こむら返りを引き起こす要因には、ゴースト血管化による「血行不良」、「偏った筋肉の使い方」による末梢神経の異常、「ミネラルバランスの乱れ」などがあります。病気に進展するのを予防するためにも、早めに対処すべきです。【解説】市橋研一(市橋クリニック院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

市橋研一(いちはし・けんいち)
市橋クリニック院長。日本整形外科専門医。医学博士。関西医科大学卒業後、神戸大学整形外科教室に入局。その後、公文病院整形外科、適寿リハビリテーション病院診療部長、市橋クリニック副院長を経て、2000年より同院長。2015年、韓国八体質医学食事療法を開始。食事療法をベースに、独自の治療法で成果を上げている。新著に『こむら返りは食事で治せる!』(マキノ出版)。

筋肉を調整するセンサーが誤作動を起こす

就寝中などに突然、ふくらはぎの激痛に襲われた経験のある人は、多いのではないでしょうか。意志とは関係なく、急にふくらはぎの筋肉が拘縮し、しばらく元に戻らなくなる、こうした状態を、「こむら返り」といいます。「こむら(腓)」とは、ふくらはぎのことです。

誰にでも起こりうる病態で、加齢とともに頻発しやすく、スポーツをする人や妊婦にもよく起こることが知られています。私は、ふだん患者さんを診ていて、「コリが強い人や、体がかたい人は、こむら返りを起こしやすい」という、印象を持っています。

筋肉が、突然拘縮することを、「筋肉がつる」ともいいます。こうした現象は、実はふくらはぎに限りません。足の指、足の裏、足首、すね、太もも、手の指、腕、首、肩、背中、腰、お尻、胸、おなかなど、全身のさまざまな筋肉に生じることがあります。

では、なぜ筋肉が拘縮し、元に戻らなくなるのでしょうか。それは、筋肉を収縮させたり伸長させたりするセンサーが、なんらかの原因で誤作動を起こすからだと考えられています。

筋肉には、過剰に伸びたり縮んだりするのを防ぐために、筋紡錘と腱紡錘という二つのセンサーが働いています(下図参照)。筋肉の伸び過ぎを防ぐのが筋紡錘、縮み過ぎを防ぐのが腱紡錘です。

このうち、腱紡錘の機能が低下し誤作動を起こすと、筋肉が過剰に収縮し、しばらく元に戻らなくなるといったことが起こってくるのです。

●筋肉が伸縮するしくみ

画像: 筋肉を調整するセンサーが誤作動を起こす

重大な病気につながるサインになることも!

医師の間では一般的に、こむら返りは病気としてとらえられてはいません。しかし、私は当院に来られるすべての患者さんに対し、必ずこむら返りの有無を尋ねるようにしています。

なぜなら、こむら返りは一時的な筋肉疲労などの軽いケースもあれば、重大な病気につながる、体の異常を示すサインの場合もあるからです。

私は、ひざ痛や腰痛といった整形外科的疾患の根底に、血流の悪さがあるのではないかと考え、数年前から特殊な測定器を使って、患者さんの毛細血管をチェックしています。

これまで1万人を超える血管のデータを見てきて気づいたのが、こむら返りを訴える患者さんのほとんどに、「ゴースト血管」が見られることです。

ゴースト血管とは、血流が悪くなり、血管の構造がくずれて、正常な機能を果たせなくなった毛細血管のことです。特殊な測定器で見ると、血管が途中で途切れていたり、ウネウネと蛇行していたり、だんご状になっていたりします。

毛細血管が正常な機能を果たせなくなると、その周辺の細胞に酸素と栄養が届かず、老廃物がたまってゴーストタウンのようになります。そのことから、大阪大学微生物病研究所情報伝達分野の高倉伸幸教授が「ゴースト血管」と名付けました。

こむら返りの根底にも、おそらく、ゴースト血管が大きくかかわっていると、私は考えています。

毛細血管のゴースト化によって血液・リンパ液の流れが悪くなると、筋肉の中の疲労物質が十分に回収されません。すると、筋肉疲労が慢性化し、それが原因で、腱紡錘が誤作動を起こしてしまうのです。

ゴースト血管は、シミ、シワといった肌の老化だけでなく、さまざまな病気に関連していることがわかっています。

例えば、高血圧、糖尿病、肝機能障害、腎機能の低下、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、ガン、認知症、糖尿病網膜症、黄斑変性、骨粗鬆症などです。

