「疲れやすさも、心の病も、たんぱく質と鉄分の不足が原因」この言葉に出合い、その栄養療法を実践して、自らのパニック障害と息子さんのADHDを克服した家庭料理研究家のともだかずこさんに「心を強くするスープ」を3品教えていただきました。【レシピ】ともだかずこ(家庭料理研究家)
プロフィール
ともだ・かずこ
糖質オフスイーツ・家庭料理研究家。2015年より高たんぱく&低糖質な食事を実践するとともに、糖質オフメニューの開発を行う。17年より糖質オフや食事療法をテーマに講座・講演活動を始めるなど、糖質オフを広めるため活動中。著書は『食事でよくなる!子供の発達障害』など。最新刊は、具体的なレシピを多数紹介する『食事でよくなる!子供の発達障害 実践レシピ集』(ともにマキノ出版)。
具だくさん 濃厚クリームシチュー

糖質 | たんぱく質 | 脂質 |
---|---|---|
11.2g | 32.2g | 47.5g |
【材料】(3人分)
ブロッコリー……100g
鶏もも肉……1.5枚(450g)
タマネギ……1/2個(100g)
ニンジン……1/2本(100g)
ブナシメジ……1パック(200g)
無塩バター……30g
Ⓐ水……200ml
化学調味料無添加コンソメ(※1)……1本(4.5g)
Ⓑ生クリーム……100ml
粉チーズ……20g
自然塩……少々
コショウ……少々
Ⓒ片栗粉……小さじ4
水……大さじ1

※1 洋風スープのもととしてコンソメは欠かせませんが、できれば、化学調味料無添加のものを使いたいものです。大手メーカーをはじめ、さまざまな製品が出回っています。
【作り方】
❶食べやすい大きさにカットしたブロッコリーを耐熱ボウルに入れ、ふんわりとラップをかけてから、500ワットのレンジで2分加熱する。放置して余熱を入れる。
❷鶏もも肉は皮を取り除き、食べやすい大きさに切る(皮は④で使う)。
❸タマネギとニンジンは食べやすい大きさに切り、ブナシメジは石づきの部分を切り落として手でほぐしておく。
❹中火に熱したフライパンに、②の鶏皮を入れて焦げ目がつくまで焼いたら取り出す(食べてもよい)。出てきた油で②の鶏もも肉を炒めて、表面が焼けたら取り出す。出てきた油が多いときは、キッチンペーパーで吸い取って調整する。
❺鍋に無塩バターを入れ、③のタマネギがしんなりするまで炒める。③のニンジンとブナシメジ、④の鶏もも肉を入れて、さらに炒める。
❻具材のかさが減ってブナシメジから水分が出始めたら、Ⓐを加え、沸騰後に弱火に変えて5分ほど煮込む。
❼Ⓑを順に加えて、まぜ合わせたら火を止める。Ⓒで水溶き片栗粉を作り、鍋に入れてすばやくまぜ合わせ、もう一度火をかけてとろみをつける。
❽皿に盛る直前に①のブロッコリーを入れ、軽くまぜ合わせる。
具だくさん スープカレー

糖質 | たんぱく質 | 脂質 |
---|---|---|
6.5g | 52.2g | 52.4g |
【材料】(2人分)
鶏手羽元……8本(骨つき500g)
無塩バター……10g(5g+5g)
タマネギ(みじん切り)……1/4個(50g)
水……800ml
ゆで卵……2個
インゲン……6本(42g)
赤パプリカ……1/2個(75g)
Ⓐ自然塩……少々
コショウ……少々
Ⓑショウガ(みじん切り)……1/2片(2.5g)
ニンニク(みじん切り)……1/2片(2.5g)
ⒸラカントS(※2)……大さじ1(13g)
化学調味料無添加コンソメ(※1)……1本(4.5g)
生クリーム……小さじ1(5g)
糖質オフケチャップ(※3)……小さじ1(5g)
純カレーパウダー(無添加)……大さじ1(6g)
自然塩……小さじ1/2
コショウ……少々
ドライバジル……少々

※2 低糖質を意識するなら、砂糖やみりんは、顆粒天然甘味料に置き換えるのがベストです。ここでは、100%植物由来で、砂糖と同じ甘さでカロリーゼロの「ラカントS」(サラヤ)を使いました。

※3 糖質を控えたケチャップは、意外に出回っています。お近くのスーパーになければ、インタ―ネットでも手軽に購入できます。メーカーによって味が違うので、いろいろ試してみましょう。
【作り方】
❶手羽元の骨の部分に包丁で切れ目を入れてⒶで下味をつける。
❷中火で温めたフライパンにバター5gを入れ、①の手羽元をこんがりと焼き色がつくまで焼いて取り出す。
❸鍋にバター5gとみじん切りにしたⒷを入れて弱火で炒める。
❹香りが立ってきたら、みじん切りにしたタマネギを加えてあめ色になるまで炒める。
❺水を加えて火を強めて沸騰させたら、②の手羽元を入れ、あくを取りながら20分くらい弱火で煮る。
❻鍋にⒸを入れて混ぜ合わせ、沸騰させないように弱火で3分ほど煮込む。
❼⑥の間に、別の鍋でゆで卵を作る。インゲンと食べやすい大きさに切った赤パプリカを、②のフライパンで焼く。
❽お皿に⑥と⑦を盛りつけて完成。
具だくさん みそラーメン鍋

