解説者のプロフィール

三浦直樹(みうら・なおき)
みうらクリニック院長。兵庫医科大学卒業。「難病といわれてもあきらめない」をモットーに、鍼灸や整体などの手技療法、マクロビオティックや薬膳、漢方などの食事療法などを、必要に応じて組み合わせ、自然治癒力を引き出す治療(統合治療)を行っている。近著に、『薬だけに頼らず病気を治す 家庭療法の教科書』(マキノ出版)がある。
▼みうらクリニック(公式サイト)
漢方薬に使われるほど優れた効能を発揮する
薬だけに頼らず、自然治癒力を高めて病気の改善を目指す私のクリニックでは、日本の伝統医療、東洋医学の考え方、マクロビオティックなど、さまざまな療法を取り入れて治療に当たっています。
特に、昔から日本の各家庭で受け継がれてきた民間療法には、植物や食べ物を利用した「手当て法」が数多くあります。それらは安全性が高く、セルフケアとして家庭で取り組みやすいことから、患者さんによくお勧めしています。
そのなかから、鼻水、鼻づまり、蓄膿症(副鼻腔炎)など、鼻の症状に効く手当て法として、「ドクダミ茶」を紹介しましょう。
ドクダミは、神社や野山など、あらゆる場所に生えている雑草の一種です。どこにでも生えるということは、それだけ生命力が強いということです。
幅広い薬効があるという意味から、別名「十薬」といわれ、日本では昔から薬草として利用されてきたほか、漢方薬の一つとしても知られています。
ドクダミの主な効能は、デトックス(排毒)作用です。腸と肝機能を整え、体にたまった毒素を排出する作用があるといわれています。
東洋医学では、「五臓」のうちの肺が皮膚粘膜や鼻の機能を正常に保っていると考えられています。
肺は、大腸と密接に関係しています。大腸の働きが悪くなり、便通が滞って体に毒素がたまると、免疫力が低下。アレルギー症状などを引き起こす要因になります。
肺の機能にも悪影響を与えるため、鼻炎など呼吸器系の疾患が起こりやすくなるのです。
ですから、ドクダミによって排毒作用を高めることは、鼻水・鼻づまりといったアレルギー症状の改善に役立つといえるでしょう。
さらに、野草であるドクダミには、ミネラルも豊富です。ミネラルは細胞が正常に働くために欠かせない栄養素。天日干しすることで、その栄養価はさらに高まり、体に優れた効能を発揮します。
白砂糖や人工甘味料乳製品を控えよう
ドクダミはそこらじゅうに生えています。私も以前はよく取ってきて、1日かけて天日干しし、乾燥させてから煮出し、お茶として飲んでいました。最近は環境汚染が気になるので、自然食品店などで、乾燥した状態で販売されているドクダミ茶を購入しています。
購入する際は、ボイラー乾燥ではなく、必ず天日干しされた物を選んでください。天日干しすることで栄養価が高まり、より高い効能が期待できるからです。袋に「天日干し」と書かれた物を選ぶか、店の人に確認するとよいでしょう。
ドクダミ茶の摂取方法は、1Lの水に5gのドクダミを入れ、20〜30分煮出した物を飲むのが基本です。
1回180mlを1日2〜3回飲んでください。いつ飲んでもかまいませんが、できれば空腹時に飲むほうが効果的です。
温かいままでも、冷ましてもOK。すぐに飲まない場合、冷蔵庫で保存し、2〜3日中に飲み切ってください。
ドクダミの分量は、好みの濃さで調節していただければ結構です。ただし、鼻炎以外にアトピー性皮膚炎などの強いアレルギー症状があるかたは、最初は薄めから始めましょう。
飲んでみて、症状がひどくなるようであれば、飲むのを中断してください。

デトックス効果で鼻スッキリ!
お茶として飲む以外には、お茶パックにドクダミを入れて、野菜などといっしょに鍋に入れるのもお勧めです。食べるときは、ドクダミは取り除きます。
前述したように、ドクダミはデトックス効果が高いため、鼻水、鼻づまり、蓄膿症など鼻の症状はもちろん、便秘改善にも効果があります。
そのほか、アトピー性皮膚炎をはじめ、湿疹や吹出物といった皮膚症状にも有効です。皮膚症状の改善には、お風呂のお湯にドクダミの煮汁を加えるのもお勧めです。
そのほかの、鼻炎や蓄膿症のセルフケアとしては、まずアレルギーを起こしやすい白砂糖・人工甘味料・動物性脂肪・牛乳および乳製品を控えましょう。
また、しっかり深い呼吸をすること、よく噛んで食べること、首や肩、おなかを温めて、腸や頭部への血流をよくすることも心がけましょう。
特に、呼吸は口ではなく鼻呼吸を意識してください。鼻が詰まって鼻呼吸がしづらい人も、よく噛んで食べることを継続していけば、しだいに鼻呼吸がしやすくなります。

この記事は『壮快』2020年2月号に掲載されています。
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