解説者のプロフィール

三浦直樹(みうら・なおき)
みうらクリニック院長。兵庫医科大学卒業。「難病といわれてもあきらめない」をモットーに、鍼灸や整体などの手技療法、マクロビオティックや薬膳、漢方などの食事療法、カウンセリングや催眠療法などを、必要に応じて組み合わせ、自然治癒力を引き出す治療(統合治療)を行っている。近著に、『薬だけに頼らず病気を治す 家庭療法の教科書』、杉本錬堂氏との共著『顔を見れば隠れた病気がわかる』(いずれもマキノ出版)がある。
▼みうらクリニック(公式サイト)
耳は人体の縮図であり耳たぶは脳に当たる
体に不調があると、表面に変化が現れます。肌に膨らみやへこみができたり、色が変化したりするのです。また、体が曲がってしまい、立ち姿や歩き方にも変調が出ます。
そうした変化を分析し、患者さんの外見から、体の状態を診察することを、「望診法」といいます。東洋医学では、昔から重要な診断法の一つとして使われてきた方法です。
私は、望診法の研究を深めつつ、自分の診療にも取り入れています。患者さんが診療室に入ってこられたとき、患者さんの表情、姿勢、歩き方、しゃべり方など、全体の様子を観察します。
また、顔や手、爪、舌の状態も詳しくチェックするのです。現在では、望診法は、私の診察の重要な柱の一つとなっています。
脳梗塞についていえば、耳にその兆候が現れます(下の図参照)。まずは、ご自分の耳たぶをよく観察してください。今にも切れそうなくらい深いシワができてはいないでしょうか。そういう場合は要注意。それこそが、脳梗塞の前兆なのです。

脳梗塞の兆候
耳たぶに深いシワがあったら要注意!
耳は、人体の縮図といわれ、「耳介療法」として有効利用されています。
耳の形は、ちょうど赤ん坊が逆さになっている形とされています。耳の中に収められた、逆さの赤ん坊の体に対応するように、体の各器官の反応点が耳にあると考えられています。
この対応する関係によると、耳たぶは、頭(脳)の位置に当たるのです。したがって、脳のトラブルは、耳たぶに現れます。耳たぶの深いシワのような兆候を発見したら、予防・改善のために、早めに対策を講じたいものです。
耳のやわらかさをキープしよう
では、そのようなシワが現れていた場合、どうしたらいいでしょうか。
私が特にお勧めしたいのが、シワが出た耳のマッサージ「耳ほぐし」です。耳たぶは、もちろんのこと、耳全体をよくほぐしてください(やり方は下の図参照)。
この耳ほぐしを実際にやってみると、耳がやわらかくなるのを実感できます。ただ、耳ほぐしをしても、少し時間が経つと、元に戻ってしまうはずです。
そこで折を見て何度も耳ほぐしを行って、耳のやわらかさをキープしましょう。それが、結果的に脳血管障害の予防にもつながるのです。耳に傷がつかないように注意すれば、耳ほぐしは1日何回行ってもかまいません。
■耳ほぐしのやり方

耳の穴に人差し指を入れる。人差し指を中指と親指ではさむように、耳を上下から折る。そのまま、中指と親指で耳を軽く引っ張る。このとき、4~5回深呼吸する。
また、この耳ほぐしを行うのと同時に、食事にも注意しなければ脳梗塞は防げません。その予防・改善のためには、血液をサラサラにして、できる限り若々しい血管を保っておくことが肝心です。
そこで、私が患者さんにお勧めしているのが、血中の脂肪分を溶かす作用がある大根です。そして、特に効果的なのが「切り干し大根の戻し汁」です。
適量の切り干し大根を水で戻して、その戻し汁を飲むだけです。1回に飲む量は、120ml程度。これを1日1~2回、空腹時に飲むといいでしょう。飲む際には、汁をよく噛むようにして飲むことを心がけます。
戻した切り干し大根も、別途調理して食べれば、切り干し大根の健康効果を無駄なく使うことができるでしょう。
ぜひ、耳ほぐしと切り干し大根の戻し汁を活用して、前兆を見極め、脳梗塞にならないようにしてください。

この記事は『壮快』2020年3月号に掲載されています。
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