるでしょう。
こういう姿勢を続けることで、知らず知らず目の周囲の筋肉が落ちていき、まぶたの下がるリスクを高めてしまうのです。まぶたが下がり気味になると、今度はものを見るためにあごを出すようになり、悪循環に陥ります。
ですから、まぶたが下がるのを防ぐには、まずはあごを引き、首と背すじを伸ばすように心がけることが大事です。
ただし、無理にがんばって伸ばす必要はありません。
背骨が積み木のように積み重なり、そのうえに頭蓋骨がちょこんと載っているイメージで、首や肩に無理のかからない「自然ないい姿勢」を取ってみてください。
人間の頭部は約5kgもある重いものですが、左右前後に偏りなく、背骨のうえにちょこんと載るようにすれば、首・肩・背骨に負担をかけなくて済みます。
これを私は「顔の軸が整った状態」と呼んでいます。
気づいたときだけでも、こうした「顔の軸」を意識すれば、「ネコ背→あごが前に出る→まぶたが下がる→ますますあごが出てネコ背」という悪循環を断ち切ることができるのです。

表情も豊かになって顔が若返る
もう一つの要因である「顔の運動不足」とはどういうことでしょうか。
健康作りや老化予防のために、体の運動を心がけている人は多いと思いますが、「顔の運動」をしている人はほとんどいないでしょう。
しかし、本当は、顔にも適度な運動が必要です。そうした観点から、私は長年、顔の体操を指導してきました。
顔の体操を続けていると、表情が豊かに若々しくなってきます。ただし、私自身も最近、気づいたことですが、顔の軸をしっかりさせておいてから顔を動かすことで、その効果がはるかに高まり、しかも早く得られます。
このような考え方で、私は、顔の体操の進化版を開発しました。これに含まれる「アイトレ」という目のトレーニングは、まぶたが下がるのを防ぎ、下がり気味のまぶたもしっかり引き上げて、目を開かせるのに効果的です。
やり方は簡単です。おでこを手で押さえてロックした上で、おでこの力を使わずに、上下のまぶたの筋肉だけで目を開きます。そのとき、目を内側から「むき開く」イメージでやるのがコツです。

同時に、前述の通り、あごを引いて首と背すじを伸ばし、顔の軸を意識することで、効果がぐんと高まります。しかも、すぐに効果が現れます。ご自分で前後の写真を撮って比べてみるとよく分かるでしょう。
まぶたが上がると肩こりや頭痛も解消
続けていると、まぶたが上がって目がパッチリするだけでなく、目力が強くなり、小顔にもなってきます。
1週間ほど続けるだけでも、顔の印象ががらりと変わって若々しくなりますから、ぜひやってみてください。
アイトレの効果はそれだけではありません。私がアイトレを指導した皆さんからよく聞かれるのが「頑固な肩こりが治った」「ずっと続いていた頭痛が治った」などの声です。
前述のように、まぶたが下がって目がボンヤリすることは、あごが出た悪い姿勢と連動しています。
その状態では、当然、首や肩の血流が悪くなり、首こり、肩こり、血流不足や筋肉の緊張による慢性頭痛などが起こりやすくなります。
アイトレを行うと、その姿勢ごと正されるので、首や肩の血流がよくなり、肩こりや慢性頭痛にも効果がもたらされるのです。
何歳からでも目はパッチリ開く!
実は、私自身、顔の体操を始める前は、下がり気味で腫れぼったいまぶたをしていました。それが、顔の体操を始め、さらに顔の軸を意識したアイトレを行うようになってからは、まぶたがしっかり上がるようになったのです。

自分で言うのも何ですが、目力が強まり、表情が豊かになったと思います。上の私の写真を比べると、その違いは一目瞭然です。
年齢に関わりなく、アイトレでまぶたが下がるのを食い止め、パッチリと目の開いた若々しい顔になれることがお分かりいただけると思います。
わずかな時間でできるアイトレです。毎日、1回だけでも、数週間で違いが分かるようになると思います。
眼瞼下垂の予防に
目の体操(アイトレ)のやり方

アイトレは背すじを伸ばすのが大切
アイトレを行う時は、あごをひいて、背すじをまっすぐ伸ばすこと。
【やり方】
❶おでことまゆ毛が動かないように、両手をおでこに当てて押さえる。

❷おでことまゆ毛は動かさずに、上まぶたと下まぶたの筋肉だけで薄目にする。

❸おでことまゆ毛は動かさずに、目を大きく開けて10秒キープ。

【NG!】まゆ毛やおでこが動いては×


この記事は『安心』2020年4月号に掲載されています。
www.makino-g.jp