こむら返りが血管のゴースト化から起こっている場合、放置していると、これらの病気につながっていくことも、十分考えられます。

ですから、こむら返りは、決して軽視してよいものではないのです。

突然に起こる痛みと恐怖から解放されることはもちろんですが、病気に進展するのを予防するためにも、こむら返りを体からの危険信号ととらえ、早めに対処すべきです。

次項では、こむら返りを引き起こすいくつかの原因と、有効な対処法について解説したいと思います。

偏った筋肉の使い方やミネラル不足も一因

こむら返りを引き起こす要因は、ゴースト血管による「血行不良」のほかにも、いくつかあります。

一つは、偏った筋肉の使い方」による末梢神経の異常です。筋肉は、片方が収縮すれば、もう片方は弛緩するというぐあいに、拮抗する二つの筋肉によって成り立っています。

ところが、偏った姿勢によって、筋肉が伸びたまま、あるいは縮んだままの状態が続くと、拮抗筋を支配している末梢神経に異常が起こります。

あおむけになり布団をかけている就寝時は、布団の重みでつま先が伸び、ふくらはぎの筋肉が収縮した状態が続きます。こうしたときに、筋肉の収縮を調整している腱紡錘が誤作動を起こし、こむら返りが起こるのです。

もう一つは、筋肉の収縮や神経伝達に関与する、ミネラルバランスの乱れです。特に、筋肉を弛緩させるマグネシウムの摂取不足が、こむら返りを引き起こすといわれています。

また、脱水によってナトリウムカリウムのバランスがくずれることでも、こむら返りが起こりやすくなります。

私の食養生(食事で健康を維持する考え方)の先生は、「昼間のこむら返りは銅イオン不足、夜間のこむら返りはホルモンの分泌異常が原因」とおっしゃっていました。

そのほか、こむら返りが症状の一つである病気もあります。椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、筋萎縮性側索硬化症、糖尿病、腎機能障害、肝機能障害、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、下肢静脈瘤、閉塞性動脈硬化症、脳卒中、心筋梗塞、ガンなどです。

もしかすると、こむら返りの陰に、このような病気が潜んでいる可能性もあります。その場合は、当然、病気の治療が必要になります。

なんらかの病気で薬を服用している人は、その副作用でこむら返りが起こることもあります。例えば、高血圧やぜんそく、脂質異常症の薬などです。心当たりがある人は、主治医に相談してください。

飲んで1分以内に痛みが治まる

さて、血管のゴースト化を防ぎ、血流を改善するために、私がお勧めするのは、「オクラ水」です。これは、オクラのヘタを切り落として水に浸け、半日後にオクラを取り出して飲むという健康法です。

私はこれまで多くの患者さんにオクラ水を勧め、高血圧や動脈硬化の改善に驚きの効果を得てきました。その効果は、オクラのネバネバ成分である水溶性食物繊維が腸内環境をよくするとともに、オクラに含まれる成分が血液をサラサラにしているからだと考えています。

オクラ水を飲んで、こむら返りが起こりにくくなったという声も、多数いただいています。何を隠そう、私も以前は頻繁にこむら返りが起こっていました。しかし、オクラ水を飲むようになって、こむら返りが起こる頻度は激減しました。

個人差はありますが、こむら返りが起こったときにオクラ水を飲むと、たいてい1分以内に痛みが治まります。

下の写真は、こむら返りを頻繁に起こしていた女性(63歳)の毛細血管の写真です。ウネウネと蛇行したゴースト血管でしたが、オクラ水を飲み始めて毛細血管がはっきりと見えてきました。こむら返りも起こらなくなったそうです。

画像: オクラ水飲用前

オクラ水飲用前

画像: 飲用後 オクラ水の飲用後、蛇行していた毛細血管がはっきり見え、こむら返り解消

飲用後
オクラ水の飲用後、蛇行していた毛細血管がはっきり見え、こむら返り解消

ゴースト血管は、交感神経の持続的緊張も一因とされています。交感神経は、自律神経(意志とは無関係に血圧や内臓をコントロールする神経)の一つで活動時に優位になる神経です。生活習慣を改めて、交感神経の緊張を緩めることも重要です。

「冷え」「睡眠不足」「眼精疲労」などがある人は、それらの改善に努めるべきです。食べ物では、交感神経の緊張物質となる砂糖・小麦・カフェイン(緑茶やコーヒーなど)は控えたほうがよいでしょう。

血管を健康にし、血行不良を改善することは、こむら返りの予防はもちろん、全身の健康につながります。

まず意識してほしいのが、血流をよくする生活習慣。そのうえで、ミネラルや水分の補給、筋肉をバランスよく使うことなどを心がけましょう。

画像: この記事は『壮快』2020年4月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年4月号に掲載されています。

www.makino-g.jp

This article is a sponsored article by
''.