解説者のプロフィール

金谷智栄(かなや・ともえ)
昭和44年生まれ。すまいる すとれーじ とも~Smile Storage Tomo~主宰。はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師。関西医療学園専門学校卒業。耳ツボや独自の体操を行って、2年間で約30Kgの減量に成功後、美容に特化した施術を行う。HP:https://smilestorage-tomo.themedia.jp/
市販のクリームに酒かすを混ぜていた母がヒント
※肌に塗る際は、必ずパッチテストを行ってください。少量を塗ってしばらく時間をおき、様子を見て、赤みやかゆみなどの異常が現れたら、直ちに中止してください。
大阪で美容鍼灸を行っている私のサロンには、40〜50代の女性が多く来られています。そのかたがたが抱える肌の悩みとは、ほうれい線やシワ、たるみ、シミ、乾燥によるかさつきなどさまざまです。
そこで、当院では美顔鍼やマッサージで新陳代謝を高めるとともに、美顔・美肌づくりを目的としたオリジナルの保湿クリームを提供し、使っていただいています。これが「とてもいい」と、好評を得ているのです。
実はこのクリームは、私の手作りです。化粧水・乳液・化粧下地が一つになった市販のクリームに、酒かすを混ぜて作っています(作り方は下記参照)。
ヒントになったのは、私の母でした。私が子供のころ、母が市販のクリームに酒かすを混ぜて使っていたのです。
それを思い出し、まず自分で作って使ってみたところ、さっぱりするのに、肌がモチモチするのがとても気に入りました。
調べてみると、酒かすに含まれるコウジ酸、アミノ酸、ペプチド、酵母、ビタミンB群などが、肌が老化するのを防ぐそうです。
それによって、シミやくすみを予防する美白効果が得られたり、保湿・保温効果、肌のキメを復活させる効果などが期待できたりするといいます。日本酒を作っている職人さんはそろって手がキレイだという話も、聞いたことがあります。
リピーター続出!シミが薄くなった人も!
私が作った「酒かすクリーム」を、数名のお客様に試しに使ってみてもらったところ、皆さんが「これはいい!」といってくれました。
その声を受け、当院では施術の際のマッサージクリームとして、この酒かすクリームを使用。施術後は、持ち帰り用に小分けした物を提供し、各自、自宅でのケアに使ってもらうことにしたのです。
酒かすクリームを使ったかたの感想は、「つけてすぐはベタつく感じがするけど、そのあとはさっぱりする」「肌がすべすべになる」「しっとりモチモチの肌になる」といった声が多く聞かれています。なかには、次に来られたとき、開口一番「あのクリーム、よかったです」といってくださったかたもいました。
酒かすクリームを使い始めて約1年経つ40代の女性は、ほおのシミをとても気にされていました。しかし最近は、私が見る限り、シミがやや薄くなっている印象があります。ご自身も喜ばれていました。
ご自宅で酒かすクリームを作るなら、ふだん使っている保湿クリームに、市販されている酒かすを混ぜると簡単でよいでしょう。
固形の酒かすを使う場合は、クリームを少しずつ加えて、スプーンやヘラで練ります。最近はペースト状になった酒かすが市販されているので、それを使うと簡単に混ざります。
クリームと酒かすの分量は、1対1くらいが適当です。酒かすやクリームの種類による違いもありますので、お好みで調節してかまいません。
酒かすクリームの難点は使用直後、酒かすの粒がモロモロと浮き出ることです。クリームをつけたあとメイクをする場合は、30分くらいおいてからファンデーションを塗るとよいでしょう。
保存方法にも注意が必要です。酒かすは常温に置いておくと発酵が進むため、一度に作る量は、2週間くらいで使い切りましょう。作ったクリームの保管場所も、冷蔵庫や日の当たらない涼しい場所にしてください。
また、初めて使うときは、二の腕などの目立たないところで、パッチテストを行ってください。
なお、アルコールアレルギーのかたは、使用しないでください。もし肌に異常が見られた場合も、すぐに使用を中止してください。
酒かすのにおいが苦手なかたにも、あまりお勧めできませんが、意外にすぐ慣れるかたも少なくありません。
ちなみに、当院では、クレンジング入りの洗顔料にも酒かすを混ぜ、夜のメイク落としや朝の洗顔に使っていただいています。においやアレルギーなどの問題がなければ、こちらもぜひお試しください。
Tomo先生流
酒かすクリームの作り方

【材料】
・酒かす(板状/市販の酒かすペーストでも可)…適量
・市販化粧品(ふだん使っている洗顔剤や下地クリーム)…適量
※1:1程度が目安
【作り方】
材料をよく混ぜ合わせる。
【使い方】
◎洗顔に使う場合、水やお湯でよく洗い流す。
◎化粧の下地に使う場合、お好みのタイミングで顔に塗り、洗い流さずにいてOK。
※板状の酒かすを使う場合は、酒かすに少しずつクリームを合わせると混ぜやすい。
※下地クリームを塗ったまま化粧をする場合、数十分あけるとよい。

この記事は『壮快』2020年4月号に掲載されています。
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