解説者のプロフィール

森本美紀(もりもと・みき)
プライベートサロン「アトリエZOE」主宰。ヘアメイクアップアーティスト。広告、CM、TV、雑誌、舞台・コンサートのポスター等で女優やタレント、モデルのヘアメイクを中心に活動後、2006年に「アトリエZOE」を設立。「外見を作ることによって、その人の自信を作る!」という理念のもと、個人向けのヘアカットやメイクレッスンなどで、述べ2万人以上の肌・髪の毛に触れる。著書に『女の人生は朝10分のメイクで変わる』(文響社)がある。
http://miki-morimoto.com/
顔にVラインを作れば下がった顔が一気に上がる
私は東京・表参道のプライベートサロンで、個人のかたのヘアカットやメイクレッスンを行っています。
もともとは、ヘアメイクアーティストとして、タレント、女優、モデルさんのヘアメイクを担当していましたが、ある企業のイベントで一般のかたから、
「こんな私でも、きれいになれる可能性があるんですね」
という言葉をもらいました。それから、一般の人たちが気づいていない、自分自身の美しさを引き出したいと思い、プライベートサロンを設立したのです。
お客様は主婦、会社員のかたから企業のトップまで幅広く、老若男女問わず、どなたでもお越しいただけるサロンです。
スタッフはおらず、私ひとりでやっているため、外見の悩みから心に抱えた問題まで、皆さん話しやすいようで、ときには話しながら涙を流されるかたもいらっしゃいます。
外見を変えるだけで、その人に自信が生まれるので、そこから考えや行動が変わり、人生が好転されるかたもたくさん見てきました。
以前、何度もお見合いしたけれどもいつも断られていたという男性がいらっしゃいました。そこで、眉と髪型を変えてスッキリとした印象になったら、なんとお見合いが成功したとのこと。今では幸せな結婚生活を送っていらっしゃいます。
とはいえ、毎日、プロ並みのテクニックを駆使して、メイクをがんばる……というのは難しいもの。
そこで私は、今持っている道具を使って、ふだんのメイク法を少し変えるだけで、簡単に顔が若返る方法をいつもお伝えしています。
顏は、年齢とともに、全体に下がってしまい、それが老けた印象になります。そこで、顔の中に「Vライン」を作ることで、上がって見えるといういい錯覚を起こすのです。
そのための、具体的なテクニックを紹介しましょう。

①ゆるやかに上がった眉、②口、目、眉が直線でつながる、③口角が上がっている、④フェイスラインが上向き、というVラインがポイント
陰影が出る部分を明るくするだけでOK
顔の印象を最も左右するパーツといえば、眉です。ゆるやかに上がった眉により、顔全体が引きあがって見えるので、眉をきちんと作ることが大事です。
眉は、ペンを寝かせて、ぬり絵のように色をつけるイメージで描きます。細い眉は老けて見えるので、眉頭を太めに、眉尻に向かって徐々に細くしていきます。
顔全体で見ると、骨格は立体的で、明るいところは前に出て見え、暗いところは引っ込んで見えます。年齢とともに、くま、シワ、たるみが増えると、暗い部分が増え、老け顔を作ってしまいます。
そのため、目の下や口の周りなど暗く見えるところをファンデーションやハイライトで明るくするのが、若々しい顔を作るポイントです。
チークは、耳の上のつけ根から、小鼻に向かって、二等辺三角形の形で入れると、たるんだほおも上がって見え、小顔が作れます。
「Vライン」を意識してメイクすると顔が若返って見える

❶眉頭から眉山に向かってゆるやかに上がっている形がVラインのポイント。眉尻は口の端と目尻をつないだ延長線上に。眉頭〜眉山:眉山〜眉尻=2:1のバランスがきれいに見える
❷目の下はくまやシワで暗くなり、それが老け顔に見せてしまう。目頭の下からこめかみにファンデーションをポンポンと置いていき明るさを足すことで、年齢が出やすい部分をカバー
❸ほうれい線によって、影ができる口元を明るくするために、口の周りにファンデーションをポンポンと乗せる。ファンデーションは伸ばすと薄くなるので、伸ばさずに置くように

❹チークは、耳の上側のつけ根から小鼻のほうへ向かって、二等辺三角形の形になるようにつける。ほおのラインが上を向き、顔が締まって見える
流行に流されず自分に合ったメイクをする
今はナチュラルメイクが主流ですが、ひと昔前はブルーやパープルなどの濃いアイシャドウをつける人もいるなど、メイクにも流行があります。
ただ、人の顔はそれぞれ違っていて、似合うメイクも異なります。自分の顔の造形に合ったメイクをするのがいちばんきれいに見えるので、流行に流される必要はありません。
透明感のある美しい肌作りで最もたいせつなのは、ファンデーションの色と塗り方です。
40歳を過ぎてからのピンク系は、くすんだり老けて見えたりするのでお勧めしません。くすみが気になる年代には、黄色系で顔に透明感が出やすくなります。
ファンデーションは、均一に塗る必要はなく、先ほどお伝えした、目の下と口周りにしっかり乗せて明るさを出し、ほかの部分は薄く伸ばすだけで大丈夫です。
チークは、どんな人にもお勧めなのがコーラルピンクです。ダークな色は、老け感を強調するので避けてください。
眉ペンシルは、ダークブラウンが自然な感じを出しやすいでしょう。

多くの女性は、チャームポイントがたくさんあるのに、欠点にばかりに目が行って、それを隠そうとしたり、自信を亡くしたりしがちです。
でも、どんな人でも、自分の顔のパーツに魅力的な部分があるので、そこを引き出すメイクをすれば、ガラリと印象が変わります。
そして、きれいになった自分を見て、「私ってなかなかいい!」と自分のことを認めてあげられると、自信が出てきて、輝き出すのです。
メイクのちょっとした魔法で、気持ちが上向きになり、運が生み出されることによって、皆さんの人生がよい方向へと動き出すのを楽しみにしています。

この記事は『ゆほびか』2020年3月号に掲載されています。
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