真上耳ひっぱりは、耳の周りの筋肉や筋膜をゆるめるのに非常に効果的です。食いしばりで耳周りの筋肉や筋膜がこわばってしまうと、口角が下がり、ほうれい線が深くなって「ブルドッグ顔」「老け顔」につながってしまうのです。【解説】石井さとこ(ホワイトホワイト院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

石井さとこ(いしい・さとこ)
ホワイトホワイト院長。歯科医師。口もと美容スペシャリスト。日本歯科大学卒業。審美性を重視した歯科治療を行う。アルゴンレーザーによる歯のホワイトニングを日本で広めた第一人者で、女優やタレント、モデル等の治療も数多く手掛ける。唇エステなど独自の「口もと美容法」を考案。著書に『美しい口もと』(ワニブックス)などがある。

目が大きくなり顔がリフトアップする

顔の若々しさや美しさの印象を左右するのはどこだと思いますか?

答えは口もとで、印象の9割を占めると言っても過言ではありません。目が一重だったり小さかったりしても、美しい人はたくさんいます。しかし、口もとのゆがみや清潔感のなさは、てきめんに印象を悪くしてしまいます。

試しにマスクなどで口もとを隠して写真を撮ってみましょう。普段の自分より若く見えていたら危険信号です。

私は歯科医として、20年以上にわたって、数々の芸能人や女優、モデルの口もとを美しくする治療を担当しています。2005年から2012年までは、ミスユニバース日本代表たちの口もともプロデュースしてきました。

口もとが美しくなることで、笑顔に自信がつき、生き生きとした表情になり、大きく魅力がアップします。

美しい口もとのためのメソッドはいろいろありますが、私は皆さんが日常生活の中で簡単に実践できるエクスサイズをいろいろと考案しました。

その一つが、「真上耳ひっぱり」というエクササイズです。

耳の周りには、咬筋や翼突筋、側頭筋など、顎関節につながる筋肉がたくさんあります。ストレス社会の影響か、無意識に食いしばりを起こしている人が多いのですが、食いしばりはこうした耳周りの筋肉に大きな負担をかけます。

その結果、これらの筋肉や筋肉を包み込む筋膜がこわばってしまうと、口角が下がり、ほうれい線が深くなって、いわゆる「ブルドッグ顔」「老け顔」につながってしまうのです。


そもそも現代人は、あご周りの筋膜が、昔の人以上にこわばりやすくなっています。というのも、口もとの運動量が格段に減っているからです。

大きな原因が、会話不足です。かつては、友達と連絡をとるときは電話でしたし、近所の人との井戸端会議も日常茶飯事でした。

ところが近年はメールやSNSが普及し、近所づき合いも前に比べて少なくなり、人と話す時間がめっきり減った方が多いのではないでしょうか。

また、食事も、あまりしっかりかまなくても食べられるものが増えており、かつてに比べて、咀嚼の機会が少なくなっているように思います。

よくかんだり、話したり、笑顔になったりといった口の動きは、それ自体が口もとのエクササイズです。その動きが少なくなれば、筋膜が伸び縮みすることなく、常に緊張状態になってしまうのです。

耳の周囲はリンパ節(体内の余分な水分や老廃物、毒素などを運び出す体液であるリンパの流れる管が合流するところ)の密集地でもあり、耳周りの筋肉や筋膜がこわばると、リンパの流れも悪くなります。

真上耳ひっぱりは、こうした耳の周りの筋肉や筋膜をゆるめるのに非常に効果的です。

画像: 耳をひっぱると顎関節周りの筋肉・筋膜がゆるむ

耳をひっぱると顎関節周りの筋肉・筋膜がゆるむ

エラ周りのたるみがキュッと引き上げられ、リフトアップになります。目もパチッと大きくなり、目の疲れが取れるので、私も細かな作業の後にはこまめに行うようにしています。

筋膜はほかの部分の筋膜とも連動するので、真上耳ひっぱりをやると、耳や顔だけでなく、肩こりも改善します。飛行機に長時間乗っていると、肩や首がこるものですが、私はいつも耳ひっぱりを機内で実行して、こりをほぐすようにしています。

また、顎関節症や就寝中の歯ぎしりが気になる人は、寝る前に行うのがお勧めです。

しっかりかめて誤嚥や認知症予防にも役立つ

真上耳ひっぱりとともに行うとさらに効果が上がるのが、唾液分泌を促す「美肌耳ツボ刺激」と、二重あご解消やたるみ防止に効果的な「下唇ふーエクササイズ」です。

美肌耳ツボは、耳の少し前にある骨の出っ張りの近くの少しへこんだ箇所です。ここを押すと、唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促されます。

唾液を潤沢に出すというのは非常に重要です。

というのも、唾液には成長ホルモンの「パロチン」が含まれており、体全体の若々しさを保つのに欠かせないからです。肌老化を抑え、シミやシワの少ない、ツヤツヤの美肌づくりの強い味方になります。

また、高齢の方は耳ひっぱりで顎関節周りの筋膜を柔軟にし、唾液がたっぷり出るようにすると、咀嚼がしやすくなりますし、誤嚥のリスクも抑えられます。

かむ刺激は、脳の血流もよくしますから、認知症防止にも役立つでしょう。

耳をひっぱったり、ツボを押したりするのは、いつどこでもできるので、1日に2~3回はやることを心がけ、口もとの美と健康を手に入れてください。

口もと美人をつくる
耳ひっぱりのやり方

真上耳ひっぱり

画像1: 口もと美人をつくる 耳ひっぱりのやり方

耳の上側をつまみ、上に引き上げる。

画像2: 口もと美人をつくる 耳ひっぱりのやり方

10秒ひっぱったらパッと離す。①②を3回くり返す。

画像3: 口もと美人をつくる 耳ひっぱりのやり方

耳を広げるように、後ろ回しを5回行う。


美肌耳ツボ刺激

唾液のツボの位置:耳珠の前側で、口を開けたときに隆起する骨上のくぼみ

画像: ジワーッと唾液が湧き出す!

ジワーッと唾液が湧き出す!

唾液のツボに中指を当て、10秒押して離すのを3回くり返す。


下唇ふーエクササイズ

画像4: 口もと美人をつくる 耳ひっぱりのやり方

胸を張って背すじを伸ばし、鎖骨の下を手で押さえて、上を向き、首の前面をしっかり伸ばす。下唇を上唇にかぶせるように突き出し、上方向に「ふー」と5秒かけて息をゆっくりと吹き上げる。3回くり返す。

画像: この記事は『安心』2020年3月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2020年3月号に掲載されています。

www.makino-g.jp

This article is a sponsored article by
''.