糖質 | たんぱく質 | 脂質 |
---|---|---|
16.2g | 51.1g | 31.1g |
【材料】
[スープ(鍋1回分)]
タマネギ(すりおろし)……1/4個(50g)
水……800ml
自然塩……少々
コショウ……少々
一味トウガラシ(お好みで)……適量
Ⓐゴマ油……小さじ1
ショウガ(みじん切り)……1/2片(2.5g)
ニンニク(みじん切り)……1/2片(2.5g)
Ⓑ焼酎……大さじ1
ラカントS(※2)……大さじ1(13g)
化学調味料無添加
ガラスープ顆粒(※4)……大さじ1
みそ……大さじ3
すりゴマ……5g
[おすすめ具材(2人分)]
モヤシ……1袋(200g)
ブナシメジ……1株(200g)
キャベツ……100g
豆腐……1/2丁(250g)
豚バラ肉……200g
糖質0g麺(こんにゃく麺)(※5)……2袋

※4 中華だしに欠かせないガラスープのもとも、できれば化学調味料無添加のものを選びましょう。

※5 麺を入れるのならば、糖質オフのこんにゃく麺がベストです。例えば、「糖質0g 麺」(紀文)は、おからとこんにゃくで作った麺で、糖質はゼロです。
【作り方】
❶鍋にゴマ油とみじん切りにしたⒶを入れて弱火で炒める。
❷香りが立ってきたらすりおろしたタマネギを加えて炒める。
❸水を加えて中火に変える。
❹沸騰したら火を弱めてⒷを加えて混ぜていき、塩とコショウで調味する。一味トウガラシを入れる場合はここで加える。
❺おすすめ具材を入れて火を通す。ポイントは、たんぱく質が豊富な肉類を多めに入れること。野菜やキノコは入れすぎないように気をつけること。
■調理・スタイリング/古澤靖子 ■栄養計算/備生千香
心に効く食事 基本の6原則
1. 動物性たんぱく質を積極的にとる
たんぱく質は体のいちばんの原料。健康維持のためには「体重×1g」以上、成長期の中高生や妊娠・授乳期の女性は「体重×1.5g」以上、慢性病からの回復には「体重×2g」以上を目安にする。
食品名 | 必要量 | 食品名 | 必要量 |
---|---|---|---|
牛肩ロース | 71.4 | シシャモ | 47.6 |
豚バラ肉 | 69.4 | 紅ザケ | 44.4 |
鶏もも肉(皮つき) | 57.8 | シラス干し | 43.2 |
鶏ささみ | 40.7 | キハダマグロ | 41.2 |
ロースハム | 60.6 | アジ | 38.6 |
ベーコン | 77.5 | スルメ(加工品) | 14.5 |
サンマ | 55.2 | 鶏卵 | 81.3 |
カツオ | 38.8 | カマンベールチーズ | 52.4 |
ホッケ | 57.8 | モッツァレラチーズ | 54.3 |
2. 鉄分をじゅうぶんにとる
鉄は神経伝達物質の作成や、活性酸素の除去、エネルギー代謝に必須。女性の鉄分不足は、月経や妊娠・出産の影響が大きい。植物性食材より動物性食材のほうが鉄の吸収率は10倍高い。
食品名 | 鉄分 | 食品名 | 鉄分 |
---|---|---|---|
牛レバー | 4.0 | 干しエビ | 3.9 |
牛もも皮下脂肪なし(焼き) | 3.8 | アサリ(水煮缶詰) | 29.7 |
豚レバー | 6.9 | シジミ(水煮) | 14.8 |
マトンロース脂身つき(焼き) | 3.6 | ハマグリ(水煮) | 3.9 |
鶏レバー | 3.3 | カキ | 2.1 |
鶏卵 | 1.8 | 青のり | 77.0 |
カタクチイワシ(煮干し) | 18.0 | 納豆 | 3.3 |
カツオ(缶詰) | 2.6 | 煎りゴマ | 9.9 |
シシャモ | 1.6 | ココア | 14.0 |
3. 良質な脂質をとる
脂質は体を動かすエネルギー源。糖質よりも脂肪酸のほうが、効率よく、たくさんエネルギーを作りだす。バター、ラードなどの動物性脂肪や、ココナッツオイル、MCTオイルがお勧め。
4. 糖質を控える
糖質中心の食事は血糖値の乱高下を招き、その際のホルモン合成にビタミン・ミネラルが使われ、不足して、精神を不安定にする。穀類だけでなく、甘味料や調味料の糖質にも注意したい。
5. 牛乳を飲み過ぎない
牛乳に含まれるたんぱく質のほとんどはカゼイン。カゼインは分解されにくく、未消化のまま腸に入ると、腸の粘液を傷つけて炎症を起こし、たんぱく質や鉄分の吸収を妨げることになる。
6. インスタント食品や食品添加物を控える
インスタント食品の原材料は、植物油や小麦粉、砂糖などの糖質が多く、さらに、加工段階でビタミン・ミネラルがどんどん失われてしまう。また、食品添加物はミネラルの吸収を阻害する。
[別記事:現代人は実は栄養不足!「たんぱく質」と「鉄分」の補給が重要→]

この記事は『ゆほびか』2020年3月号に掲載されています。
www.makino-g.jp