冷えや乾燥は「老い」を促進します。白ゴマ油には、体を温めて乾きを潤す性質があるとされ、アーユルヴェーダの実践に欠かせません。また、虫歯予防や、歯肉炎・歯周病、口臭や味覚異常にも効果を発揮します。【解説】西脇俊二(ハタイクリニック院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

西脇俊二(にしわき・しゅんじ)
ハタイクリニック院長。精神科医師。弘前大学医学部卒業。国立秩父学園医務課医長、大石記念病院勤務などを経て、2009年からハタイクリニック院長に就任。金沢大学薬学部非常勤講師。日本アーユルヴェーダ学会上級教師などの資格も持つ。心療内科、内科、漢方診療のほか、代替医療を駆使して患者に最適な治療を提供している。著書多数。

口腔内の粘膜から特有の成分が吸収される

私は、精神科医として医療に携わるうち、「西洋医学的な治療を施しても、根本的な治癒に至らないのではないか」という疑問を抱くようになりました。

模索するうちに、縁あって、インド伝統医学であるアーユルヴェーダに出合いました。先人の優れた知恵が結集したアーユルヴェーダを学ぶうち、その深遠な世界に引き込まれていったのです。

今回ご紹介する「白ゴマ油うがい」は、アーユルヴェーダのなかでも基本的なセルフケアの一つ。白ゴマ油を口に含むだけというシンプルなものですが、継続して行うことで、体質改善が望めます。

症状を根治に導くだけの力がある療法なのです。

アーユルヴェーダでは、体質や個性は、その人に備わるエネルギー構成によるものとされています。エネルギーのバランスを取るためにはどういった療法が適しているかを、現れている症状から見極めるのです。

また、アーユルヴェーダでは食材それぞれに特有の性質を、治療に活用します。生の白ゴマを圧搾して作られた白ゴマ油には、体を温めて乾きを潤す性質があるとされ、アーユルヴェーダの実践に欠かせません。

では白ゴマ油うがいは、どんな症状に有効なのでしょうか。

真っ先に挙げられるのは、老化現象です。あらゆる老化は、冷えと乾燥から始まります。体が冷えると代謝が低下し、リンパや血液の流れも停滞します。

いわゆる「老人」をイメージしてみてください。肌はカサカサに乾き、髪は白くパサパサ、骨はもろく、体は細く、まるで古木のよう。冷えや乾燥は、こうした「老い」を促進します。

白ゴマ油を口に含むと、口腔内の粘膜から成分が吸収されます。体が温まる作用に加え、潤いがもたらされ、結果、アンチエイジング効果が現れるのです。

長年実践してカゼやインフルエンザと無縁!

白ゴマ油は、いったん加熱処理したほうが、吸収されやすくなります。できれば歯を磨いたあとに、舌苔を取り除いてから行ったほうが、より吸収率が上がり、効果が高まるでしょう。

白ゴマ油うがいを実践している人からは、肌の乾燥によるシミ、シワ、たるみといった悩みや、典型的な老化現象である白髪や薄毛といった悩みが、改善したという声が聞かれます。

また、口の中が油でコーティングされるので、口内環境が浄化されます。虫歯予防や、歯肉炎・歯周病口臭や味覚異常にも効果を発揮します。

のどが潤うことから、カゼやインフルエンザの感染予防にも効果が期待できます。ウイルスは湿度が30%を切ると増殖するので、部屋の加湿と併せて白ゴマ油うがいを実践すれば、鬼に金棒です。

実際に私も妻も、白ゴマ油うがいを実践しており、長年、カゼやインフルエンザとは無縁です。

妻は音楽関係の仕事をしており、舞台裏は相当ほこりっぽいといいます。衛生的な空気環境とはとてもいえませんが、カゼをひいても簡単には休めないのです。

そのため、体調管理への取り組みは私より熱心かもしれません。入浴前に白ゴマ油を口に含み、入浴中はずっとそのままにしているようです。

白ゴマ油うがいは、声帯の強化にもいい効果があります。声をよく使う、人前で話す仕事をするかたには、特に勧められます。

のどの強化にもなるので、誤嚥が多く、飲み込む力が衰えていると感じるかたにも向きますが、油を飲み込まないよう、くれぐれも注意してください。

体のエネルギーバランスが乱れると、自律神経の失調によるほてりやのぼせ、頭痛などの不定愁訴が起こります。それに伴い、精神的にも不安傾向が強まります。白ゴマ油うがいは、こうした症状にも有効です。

実際、私のクリニックの患者さんからも、頭痛に効いたという声がありました。ほかにも、便秘が改善した、口内炎が治った、歯の状態がよくなったなどという報告が届いています。

白ゴマ油うがいは、ほとんどの人に向きますが、ゴマにアレルギーのある人はもちろん、緑内障や結膜炎を患っている人、口中に出血性の異常がある人、発熱している人や、幼児が行うのは控えてください。

白ゴマ油うがいのやり方

画像1: 【体の若返り法】肌が潤い髪が蘇る「白ゴマ油うがい」のやり方を医師が解説

【用意する物】
・白ゴマ油(「太白ゴマ油」など)
・鍋、調理用温度計、漏斗(あれば)
・瓶などの、密閉できる清潔な保存容器

画像2: 【体の若返り法】肌が潤い髪が蘇る「白ゴマ油うがい」のやり方を医師が解説

【白ゴマ油の加熱法】
用意した保存容器に入るだけの白ゴマ油を、鍋に入れて火にかける。
温度を測りつつ温め、90度まで上がったら火から下ろす。余熱で100度くらいになる。
そのまま自然に冷めるまで待ち、漏斗などで保存容器に移す。
冷暗所で保存。2ヵ月ほど使用できる。

画像3: 【体の若返り法】肌が潤い髪が蘇る「白ゴマ油うがい」のやり方を医師が解説

【白ゴマ油うがいのやり方】
大さじ1~2杯の白ゴマ油を口に含み、そのまま保持する(口を動かす必要はない)。
3~5分したら、ティッシュなどに吐き出して捨てる。
油っぽさが気になる場合は、白湯で口をゆすぐ。

画像: この記事は『壮快』2020年3月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年3月号に掲載されています。

www.makino-g.jp

This article is a sponsored article by
''.