ショウガの薬効の代表的なものが血流をよくする作用です。酢ショウガにしたり、紅茶やココアなどのドリンクに加えたりするなど、効果的なとり方についてお話しします。【解説】石原新菜(イシハラクリニック副院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

石原新菜(いしはら・にいな)
イシハラクリニック副院長。医師。帝京大学医学部卒業後、大学病院での研修を経て、現在、自然医学の泰斗で医学博士の父、石原結實氏が院長を務めるイシハラクリニックで、漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたっている。『女のキレイは30分で作れる』(マキノ出版)、『酢ショウガで体すっきり!ずっと健康!』(宝島社)など、ショウガや健康に関する著書、監修書多数。テレビやラジオなどのメディアへの登場も多い。

ジンゲロールやショウガオールが血流を改善する

ショウガは一年中手に入りますが、特に積極的にとっていただきたいのは、なんといっても、寒い時期。漢方では、ショウガは体を温める最強の食品で、すりおろしたショウガにお湯を注いだショウガ湯は、カゼの特効薬です。

ショウガは、漢方で最もよく使われている生薬(漢方薬の原材料)の一つで、さまざまな薬効があります。

その代表的なものが、血流をよくする作用です。ショウガの辛味成分であるジンゲロールや、それを加熱したときにできるショウガオールには、血管を広げて血流を改善する作用があります。

また、ジンゲロールには、抗菌・抗ウイルス作用や、免疫力(病気に対する抵抗力)を高める働きがあります。ですから、体が温まると同時に、カゼやインフルエンザから体を守ってくれます。

さらにジンゲロールには、血液中の中性脂肪や悪玉(LDL)コレステロールを減らして、血液をサラサラにし、血栓や動脈硬化を防ぐ働きもあります。

冬は脂肪がため込まれやすく、むくみやすい時期です。また、高血圧や動脈硬化のある方は、ヒートショックなどで脳卒中や心筋梗塞を起こすリスクが高くなります。冷え症や肥満、脳卒中などの予防のためにも、ショウガをたくさんとっていただきたいと思います。

ショウガは、酢ショウガにしたり、紅茶やココアなどのドリンクに加えたりするなど、さまざまなとり方があります。組み合わせる食品によって効能も違ってきますから、いろいろなとり方を楽しむといいでしょう。

それぞれのとり方について、どのような効果・効能が期待できるか、お話しします。

生活習慣病の予防や改善にお勧め!
「酢ショウガ」の作り方

画像1: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

酢に、みじん切りにしたショウガを漬けたものです。

酢には血液をサラサラにする作用があり、血糖値やコレステロールを下げたり、脂肪を燃焼させたりする効果が期待できます。

ショウガにも同様の作用がありますから、酢ショウガにすると、さらにその効果が高まります。

食べ過ぎ、飲み過ぎなどの不摂生がたたって、肥満やメタボリック症候群になる人が増えています。そういう生活習慣病の予防、改善に酢ショウガはぴったりです。

酢にはカルシウムの吸収を助ける働きがあるので、骨粗鬆症予防にも役立ちます。

画像2: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

【材料】(作りやすい分量)
ショウガ……200g(市販のもので2~3個)
酢……200ml程度(ショウガが浸る程度の量)
ハチミツ……大さじ1(好みで増減してもよい)
密閉できる保存瓶(ガラス製がお勧め)

※酢は、米酢、黒酢、リンゴ酢など、醸造酢であればなんでもよい。

画像3: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

【作り方】
ショウガはよく洗い、皮をむかずにみじん切りにする。

画像4: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

①を耐熱容器に入れ、少量の水(分量外:大さじ1~2程度)を加えてラップをかけ、電子レンジ(600W)で1分30秒ほど加熱する。
※加熱することにより、ショウガの体を温める効果がアップする。
※水を加えるのは、加熱中にショウガが焦げるのを防ぐため。

画像5: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

②の粗熱が取れたら保存瓶に移し、酢を注ぎ入れ、ハチミツを加えて全体を軽く混ぜる。

画像6: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

ふたをして冷蔵庫で一晩漬け込めば出来上がり。保存は冷蔵庫で。2週間程度で食べ切るようにする。

むくみや水太りの改善にお勧め!
「ショウガ紅茶」の作り方

画像7: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

温かい紅茶に、小さじ1杯程度のすりおろしショウガを加えます。

同じお茶でも、緑茶には体を冷やす作用がありますが、紅茶のポリフェノール(テアフラビンなど)には、体を温める作用があります。

また、紅茶カフェインには利尿作用がありますから、冷えからくるむくみ、水太りの解消にいいでしょう。

ある紅茶メーカーの研究では、紅茶ポリフェノールには、粘膜からインフルエンザウイルスが侵入するのを防ぐ働きがあるそうです。

ですから、インフルエンザの時期は、こまめにショウガ紅茶を飲むようにするといいでしょう。

画像8: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

【材料】((1杯分)
ショウガ……5g(約小さじ1)
紅茶のティーバッグ……1個
黒砂糖……1個

画像9: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

【作り方】
ショウガは皮付きのまますりおろす。

画像10: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

紅茶を入れ、①を加える。

画像11: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

好みで黒砂糖を入れ、かき混ぜれば出来上がり。

便秘や冷え症の改善にお勧め!
「ショウガココア」の作り方

画像12: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

ココアには、さまざまな薬効成分が含まれています。まず、カカオポリフェノール(フラバノール)には、血管の弾力を高めて血圧を下げる作用があり、血管を若返らせてくれます。

また、ココアの苦味成分テオプロミンは、脳を活性化して集中力を高め、自律神経のバランスを整えてリラックス効果をもたらしてくれます。

さらに、ココアの脂肪分にはカカオFFAという遊離脂肪酸が含まれており、ピロリ菌を除去する働きもあるそうです。

ココアには、食物繊維やビタミン・ミネラル、女性に不足しがちな鉄分が多く含まれるので、便秘がち、貧血気味の女性にお勧めです。また、体を温める作用が強く、長続きするので、冷え症の改善にも高い効果が期待できます。

画像13: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

【材料】(1杯分)
ショウガ……5g(約小さじ1)
ココア……5g(約小さじ1)
お湯……200ml

※ココアは糖分や乳脂肪分が含まれているものは不向き。「純ココア」「ピュアココア」と表示されているものを使う。

画像14: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

【作り方】
ショウガは皮付きのまますりおろす。

画像15: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

カップにココアを入れ、お湯を少量加えてダマにならないようよく練る。

画像16: 【ショウガの効能】生活習慣病や感染症の予防に役立つ!酢や紅茶と合わせてこまめにとるのがコツ

②に残りのお湯を入れ、①を加えてかき混ぜれば出来上がり。

薬効は3時間ほど!こまめにとるのがお勧め

こうしたそれぞれの食品の作用に加えて、ショウガの作用が共通してあります。ですから、ご自分に合ったものを選んでとるといいでしょう。なお、ショウガ紅茶、ショウガココアは、温めて飲んでください。

ショウガの薬効は、3時間ほどでなくなりますから、なるべくこまめにとります。

胃の弱い人の中には「ショウガが苦手」という人がいますが、ショウガ自体には健胃作用があります。むしろ、紅茶の渋味が胃に刺激になることがありますから、そういう場合は、ショウガ紅茶に黒砂糖や豆乳などを加えるといいでしょう。紅茶の胃への刺激がマイルドになります。

画像: この記事は『安心』2020年3月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2020年3月号に掲載されています。

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