タマネギにはポリフェノールの一種「ケルセチン」が含まれています。白い部分にも含まれますが、茶色い皮の部分に含まれている量はその20~30倍と圧倒的です。ケルセチンの作用で特に注目したいのが、炎症を抑える「抗炎症作用」です。【解説】熊沢義雄(順天堂大学医学部非常勤講師・前北里大学教授)

解説者のプロフィール

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熊沢義雄(くまざわ・よしお)
医学博士。順天堂大学医学部非常勤講師。前北里大学教授。1968年、山梨大学大学院発酵生産学修了後、(社)北里研究所、北里大学薬学部、北里大学理学部に40年間在籍。2008年に北里大学を定年退職後、北里大学発のベンチャー企業である(株)Vino Science Japanを設立。フラボノイドの研究と、それを活用した健康食品の開発に尽力している。日本細菌学会名誉会員。

過剰な炎症反応を抑える働きがある!

タマネギの茶色い皮。ほとんどの人は、食べずに捨てているでしょう。でも実は、タマネギの皮は有効成分の宝庫です。

タマネギには、ポリフェノールの一種「ケルセチン」が含まれています。白い部分にも含まれますが、茶色い皮の部分に含まれている量は、その20~30倍と圧倒的です。

ケルセチンは多くの作用を持つことが明らかになっています。特に注目したいのが、炎症を抑える「抗炎症作用」です。

炎症は本来、体を守る防御反応です。細菌やウイルスが体内に侵入してくると、白血球がそれに反応して「サイトカイン」というたんぱく質を分泌します。サイトカインは血管を広げたり、リンパ液を集めたりします。その結果、患部が熱を持ったり、赤く腫れたりする。これが炎症反応です。

通常、必要がなくなれば、この反応は収まります。しかし、不必要に反応が強くなり過ぎたり、長期にわたって続いたりした結果、無害な物や、もともと体内にある物まで攻撃してしまうことがあります。

こうした炎症反応が持続すると、血管や臓器の細胞を傷つけ、ガンや動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病、アレルギー性疾患などを起こす要因となることがわかってきました。

サイトカインは数百種類が発見されていますが、なかでも、特に過剰な炎症を引き起こすのが「TNF‒α」と呼ばれるものです。このTNF‒αが増えると、糖尿病が進行する原因となったり、動脈硬化の引き金になったりします。

最近では、アルツハイマー型認知症も、TNF‒αなどのサイトカインが引き金となり、脳内にアミロイドβというたんぱく質が蓄積して、発症すると考えられています。

タマネギの皮に含まれるケルセチンには、このTNF‒αが作られ過ぎるのを止めて、炎症を抑える働きがあることがわかっています。

また、ケルセチンは、体に害を及ぼす活性酸素を取り除く「抗酸化作用」も強力です。これも、ガンや生活習慣病の防止に大きな意味を持っています。

外側の皮を捨てて残りを水洗いしよう

タマネギの皮の約70%は食物繊維であり、腸内環境を整えるのに役立ちます。

腸内細菌のなかで健康に有益な「善玉菌」の多くは、食物繊維をエサにして増えます。一方、体に悪さをする「悪玉菌」は、脂肪を多く含む食事で増えます。

また、便通が滞りがちだと、悪玉菌が増えやすい環境になってしまいます。食物繊維は便通改善にも有効です。

善玉菌の仲間には、食物繊維やフラボノイドをエサに「酪酸」を作る酪酸産生菌がいます。近年の研究から、いわゆる健康長寿者の腸内には、酪酸産生菌が多いと判明しました。

腸内で酪酸が増えると、免疫細胞の一種である「制御性T細胞」が増えることもわかっています。この細胞は、過剰な免疫の働きにブレーキをかける役割を持っています。

制御性T細胞が増えれば、過剰な免疫反応が原因となるぜんそくや花粉症などのアレルギー疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患の予防・改善に役立つと考えられます。

私は以前、ケルセチンが、関節リウマチへ及ぼす効果について調べる動物実験を行ったことがあります。関節リウマチを発症させたマウスにケルセチンを与えると、与えない場合と比べて、手肢関節の腫れが有意に低下することがわかりました。

このように多彩な薬効を期待できるタマネギの皮を、家庭でとるには、煮出してお茶にするのが比較的簡単でしょう。その際、残留農薬の害を避けるためにいちばん外側の皮1〜2枚は捨て、残りを水洗いすることをお勧めします。

あるいは、煮出したお茶に含まれる食物繊維は多くないので、タマネギの皮を乾燥させて粉末にした市販品を活用するのも手軽でよいでしょう。

また、ケルセチンととともにビタミンDの摂取も心がけると、病気の予防・改善により有効だと考えられます。

ビタミンDを豊富に含む主な食品は、サケやサンマ、イワシなどの魚介類です。ビタミンDは日光に当たることで、体内で作ることもできるので、日中に屋外を歩く習慣もお勧めです。

タマネギの皮茶の作り方

【材料】
タマネギの薄皮…5個分
水…1L

画像1: タマネギの皮茶の作り方

【作り方】
よく洗った薄皮を1Lの水で煎じる。

画像2: タマネギの皮茶の作り方

10~15分、火にかける。最初は強火で、沸騰したら弱火にする。

画像3: タマネギの皮茶の作り方

ざるや茶こしなどでこす。冷めたら容器に入れて冷蔵庫で保存。

画像4: タマネギの皮茶の作り方

【出来上がり】
1日コップ2杯ほどを目安に飲む。

画像5: タマネギの皮茶の作り方
画像: この記事は『壮快』2020年4月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年4月号に掲載されています。

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