ドライマウスは、インフルエンザや誤嚥性肺炎など別の病気を招くリスクも高まります。そこでセルフケアとしてお勧めしたいのが「タマネギの摂取」です。ケルセチンというポリフェノールに唾液の分泌を促進させる働きがあることを、私たちは研究で突き止めています。【解説】斎藤一郎(鶴見大学歯学部教授)

解説者のプロフィール

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斎藤一郎(さいとう・いちろう)
1954年、東京都生まれ。東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授、米国スクリプス研究員などを経て、2002年より鶴見大学歯学部病理学講座教授。2003年、鶴見大学歯学部附属病院にドライマウス外来を、2005年にアンチエイジング外来を開設し、口腔から全身の健康を守ることの大切さを広く呼びかけている。ドライマウス研究会代表。『あさイチ』(NHK)、『ガッテン!』(NHK)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)などに多数出演。

タマネギのケルセチンが唾液の分泌を促進!

口やのどが渇いてしかたがない、口の中がネバネバする、食べ物が飲み込みにくい、口臭が気になる──。このような口内の不快症状にお悩みの人は、ドライマウスの可能性が高いと思われます。

ドライマウスとは、唾液の分泌量が低下することで口内にさまざまな自覚症状が現れる、別名「口腔乾燥症」とも呼ばれる病気です。

健康な人の唾液の分泌量は、1日に1〜1.5Lほどにもなります。この唾液が減少する理由は、加齢に伴う唾液分泌機能の低下、ストレスによる自律神経(意志とは無関係に血圧や内臓を調整する神経)の乱れ、閉経などによる女性ホルモンの減少などがあります。

このほか、薬の副作用も見逃せません。降圧剤や抗うつ剤、抗アレルギー剤など、多くの薬には副作用として「口渇」とうたってあります。薬の種類や量が多い人は注意が必要です。

ドライマウスは冒頭のような不快症状によってQОL(生活の質)が低下しますが、それだけではありません。放置していると、別の病気を招くリスクも高まります。

例えば、インフルエンザなどの感染症です。

鼻腔(鼻の穴の内側の空洞)の粘膜には無数の微小な線毛が生えており、常に動いています。ウイルスなどの異物は、この線毛の動きによって体外に排出されます。

ただし、線毛は乾燥すると動きが悪くなります。実は、唾液はこの線毛の保湿役でもあります。ですから、唾液分泌量が減ると、線毛が乾燥し、繊毛の防御機能も低下。感染症にかかりやすくなるのです。

また、ドライマウスは、誤嚥性肺炎を起こすリスクにもなります。

唾液は、それ自体に抗菌作用があるだけでなく、飲み込んだ食べ物を食道に送り込むための潤滑剤にもなります。量が減ると、細菌を含んだ食べ物や唾液が誤って気道から肺に入り、肺炎を起こしやすくなるのです。

ドライマウスは歯科医師、それもできるだけ「ドライマウス研究会」に属している専門医に診てもらうのがいちばんです。ドライマウス研究会のホームページ(下記)に全国の医療従事者リストがありますので、ご活用ください。

●ドライマウス研究会のホームページ:http://www.drymouth-society.jp/

そして、唾液を増やすためにセルフケアとしてお勧めしたいのが「タマネギの摂取」です。

タマネギに多く含まれているケルセチンというポリフェノールに、唾液の分泌を促進させる働きがあることを、私たちは研究で突き止めています。

1週間日光に干すとケルセチンが3.5倍増

私たちが行った実験では、2ヵ月間、通常のエサを与えたマウス群とケルセチンを含むエサを与えたマウス群で、比較を行いました。その結果、ケルセチンを与えたマウス群の唾液分泌量が、通常のエサを与えた群の約25%も多くなっていることが判明したのです。

さらに、唾液腺の機能を低下させたマウスに、ケルセチンを含むエサを与える実験も行ったところ、こちらも唾液量が増えることが確認されました。

ドライマウスの一因として、酸化ストレスがあります。唾液を分泌する唾液腺が、活性酸素によってサビつき、唾液が出なくなってしまうのです。

ケルセチンには優れた抗酸化力があります。私たちの実験で、ケルセチンが唾液の分泌を促すこと、抗酸化作用によって唾液腺の機能を高めることが証明されたのです。

なお、ケルセチンが豊富な状態でタマネギをとるには、下ごしらえで水にさらさないようにしてください。ケルセチンは水溶性なので、水に溶け出してしまうからです。その意味では、みそ汁やスープでいただくのが適していると思われます。

また、北見工業大学の山岸 喬名誉教授の研究では、外皮をむいたタマネギを日光に当てて干すことで、ケルセチンの量が大幅に増えることがわかっています。

もともとケルセチンは、日光による酸化ストレスから細胞を守るために存在し、表皮に近いほど含有量も多くなっています。その点からもうなずける話です。

干す時間の目安は1週間程度。それでケルセチン量が3.5倍にも跳ね上がるそうです。ドライマウスでお困りの人は、試してみるといいでしょう。

●タマネギの干し方

茶色い外皮をむき、丸のままで、日光がよく当たるベランダや窓際(屋外でも屋内でも可)に置いて干す。下にアルミホイルを敷くと光の照射率が高まる。色にあまり変化がなくてもOK。干す期間は1週間が目安。

画像: 唾液の分泌を促すケルセチンは日光に当てると増える!

唾液の分泌を促すケルセチンは日光に当てると増える!

画像: この記事は『壮快』2020年4月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年4月号に掲載されています。

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